大学ゴルフ授業研究会
代表理事の北徹朗教授(武蔵野美術大学)が、2022年9月11日に開催された「地域活性学会第14回研究大会」において発表しました。 プレゼンスライドはこちらからご覧頂けます。    

<参考文献>

  北 徹朗(2022)地域活性化に向けたゴルフ場の在り方に関する研究―ゴルフ場改革7つの提案―
        地域活性学会第14回研究大会(横浜・三浦半島)発表予稿集pp.126-129、2022年9月11日(於:関東学院大学) ※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 10月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

亜細亜大学は1941年、興亜専門学校を前身校として設立されました。1950年には学制改革に伴い日本経済短期大学に改組、1955年に亜細亜大学を設立しました。1954年には日本で先駆けとなる附属中国留学生部を開設。以来、積極的に留学生を受け入れてきました。 また1988年から5か月間の単位認定型アメリカ留学をスタートさせ13,000人以上を派遣するなど、グローバル人材の育成に取り組んできました。建学の精神「自助協力」に基づき、「多様な夢に挑戦し、アジアの未来に飛躍する人材を育成する」を教育理念とし、現在5学部(経営、経済、法、国際関係、都市創造)と大学院3研究科で、およそ7000人が学んでいます。

授業風景

亜細亜大学のゴルフ授業は昭和60年より開講しています。当初は日の出グランドで穴あきボールや軽量ボールを打つ基本スィングを中心とした実技でした。平成2年には日の出校地に12打席30Yの打撃練習場ができ実球が打てるようになりました。

1日目:ショット練習

この当時は、授業最終回に国分寺のショートコース9Hを実践することをおり入れていました。しかし、平成13年の大雪で練習場は全壊し、現在の集中授業形式になりました。福島県ローレルバレイカントリークラブは平成23年の東日本大震災でクラブハウスが使用できなくなり、群馬県サンコー72に移動し、現在に至っております。

2日目:アプローチ、パター練習

現在の授業は学内で座学3時間、実技(基本スィング)4時間を行い、4泊5日の集中授業を行なっております。1、2日目は基本スィング、アプローチ、パターなどを行い、3日目ショートコース、4、5日目本コースを行なっています。夜は、マナー、エチケット、ルールなどの講義と実技の確認を行っています。 受講生は初心者から経験者までレベルは色々ですので個人に適した指導を行っています。

先生の気持ち

亜細亜大学での体育科目は全学共通科目の中に位置付け、生涯スポーツを考慮し、選択科目で卒業までに8単位を取得することができます。 ゴルフは2単位科目で、1年生から4年生まで4回受講が可能です。2回以上受講する学生はかなり上達し、卒業後も殆どの方は続けているようです。選択科目ということで受講する学生の意識は高く、かなりハードな予定であってもこなして行きます。コースラウンドでの注意点は安全、マナー、エチケット、時間であり、技術、スコアーには余裕ができてから考えることをモットーに行っています。

4,5日目:コースラウンド 男女とも初心者はピンクティより

授業だから、初心者だからは言い訳にすぎず安全、マナー、エチケットを厳守しながら9Hを2時間以内でラウンドすることを重要とし指導を行っています。カートを使用しラウンドを行いますが、コースのつなぎ以外は殆どの学生は歩いています。 初心者は男女を問わずピンクティより打ちOB、ハザード、チョロ、などはピンより150Yより再スタートします。今の技術にあった方法でコースラウンドを学び、楽しむことで次につながることに期待を持っています。授業評価でも(楽しい)、(続けたい)などの高い評価を受けています。

先生の紹介

松林幸一郎(まつばやし・こういちろう) 昭和31年東京都生まれ 学習院高等科卒業 昭和54年東海大学体育学部社会体育学科卒業 昭和54年亜細亜大学教養部 助手 昭和61年亜細亜大学教養部 講師 平成6年亜細亜大学教養部  助教授 平成15年亜細亜大学経済学部 助教授 平成19年亜細亜大学経済学部 准教授現在に至る 3歳よりスキーを始め、高校よりスキー競技に夢中になり現在に至っています。ゴルフは夏休みの2週間ほど高校1年より大学3年まで軽井沢72にてキャディーのアルバイトをし、覚えました。 当初は止まったボールを打って何が面白いのか全く理解ができませんでしたが、いざコースをまわるとボールが飛んだ時の爽快感、アプローチの難しさなど魅力に引き込まれていきました。 現在は用具を使うスポーツで、如何にして用具を上手に使用できるかを指導することに興味を持っています。 担当科目 スキー、ゴルフ、バドミントン、バレーボール、テーマ研究 全日本スキー連盟公認指導員 全日本スキー連盟公認A級検定員 全日本スキー連盟公認パトロール 日本赤十字救急・救助員 専修大学、駿河台大学 非常勤講師 ゴルフ授業担当※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 9月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

追手門学院は、1888(明治21)年に創設された大阪偕行社付属小学校(現:追手門学院小学校)を源流とし、現在では認定こども園から大学・大学院までを擁する全国有数の総合学園へと発展してきました。 1966年に開学した大学は2学部4学科からスタートし、「独立自彊 社会有為」の教育理念の下、自分の考えをしっかりと持ち、自らの成長に日々努力し、世のため人のためにつくす人材の育成に取り組んでいます。 現在では6学部8学科の文系総合大学へと発展を遂げ、2019年には現キャンパスから2㎞程の所に新キャンパスを整備し、2キャンパス体制でより充実した教育展開ができるよう取り組んでいます。

授業風景

本学のゴルフ授業は、週一回の学期授業(15回)と9月に行う集中授業の形式で行っています。学期授業では、他のスポーツ種目と組み合わせて行っていますので、ゴルフ部分は概ね6回です。 クラス数は年度によって変動し、2017年度は、私が担当する2クラスのみです。集中授業では、学内で4回の授業を行い、その後、3日間、ゴルフ場で行います。 週一回の授業は、学内にあるゴルフ打撃場(約40ヤード、10打席)を中心に行っています。6回のみですので、基礎技術の反復練習に重きを置いた初心者指導を展開しています。特に構えの姿勢についてのアドバイスを徹底して行い、体幹の安定を図るようにしています。 一つの打席を2,3人で共有しますので、学生によるピアサポートが自然に生まれてきます。3回目の授業から、練習の動機付けを図るため、授業終盤に、チーム対抗戦を行っています。正面のネットに当てて点数を競うものです。4回目以降には、ドライバーの打撃練習とテニスコート(オムニコート)でのパッティング練習を行っています。

テニスコートでのパッティング練習風景

9月初旬に実施する集中授業では、2016年度まではショートコースのラウンドが主でしたが、2017年度からは、兵庫県の有馬カンツリー倶楽部様のご協力で、本格的なゴルフコースでの実習が可能となりました。 少人数ですが、ルール、エチケット、マナーを徹底して学び、プレーの楽しさや難しさを体験できる実習を展開したいと考えています。

先生の気持ち

学期授業は、1クラス25~30名ですが、1割程度がゴルフ経験者です。また、野球経験者は、スウィングが安定しており、打撃のコツを掴むのが速いと感じています。 週一回の授業では、6回シリーズの中で、ショートアイアン、ドライバー、パターを一通り体験しますが、特にショートアイアンでのショットを安定して打てるようになって欲しいと思っています。履修学生の中には、授業を通してゴルフに興味を持ち、休日に「打ちっ放し」施設に練習に行く者やコースラウンドを希望する者がいます。 彼らの思いが集中授業のゴルフ実習の履修に結びついて欲しいと願っていますが、残念ながら翌年度の履修登録までの空白期間が長いため、連結が難しい状況です。履修方法の工夫が喫緊の課題であると感じています。

打撃練習の風景

授業が進んでいくと、上手く打てない学生は、積極性が薄れ、打席に立つ時間が短くなります。こうした学生を見逃さず、姿勢、グリップ、スタンス、フェイスの向きなどをアドバイスすると飛ぶようになる。 打球が変わると、私も嬉しくなりますし、学生諸君からは「楽しい」、「もっと上手くなりたい」、「これからも続けたい」というコメントが授業レポートに書かれるようになります。 本学の学期授業では、ゴルフ文化の入り口に立ってもらうことしかできていませんが、集中授業でゴルフ文化に触れ、ゴルフのファンになってもらいたいと考えています。 ゴルフ種目のみの体育実技クラスの構築、Gちゃれ等の学外企画を組み合わせた継続的なゴルフサポート、集中授業の履修者増に向けた工夫など、課題が多くありますが、今後も積極的に取り組んでいきたいと思います。そして、約50年続く追手門学院大学のゴルフ授業のバトンを明日に繋ぎ、今後の発展に貢献できるよう努力していく所存です。

先生の紹介

松井健(まつい・たけし) 1963年新潟県生まれ。早稲田大学教育学部教育学科体育学専修卒業。順天堂大学大学院修士課程体育学研究科修了(体育学修士)。 川崎医療福祉大学大学院博士課程:医療技術学研究科修了(博士:健康科学)。中京大学(実験実習助手)、吉備国際大学(助手、講師)、日本福祉大学(准教授、教授)を経て、2014年追手門学院大学に着任。 基盤教育機構教授、スポーツ研究センター長。基盤教育科目の「基礎体育(実技)」「応用体育(実技)」「体育概論」の他、スポーツキャリアコース科目の「スポーツ生理学」「高齢者スポーツ論」を担当。担当する実技種目は、ゴルフの他、フライングディスク、卓球、ボッチャ、テニスなどである。 体育実技の授業ではチームでのグループワーク手法を用いて履修生のコミュニケーション力を高め、積極的な活動となることを目指している。また、すべての講義系、実技系授業において毎回のレポートを通じた履修生とのコメント交換を行っている。 高齢者を対象としたトレーニング研究や地域貢献につながる取り組みを行っている。また、アメリカンフットボール部の部長を務めている。 所属学会は、日本体力医学会、日本体育学会、日本運動生理学会、日本水泳水中運動学会など。日本水泳連盟理事(科学委員会所属)、愛知水泳連盟理事(医科学委員会所属)。

グラウンドでの打球練習の様子

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 8月号(購読申し込みはこちらから)

大学の紹介

三重大学は、人文学部、教育学部、医学部、工学部、生物資源学部に地域イノベーション研究科を加えた5つの学部、6つの研究科をはじめ、教養教育機構、地域人材教育開発機構、地域イノベーション推進機構、地域拠点サテライト、国際交流センター、総合情報処理センター、学生総合支援センター、国際環境教育研究センター、アドミッションセンターなど、多くの学内共同教育研究施設を擁する総合大学です。 また、附属病院、附属学校園、農場、演習林、水産実験所、演習船勢水丸などの附属施設も充実しています。

授業風景

三重大学では、教育学部の保健体育コースの実技として、「ゴルフ」が実施されていますが、授業開講の関係で、3年に1回の開講となっています。教養教育においては、ゴルフはこのところ開講されていません。今回は保健体育コースの専門のゴルフの授業を紹介させていただきます。 授業は3つの部分からなっています。1つ目はスナッグゴルフを用いて、その成り立ちや方法を学習して、体育館での基本的な練習をします。その後、陸上競技場と野球場を用いて、スナッグゴルフの9ホール(パー36)のコースを設定しラウンドを実施します。

スナッグゴルフのラウンドの様子

陸上競技場のトラック部分をハザード(川か池)、外に行った場合はOBの処置をすることにより、実際のゴルフのラウンドでのルールの勉強となります。2つ目は、グラウンドでのゴルフボールを用いたショートアイアンまたはウェッジの打球練習です。スイング作りやアプローチの練習を中心に授業をします。雨の日は、実験室で弾道測定器(Golf Swing Better Plesio ディテクト製)を用いたショットの測定も実施しています。 3つ目は、大学から歩いて5分のところにゴルフ練習場がありますのでウッド(ドライバー、スプーン等)やアイアン(ミドルアイアン・ショートアイアン)を用いて、打球練習を実施します。 保健体育コースの学生ですので、パワーがあり、時にはゴルフ練習場でクラブを飛ばしたり、ドライバーを折ったりとアクシデントが発生しますが、ゴルフの難しさと楽しさを充分に体験していると思います。

先生の気持ち

教員養成課程の学生を対象としているので、いずれは児童や生徒にゴルフを教える機会があるかもしれないという前提で授業を実施しています。そのため、スイング理論やエチケット、マナーについても授業内容として取り入れて、学生に伝えて行きたいと思っています。 スナッグゴルフは、ゴルフの導入として優れた教材であり、いつでも、どこでも、だれでもの標語通り、小学校や中学校等の学校現場で実施できるものと思います。また、ゴルフでのファーストティープログラムは、子供たちにライフスキルを獲得させるのに有効なものであるといわれています。 学生たちが教員になった時には、是非、ゴルフの授業を学校現場で実施してくれるようになることを願っています。 現状では、ゴルフの開講がカリキュラムの関係で、3年に1回の実施となっています。もう少し開講の回数を増やすことができたらと思いますが、教員養成学部の現状を考えますと縮小はあっても増加はできない状況ですので、現状維持でも大変な状況です。

グラウンドでの打球練習の様子

また、毎週1回の授業ですので、ゴルフコースに行くことができないのが残念です。やはり、ゴルフはゴルフコースでラウンドをすることによって、初めてゴルフの本質に触れることができると思いますので、何とかラウンド体験ができればと思います。 「Gちゃれ」のようなすばらしい企画ができてきておりますので、東海地区でも是非進められればと考えております。 学校教育の場でゴルフを実施していくことは、まだまだハードルが高い状況であると思います。特にラウンドするとなると、大学の授業でもかなり大変な状況で、今後、小・中・高校等の体育の授業で実施していくには、まだまだ壁は厚いと思います。 しかしファーストティープログラムにも示されているようにゴルフは子供たちの教育の側面において大変有効な教材と思います。多くの学校で取り入れられて、世代を超えた交流が進んでいけばと願っています。

先生の紹介

鶴原清志(つるはら・きよし) 1956年福岡県生まれ。1979年筑波大学体育専門学群卒業。1984年筑波大学体育科学研究科(博士課程)中退。1984年名古屋大学総合保健体育科学センター助手。1986年三重大学教育学部講師、助教授を経て、2001年教授。2017年4月より学部長。 専門種目は体操競技。大学では器械運動ならびにゴルフの専門の授業を担当している。ゴルフは30歳前後から始め、継続して実施してきており、東海地区では大学ゴルフ研究会が30年以上継続して実施されており、その幹事を務めている。50歳を期にクラブのメンバーとなり、本格的にゴルフに取り組み、現在HC3となっている。 HCを維持するために、ラウンドと練習を継続しているが、最近は多忙のため中々時間が取れないのが現状である。 研究分野はスポーツ心理学。大学では体育心理学を専門の授業として担当している。専門はメンタルトレーニング、イメージトレーニングであり、選手の心理面のサポートも実施している。 所属学会は日本体育学会、東海体育学会、日本スポーツ心理学会、日本ゴルフ学会である。東海体育学会では会長、日本ゴルフ学会では理事を務めている。また、免許更新講習において、「学校教育におけるゴルフ取り上げ方と活動の工夫」を実施し、ゴルフの理論とともにスナッグゴルフを用いて講習を実施している。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 7月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

「首都大学東京」は、石原都知事時代の2005(平成17)年4月に、都立の4つの大学「東京都立大学」「東京都立科学技術大学」「東京都立保健科学大学」「東京都立短期大学」を再編・統合して設置された新しい公立大学である。「大都市における人間社会の理想像の追求」を基本理念としている。 4学部で構成され、京王相模原線の南大沢キャンパスを主に、日野(システムデザイン学部)、荒川(健康福祉学部)の両キャンパスを抱えている。学生定員は1学年1,570名であり、全学で約6,000名強の学生が在籍している。平成30年には学部再編を予定。緑豊かな南大沢の広大なキャンパスには各種のスポーツ施設が整っており、ゴルフ練習場にはバンカーも備えている。

授業風景

本学のゴルフ授業は選択の体育実技のコマで開講され、定員は24名。8打席のドライビングレンジと野芝の陸上競技場、人工芝の多目的運動場を利用して実施しています。 身体運動演習ではスイングづくりとゴルフ文化の理論の理解、スポーツ実習では模擬コースラウンドでエチケット・マナーやルールの理解を中心に授業展開しました。実際のゴルフコースでのラウンドは行っていません。バンカー練習場もありますが、そこまでの技術は求めていません。

本学の授業風景(緒方貴浩先生)

受講生のほとんどが初心者であるため、授業の最初2回は人工芝の運動場でスナッグゴルフの用具を使ってグリップやフェースの向きが分かりやすくなる工夫をしています。クラブを逆に使った逆クラブスイングによって、スイング軌跡や体重移動、ボディターンの感覚を確認しながら基本的なスイングづくりを行います。 ドライバー練習は、陸上競技場でケイマンボールを打っていました。模擬コースラウンドではSWを利用し、ターゲットバードのゴールを目標にショットしていました。雨天時には、体育館でパッティング練習に当てています。

スナッグゴルフの用具で導入

ゴルフ関連の障害を防ぐために、授業の最初に10分間ストレッチングを取り入れ、身体感覚やスイング時の感覚を鋭敏にし、その身体感覚や変容はラーニング・ポートフォリオとして記録していました。

先生の気持ち

以前、首都大のゴルフ授業を担当していた時には、演習では「感覚を大切にしたスイングづくり」を大切にしていました。 特に、インパクト時のスィートスポット感覚、フィニッシュ時のウエイトシフト感覚、スイング全体の快感(打感、打球音、なめらかなスイング、イメージ通りの球筋)などの身体感覚をチェックしながらスイングを作るように指導していました。 それは、これらの感覚を下に、自分自身でアドレスやスイングプレーンなどの修正ができるようにするためです。 また、SWでのボール突き(リフティング)を取り入れて、スィートスポット感覚とインパクトがどちらにずれたかが分かるような鋭敏な感覚を磨く工夫もしていました。これは、パーフェクトショットした時のインパクト感(打感)を覚えてもらうためです。このリフティングの最終目標回数は20回でしたが、なかなか難しい課題のようでした。 授業では、ただ打てるようになるだけでなく、ゴルフを文化として理解することを大切にしていました。 例えば、何故ゴルフ競技では審判がいないのか、ルールブックでエチケットから書かれている理由は何か、ゴルフプレーの2大精神である「あるがまま打て Play the ball as it lies」と「ゴルファーの正直Golfer’s honesty」の意味や重要性の理解、ゴルフクラブの愛称や使い分けかた等についても毎回少しずつ授業内容に取り入れるようにし、「ゴルフ文化コース」として理論と実践の統合を目指していました。 現在、首都大学のゴルフ授業は大学ゴルフ授業研究会の世話人の一人でもある緒方貴浩先生(帝京大学)にお願いし、私は玉川大学で授業をしています。

先生の紹介

舛本直文(ますもと・なおふみ) 1950年広島県生まれ。1973年広島大学教育学部卒、1977年東京教育大学大学院(体育学研究科)修了後、筑波大学体育センター勤務。1981年より東京都立大学を経て首都大学東京。2016年に定年退職後、現在は特任教授としてオリンピックの教育研究に従事。学位:博士(体育科学、1999年筑波大学)。 専門はスポーツ哲学、スポーツ映像研究、オリンピック研究。現在は、「(自称)オリンピズムの伝道師」としてオリンピック・パラリンピック教育への支援やオリンピックの平和運動の一環として人権啓発関係の仕事に従事している。NPO法人日本オリンピック・アカデミー副会長(研究委員会委員長)等を務める。 主著に『オリンピックのすべて』(2008年訳著、大修館書店)等。 所属学会は、日本体育学会体育哲学専門領域、日本体育・スポーツ哲学会(理事)、日本スポーツ社会学会、日本スポーツ学会(運営理事)、日本ゴルフ学会(関東支部副支部長)、国際スポーツ哲学会、国際オリンピック史家学会等。 東京都立大学時代からゴルフの授業を担当。公開講座のゴルフ指導も担当し、公開講座修了生の自主グループ「トカレゴルフ?楽部」の顧問として指導している。現在は、玉川大学の非常勤講師としてゴルフの授業を担当している。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 6月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

関西学院大学は、伝道者の育成とキリスト教主義に基づく青少年教育をめざし、1889年アメリカ・南メソヂスト監督教会の宣教師W.R.ランバスによって創立されました。初代学長(第4代院長)C.J.L.ベーツが提唱したスクールモットー“Mastery for Service(奉仕のための練達)”は、関西学院の建学の精神を簡潔に表現するものであり、「社会貢献のためにこそ実力を身につけよ」と解されています。 125年の歴史を持つ本学は、現在、3つのキャンパス(西宮上ケ原、西宮聖和、神戸三田)に11学部(神、文、社会、法、経済、商、人間福祉、国際、教育、総合政策、理工)と14研究科で構成されています。

授業風景

本学における保健体育科目は、1999年度以降「スポーツ科学・健康科学科目」と称し、身体運動や心身に関する分野を学問体系ごとに4つの領域に分類(スポーツ科学、健康科学、体育方法学、余暇生活学)し、講義科目と演習科目を提供しています。 ゴルフ授業は、「スポーツ科学演習」として、西宮上ケ原キャンパスの第2フィールドと近隣の上ケ原ゴルフ練習場を使用して授業が展開されていました。私は2004年度からゴルフ授業を担当し、その後、神戸三田キャンパスの理工学部と総合政策学部の教員からの強い要望もあり、神戸三田キャンパスでもゴルフ授業を展開することとなりました。 その神戸三田キャンパスには、12打席、90ヤードの立派なゴルフ練習場(写真参照)とゴルフアプローチ兼アーチェリー場(150ヤードのショートコース)があり、全国でもこれほど充実したゴルフ施設がある大学はないのではないかと思われます。 しかし、2008年度に人間福祉学部が開設されて以来、私達スポーツ科学・健康科学研究室のメンバーは、人間福祉学部とスポーツ科学・健康科学教育プログラム室を兼任し、ゴルフ授業は、神戸三田キャンパスで開講される「体育方法学演習C」の中で2回ほど実施する程度となりました。
打席が多いため、2名で1打席使用できる充実した授業環境

打席が多いため、2名で1打席使用できる充実した授業環境

先生の気持ち

「授業風景」でも述べましたように、本学の神戸三田キャンパスは、ゴルフ授業を展開する環境が非常に充実しています。また本学院が経営母体となる千刈カンツリー倶楽部も神戸三田キャンパスから近い場所に位置します。先般、池戸秀行総配人から、ゴルフ授業でのコース使用を快諾していただきました。 さらに有馬カンツリー倶楽部の谷光高代表取締役社長からも大学授業のゴルフ充実の為にと「ディボット・スティック」を大量に提供して頂きました。 本学のスポーツ科学・健康科学科目は、一般教養と位置づけてスポーツ科学、健康科学、体育方法学、余暇生活学の4分野から授業科目を提供していますが、現在、神戸三田キャンパスについては卒業要件との関係上、体育方法学のみ提供しています。近い将来、再び神戸三田キャンパスにおいてゴルフ授業(スポーツ科学演習)が展開できるように働きかけたいと思っております。

先生の紹介

溝畑 潤

関西学院大学准教授
溝畑 潤

溝畑 潤(みぞはた・じゅん) プロフィール 1971年大阪府生まれ。1994年日本体育大学体育学部卒業。1996年大阪教育大学大学院教育学研究科(体育生理学)修了(教育学修士)。2010年University of Wales Institute, Cardiff PhD中退(2007年入学)。1999年関西学院大学スポーツ科学・健康科学研究室着任(助手)。専任講師、助教授を経て2008年より関西学院大学人間福祉学部准教授、スポーツ科学・健康科学教育プログラム室副室長。現在に至る。 専門種目はラグビー。1996年に半年間ニュージーランドに留学。その後、数年間短期でニュージーランドに滞在する。ニュージーランド・ラグビー協会公認ジュニアコーチング、LEVEL1(初級)取得。ニュージーランド・ラグビー協会公認レフェリーLEVEL1(初級)、LEVEL2(中級)取得。また、学院留学で2年間(2007年~2009年)英国ウェールズに留学。ウェールズ・ラグビー協会公認LEVEL3(上級)取得。 研究分野は発育発達学。特に子どもの身体組成、運動能力、静的バランス能力(重心動揺)について研究している。所属学会は日本体育学会、日本体力医学会、日本発育発達学会、日本学校保健学会、日本教育医学会、日本健康支援学会。大阪体育学会理事。6月6日(火)武蔵野美術大学構内で行われたPGA井上副会長(武蔵野美術大学特別講師)による授業。 その模様を空からおった。 ※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 5月号(見本誌の申し込みはこちらから)

東京経済大学

1900年、国際社会で通用する人材を育成すべく創立された大倉商業学校を前身とする東京経済大学は、「進一層」と「責任と信用」を建学の精神とし、2020年に創立120周年を迎える。前身校の創立者大倉喜八郎は、明治・大正期に日本の基盤となる建設、電気、製鉄、繊維など200以上の企業設立に関わった実業家で、建学以来、実業界に多数の人材を輩出している。 確かな学力と社会人としての基礎を習得するために、現代版読み書きそろばんを習得する「ベーシックプログラム」、専門的な知識や幅広い教養を身につける「学部学科教育」、高度な資格や高い語学力を習得する「アドバンストプログラム」の3層構造の教育と培われてきた伝統で学生を育成している。

東京経済大学特任講師 樋口和洋(ひぐち・かずひろ)

東京経済大学 樋口和洋 特任講師

樋口和洋(ひぐち・かずひろ) 1965年長野県諏訪市生まれ。長野県諏訪清陵高校卒業。順天堂大学体育学部卒業。信州大学大学院修了(工学系修士)。佐久高校(現佐久長聖高校)保健体育科教諭、信州短期大学助手、専任講師、准教授を経て、2013年から東京経済大学経済学部特任講師。総合教養科目として、講義「健康の科学a・b」、実技「スポーツA・B・C」を担当し、実技種目としてはゴルフの他、バドミントン、バスケットボール、トレーニングを指導している。 研究分野は健康科学である。特に健康管理学や身体教育学に興味・関心を持ち、青少年を対象に様々な生活習慣と健康状況を調査、分析し「自発的な健康行動の変容」に向けた教育、指導に必要な基礎研究を中心に行っている。また、健康づくりの有効手段とされる運動やスポーツの動作特性と、それらを実施した際の生理学的応答と主観的運動強度の関係性について研究も進めている。 スポーツは中学から大学までバスケットボール部に在籍し活動していたが、専門競技の指導はバレーボールを高校教諭の頃より指導してきた。 所属学会は日本体育学会、日本体力医学会、日本公衆衛生学会、日本民族衛生学会、日本ゴルフ学会(関東支部幹事)他 武蔵野大学においても非常勤講師としてゴルフ授業を担当している。

授業風景

本学におけるゴルフ授業は、学内で半期毎週一回開講されている「スポーツB(ゴルフ)」(90分15週)と、夏期休業中に3泊4日で実施される学外集中授業「スポーツC(ゴルフラウンド実習)」で構成されています。前者は本学の富岡義志雄教授が、私は後者を同教授と共に担当しています。 武蔵村山キャンパスには約30ヤード、計12打席の屋根付き(打席上のみ)練習場があり、ショート、ミドルアイアンを用いてスイングの基礎練習を中心に行います。とはいえ、殆どが初心者の学生にとっては単調な動作に加え、思ったようなインパクトができないことから集中力が途切れ、モチベーションの継続も困難になります。したがって、ある程度の時間が経過した後に、同キャンパス内にある人工芝グラウンドを使い簡易的なショートホールを設定し、カップにはグラウンドゴルフのホールポストを使用しながらパターでカップインさせるラウンドゲームを行っています。

ナイスショット!

ラウンド実習を実施しているサンコー72カントリークラブ(群馬県)は本コース63ホール、ショートコース9ホールに加え、敷地内には練習場やホテルも完備されています。ラウンドの前後には様々なショット練習が可能であり、移動時間も軽減され、効率が良く密度の濃い実習プログラムが組めています。猛暑の中、広大なコースで受講生は四苦八苦していますが、日毎に意欲を増し、豊かな表情で純粋にゴルフを楽しむ学生の姿が見られます。

いざコースへ!

ゴルフ授業に携わり、東経大では5年目、前任の信州短期大学の頃から数えますと、今年で23年目を迎えます。歴が長いだけで、体系的な指導理論や自ら相応しい技術を身に付けてきたのかという自責の念を抱えながらも、ゴルフを楽しいと感じてもらえる授業作りを目指して常に創意工夫することや、単発的な機会に終わらせず、生涯スポーツの一つとして定着させるための授業を展開するという思いは忘れずに指導に当たってきました。これまで何度かラウンド実習に参加したことがきっかけとなり、受講生達自身が在学中や卒業後に改めて企画、コース等手配し、一緒にラウンドしたことは大変良い思い出となっています。 当たり前のことですが、毎年新しい学生が受講します。その殆どが初心者であることから、同じことを伝えるにしても、どのような伝え方であれば最も感じ取りやすく、理解してもらえるのか、学生の反応を観察しながら試行錯誤する日々です。今後も他大学でゴルフ授業を担当されている先生方との情報交換や研究誌等を通じて多くを学んでいくことは勿論ですが、関係するゴルフ諸団体の皆様方との連携も深めながら本学のゴルフ授業を発展させていきたいと考えています。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 4月号(購読申し込みはこちらから)

中央大学

「中央大学は、1885(明治18)年、18人の若き法律家たちによって「英吉利法律学校」として創設された。 創立者たちがこの学校を設立した目的は、イギリス法(英米法)の長所である法の実地応用に優れた人材を育成するために、イギリス法の全科を教授し、その書籍を著述し、その書庫を設立することにあった。 現在、法学部、経済学部、商学部、文学部、総合政策学部(多摩キャンパス)、理工学部(後楽園キャンパス)の6学部があり、文学部は国文学、日本史学、西洋史学、哲学、社会学、教育学、心理学専攻など13専攻ある。1976年に多摩キャンパスに移転し、広大なキャンパスに多くの体育施設を有する。ゴルフ練習場もハンドボールコート1面を改修して建設。5年前に打席上に屋根を設置した。2016年「中央ビジョン2025」を発表して今後の大学方針を示した。

中央大学教授 森 正明(もり・まさあき)

中央大学 森 正明教授

森 正明(もり・まさあき) 1952年福岡市(博多)生まれ。1976年中央大学文学部社会学専攻卒業。 1978年順天堂大学体育学部大学院(体育社会学)修了。 現在、中央大学文学部教授。これまで学友会総務部長(課外活動の責任者)、学長専門員(スポーツ振興)など担当。2017年4月より学生部長。 大学から始めたラグビーに青春をささげリオ大会からオリンピックの正式種目になった7人制ラグビーは、1976年から10数年全日本7人制ラグビー大会の準優勝時代に選手経験ができた。 ゴルフは、43歳でオーストラリアに留学する際40の手習いで始めた。HC32でプレイを始めた頃、あるパーティで次回はスカートをはいて参加するようジョークを言われた。男性HCは、28からということであった。ゴルフのおかげで留学先でもネットワークが広がった。その後、とりこになってのめり込んだが、最近は多忙のため年に10回もコースに出ることができなくなった。 所属学会は、日本体育学会、大学教育学会、野外教育学会、教育工学会など。 ここ10数年は「祭りとスポーツ」の研究で祭り組織とスポーツクラブ組織の比較文化研究を行い全国行脚している。小学校以来の自称「オリンピック博士」で、このテーマの授業や講演会等企画が増えている。

授業風景

中央大学は、40年前から学部縦割りという運営で正課体育も実施されているため学部ごとに実施形態が異なる。 ここでは、文学部正課体育(必修)のゴルフ授業を例にして紹介させていただく。 文学部では、1年次に必修科目としての体育(名称は体育の科学演習)を履脩することになっていて、1年次の必修科目を2つ以上残していると3年次に進級できない科目でもある。 大学では、学内にあるゴルフ練習場(ハンドボールコート1面程度、15打席)を利用して基礎練習から始めている。学部で開講してから10数年になるがゴルフボールをまっすぐ運ぶイメージをもたせるためにはターゲットバードゴルフ(以下、TG)経験が有効に働いているようなので、コースを回るルールも合わせて指導している。 15週の授業の10回がゴルフ練習場とTG,残る5回を安全配慮やゴルフの歴史、ゴルフTV番組をみせてコースに出ることをゴールとしている授業のテーマを理解させている。 2016年度から*Gちゃれ(八王子モデル)に行く機会ができたので実習前に本コース体験できる好循環が生まれた。 この(八王子モデル)については、ゴルフのGちゃれが取り入れた名称で、中央大学および周辺地域の大学や役所等とコラボできる企画を今後検討していきたいと考えている。 4泊5日の実習は、長野県志賀高原で実施しているのでコース使用は3日間である。初日は、空振りは一打バツにしないルールでまわり、二日目はこのコースのローカルルールでまわっている。この2日間でほぼ30のハンディキャップ(以下、HC)でコンペができる状況なので、例年最終日はHCを決めてストロークプレイのコンペを実施し、学生から集めた雑費で商品を準備し、夕食を兼ねたパーティで表彰している(写真)。

ゴルフ実習コンペ日の夕食を兼ねたパーティー

以上が中央大学文学部のゴルフ授業の紹介となる。 * Gちゃれ:正課と課外をつなぐ(ブリッジング)の効果をあげるため、武蔵野美術大学を中心に取り組みが始まった企画。中央大学では、2016年12月14日「様々なブリッジングを目指して(八王子モデルの発信)」というテーマのシンポジウムを開催した。帝京医科学センターの事例、ゴルフGちゃれ事例、八王子市役所2020レガシーを目指した取り組み事例の3事例を紹介した。

先生の気持ち

ここ数年、実習を伴ったゴルフ、テニス、スキー、キャンプなど3、4万円の費用負担がある授業の履脩者が減ってきている。子どもの貧困という課題が大学にも問題になってはきているが、集中授業ならではの同じ釜の飯を食べて、合宿生活を体験できるメリットはなくなっていない。 今後も実施できる範囲で、この形態の授業を継続していきたい。世話人の江原義智先生の原著論文が臨床スポーツ医学会誌に掲載されました。 江原義智, 田辺解, 白木仁, 久野譜也. 日本人男性ゴルファーにおけるクラブヘッドスピードと体力要因との関連, 日本臨床スポーツ医学会誌., 25(1 ):68-74, 2017

1.大学ゴルフ授業への用品提供事業の概要

2016年6月27日、(公社)全国大学体育連合(大体連)、(公社)日本プロゴルフ協会(PGA)、ゴルフ市場活性化委員会(GMAC)が産学連携協定を結んだ。 この協定の目玉の一つに、(一社)日本ゴルフ用品協会(JGGA)に加盟するゴルフ用品メーカー各社による大学ゴルフ授業に対する用品(クラブ)提供事業がある。 これは、JGGA加盟企業のご厚意によるものであり、大体連会員校のうちゴルフ授業を展開している大学にゴルフクラブを提供するものである。本事業を通じて、大学のゴルフ授業が発展し、ゴルフ市場全体が活性化することが大いに期待されている。 なお、本事業における実務は大学ゴルフ授業研究会が執り行うこととなっており、研究会の世話人の一人である著者が担当として大学とJGGA双方の窓口となっている。

2.ゴルフ用品提供の流れ

本事業におけるゴルフクラブ提供の流れについては図1に示した通りである。まず、提供を希望する大学は申請書に同意書を添えて申請手続きを行う(上限40本、うちショートアイアン10本まで)。 次に、大学ゴルフ授業研究会がこれらを取りまとめ、供給量とのマッチングを行ったのち、JGGAに発送手続きを依頼する。JGGAは、発送依頼に基づき着払いにて大学へ発送するという流れになっている。 なお大学には、提供を受けたクラブを用いた授業の終了後、報告書および学生のアンケートを提出することが義務づけられている。 またその他の申請要件として、大体連大学会員であることに加え、事務職員のゴルフ用具保管責任者の設定、提供クラブの権利関係および保管に関する同意書の提出がある。以上の手続きにより、大学としては送料の負担だけで、クラブの提供を受けることができることとなっている。 用品提供の流れ のコピー

3.現状の様子

2016年11月14日現在、22大学から申請があった(表1)。本事業開始当初すぐに18大学から申請があり、その後、夏休みを経て4大学から申請があったが、当初の予想を裏切って低調となっている。 申請内訳をみてみると、男性用ドライバーの希望が最も多く(133本)、女性用7番アイアンが最も少なかった(左利き用ウッドについては当初在庫が無く、2回目の供給時に追加されたものであり、大学に対して十分にアナウンスがされていないためカウントから除外した。)また申請に対して最も供給量が少なかったのは女性用ドライバーであった(-303.6%;113 vs 28: 申請数 vs 供給数)。 なお、7番アイアンについては男性用・女性用ともに申請に対して供給が多く、供給量に対する配布率は9.6%にとどまっている。 用品提供の流れ のコピー

4.学生の反応>

申請要件としての学生対象アンケートでは、提供クラブと本事業への感想、ゴルフへの関心について調査している。2016年11月15日現在、2大学37名(男子9名、女子28名)より回答を得ている。 回答者のゴルフ経験は、1年未満の3名を除き全てゴルフ未経験であり、ラウンド経験がある者は1名であった。ゴルフ授業受講以降、購入したゴルフ用品は、グローブが2名、ゴルフウェアが2名で、33名は何も購入していない。 ゴルフ授業を契機として、練習場に行った者は4名、TV観戦をした者は1名、インターネットによる情報検索をした者が1名であり、ゴルフに関連する活動を何もしていない者が32名であった (複数回答)。また、今後ゴルフを継続したいと考える学生は5名、継続しないとしたのは10名であった(どちらとも言えないは22名)。 最も多かった「どちらとも言えない」の理由として、「ゴルフクラブを持っていない (1名)」「近くにゴルフをする場所がない (1名)」「運動によさそう(1名)」と肯定・否定両面の意見が挙げられた。継続したい理由には、「楽しかったから (1名)」「上手くなりたい (1名)」が挙げられ、継続しない理由を挙げる者はいなかった。 用品提供については、その説明を受けたとする者は15名であり、半数以上の学生(22名)が担当教員より本事業について説明を受けていないことが明らかとなった。一方で、提供クラブに関する感想・意見では、「感謝している(7名)」「使いやすかった(6名)」「良かった(4名)」の順に多かった。反面、「重さが厳しい(1名; 女子)」という意見もあり、女性用クラブが十分に行き渡らなかったことが示唆された。

5.課題と解決策等

学生アンケートの結果から、学生の本事業に対する反応は概ね良好であるが、「特になし」と回答した者が12名いたことは見過ごすことができない。これは担当教員による学生に対する本事業のアナウンスが足りないことに起因していると考えられる。 学生がゴルフに対して親近感を持つためにも、本事業が業界を挙げてのバックアップ体制によるものであることをきちんとアナウンスするよう周知徹底をしていかなくてはならない。 一方、著者が提供クラブを授業で使用した際の学生の反応であるが、本事業の説明した段階では非常に盛り上がった。しかしながら、実際に使用する段階では、受講生数に対して数量が不足することが判明した。その結果、提供クラブが行き渡らなかった学生には明らかに落胆の様子がうかがえた。 学生の期待を裏切らないためには、受講者数に見合った数量が必要である。すなわち、申請に対して満額回答しなくては学生の満足度にはつながらない。一律の申請上限ではなく、受講者数を考慮していくことが必要であろう。 また提供クラブの配分に当たり需給調整を必要として原因の一つに、7番アイアンの在庫が抱負であることが挙げられる。これを解消するために研究会としては、大学に対して7番アイアンを積極的に使用できる様な授業内容を提供(開発)するとともに、業界に対して「試打クラブ=7番アイアン」という常識を変えていただけないかと考えている。 両者が調整をすることで、大学としては多様なクラブの提供を受けることができ、多様なゴルフ授業の展開が可能となる。なお、現時点で申請大学数が低調なっている点については、手続きの煩雑さと大体連会員校であることの縛りが大きいと考えている。 これら、いずれの課題についても、本事業において中立的な立場である本研究会が、「何を優先すべきか」という視点で関係各所と調整を行い、長期的かつ全体の利益に結びつけていくことが肝要であると考えている。 末筆となりますが、業界各位におかれましては対してはこれまでのご厚意に感謝すると共に、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。 プリント 以上 髙𣘺 宗良(たかはし むねよし) 1969年東京都生まれ。 博士(教育学)、博士(保健学)。 鎌倉女子大学児童学部准教授、武蔵野美術大学兼任講師。 専門は、スポーツ方法学、安全教育学。 安全教育学と授業改善の視点からゴルフについて研究をしている。 日本ゴルフ学会理事・関東支部理事長、大学ゴルフ授業研究会世話人。 日本運動・スポーツ科学学会理事。 (公財)日本水泳連盟学生委員会関東支部副支部長、地域指導者委員会委員。 三鷹市スポーツ推進審議会委員。