大学ゴルフ授業研究会
※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年7月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

創立以来、受け継がれる玉川大学の教育理念「全人教育」。それは、未来のリーダーシップを担い、さまざまな問題解決に積極的に挑むことのできる人材を育成する実践教育であり、知識を生きた力とするために必要な人格を形成する人間教育です。 また、緑豊かな61万㎡の広大なキャンパス(東京ドームのグラウンド40面以上)には充実した教育施設・設備が点在し、最先端のアカデミックな環境には約7500名の学生が充実した学生生活を過ごしています。 幼稚部から大学院までがこのキャンパスにあり、大学は、8学部17学科がワンキャンパスに集結しており、学部を超えた交流も盛んです。

授業風景

玉川大学は1年次必修科目として「健康教育」が1単位あり、健康やスポーツに関する理論と実技を学ぶことになっています。ゴルフは全学選択科目であるUS科目の中に「生涯スポーツ演習(ゴルフ)」として実施されています。 今年度は春学期、週2コマ(1コマ:100分×15時間)を実施しており、定員は20名。毎年人気で、コンピュータによる抽選となり、優先順位の高い4年生のみの授業となることもしばしばです。(実際、今年度は全員4年生)

グラウンドでの授業風景

本学には学内にゴルフ練習場約60m(10打席)があり、自動球回収洗浄器付の全国的に見ても恵まれた施設を有していたため、この連載にもお声がけ頂いたのではないかと思います。しかし、今年3月の大雨で打球方向の斜面が崩落し、危険であるとの判断により、新年度の授業をどこで展開するか。新学期が始まるまでに時間が迫る中、議論を重ねてきました。 それは、使用しているのが大学の授業だけでなく、併設校の高校2年・3年生の体育授業、ゴルフ部(高校・大学)、そして今年度からスタートする小学生の学童プログラムと多彩な面々だからです。 結局、大学当局と話し合いの結果、写真1の10打席の鳥かごを急遽設置してもらうことになりましたが、完成は5月末。2ヶ月は写真2のようなグラウンドにてプラスチックボールを中心とした打撃練習。

新しくできた鳥かごでの授業風景

ターゲットバードゴルフやスナッグゴルフなどのニュースポーツを並行して実施しました。

先生の気持ち

6月になり、はじめてゴルフボールをフルショットで打てることになりました。これまでプラスチックボール、ターゲットバードゴルフ用のボール、スナッグゴルフ用のボールしかフルショットしたことがない初心者の学生にはその打球感が新鮮だったようです。 特にスウィートスポットを外したときの手に伝わる衝撃は、ゴルフグローブを忘れた学生には…。 現役ゴルフ部員から初心者までを指導するのは難しいですが、上級者には初心者を指導することを課題にしています。また、初回に好きなプロゴルファー(好きなスウィングする)をYouTubeで見つけてくるように指示し、それを見本に自分のスウィングをスマートフォンで撮影した際の比較対象にするようにしています。リズムやアドレスなど15回で様になってくる学生が多いですね。 普段話をしない様々な学部からの受講者がゴルフの授業を通じて仲良くなり、ショートコースやゴルフ場でプレイしてきたという報告を聞くのが毎年の楽しみです。

先生の紹介

玉川大学教育学部教育学科 主任(教授) 川崎登志喜 (かわさき・としき) 1962年鹿児島県生まれ。筑波大学体育専門学群卒業。筑波大学大学院修士課程体育研究科修了。 1990年より玉川大学に勤務。現在、玉川大学教育学部教育学科主任(教授)。体育会陸上競技部部長。女子駅伝チームの強化が課題であるが、専門種目はやり投げ。人生「投げやり」が自己紹介の定番である。 担当科目は「体育経営管理」「体育社会学」「体育実技(陸上)」「生涯スポーツ演習(ゴルフ)」など。 大学卒業後ゴルフを始め、一番ゴルフをしたのは42歳、アメリカ・オレゴン大学への1年間在外研究中。プロのトーナメント4日間のラウンドを味わおうと挑戦し、その大変さを知る。最近は年間数ラウンドである。 所属学会は日本体育学会、日本体育・スポーツ経営学会(監事)、日本ゴルフ学会関東支部理事など。東京都町田市スポーツ推進審議会会長。近著に「教養としての健康・スポーツ」(玉川大学出版部)がある。 「大学一般体育におけるゴルフの授業に関する研究」(1992)「ICTを利用した体育実技(陸上・走幅跳)の実践研究―スマートフォンのカメラ機能を活用した記録の向上―」(2017)「学童野球の投球制限に関する研究―イニング毎の投球速度の視点から―」(2012)など研究論文を発表。スポーツ全般に興味がある。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年6月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

1966年に立正女子大学として埼玉県越谷市に開学し、1976年(昭和51年)に名称を文教大学に改め、翌年に男女共学にした。1985年には神奈川県茅ヶ崎市に湘南キャンパスを設けた。 2021年には東京都足立区に新たなキャンパスを開設する予定。教育学部と人間科学部、文学部、情報学部、国際学部、健康栄養学部、経営学部の6学部で、収容定員数は7,600人。 人間愛を建学の精神とし、「人間を信頼し全ての人に対して温かい愛情を持つ人材を育てること」を実践している。小学校と中学校の教員採用者数がどちらも私立大学で全国1位を誇る教育学部のほか、どの学部でも教員養成をしており、教職に就いている卒業生が多い。

授業風景

国際観光学科の専門科目「レジャースポーツ演習」(3年次、2単位)でゴルフを教材とし、ビジネスや環境問題などに関する講義を30分、実技を60分の割合で授業を行っている。ケーススタディと実習課題にも取り組ませており、ケーススタディでは、ゴルフ・ツーリズムや外国人観光客誘致の取り組み、中韓台のゴルフ事情、ゴルフ場の環境対策などに関する事例を調査させている。留学生の母国事情を調査したレポートでは興味深いものも多い。 実習課題では、ゴルフ練習場やシミュレーション・ゴルフ、ゴルフコース(ショートコースでも可)での体験をビジネスの観点から報告させているが、レポート文面からは初体験の緊張や興奮が伝わってくる。親に連れて行ってもらう学生もおり、継続するきっかけになることを期待している。ゴルフダイジェスト社の大学ゴルフ授業WORKBOOKには、ゴルマジ!と楽ゴル、ダンロップゴルフの広告が掲載されているので、補足説明して、近隣にあれば行くように伝えている。 実技は施設の関係上、体育館内で行っているが、ショットやパットの練習のほか、ターゲットバードゴルフのラウンドを行い、ゲームの楽しさも体験させ、ルールとマナーも覚えさせている。受講生は、ゴルフ市場の規模の大きさや、リゾート地にゴルフ場がある理由を体験とともに理解し、その現状と課題についても考えるようになったようである。

先生の気持ち

本授業は3年次の選択科目なので受講者も多くなく、昨年度は20人弱であった。以前は自作の配付資料だけを使って授業をしていたが、昨年度からはゴルフダイジェスト社のワークブックも加わり、授業内容が充実した。 危機管理やゴルフ場デビューの案内など写真やイラストも綺麗なので、学生の関心を引きつけやすい。グローブとセットで800円と格安なので、学生も迷うことなく、全員が購入した。 ゴルマジ!と楽ゴルなどの広告が掲載されているのも有り難い。グローブにはGちゃれのロゴマークが付いていて、学生は毎回目にして馴染んでいるので、Gちゃれの参加募集をするときに説明しやすかった。 昨年度は、全国大学体育連合とゴルフ市場活性化委員会の連携の一環として、日本ゴルフ用品協会からゴルフクラブ60本を寄贈していただいた。そのお陰で、20年来のアイアンを一新させ、これまで十分に保有していなかったドライバーとフェアウェイウッドを使った授業も行えた。 これらのクラブに負けないように、日本プロゴルフ協会の協力による実技研修会にも参加して、指導力を向上させたいと考えている。『PGAカレッジゴルフテキスト』や指導マニュアルも参考にしている。 このようなゴルフ業界による支援に対して心より感謝している。これからも大学ゴルフ授業研究会の研究活動や研修会に参加して研鑽に努めたい。 本学の湘南キャンパスでは施設の関係上、少人数で屋内で行っているだけだが、2021年に開設する東京あだちキャンパスでは、人工芝のグランドを使い、できればショットケージを作って、実技科目として複数コマ開講したいと計画している。 Gちゃれやゴルマジ!、楽ゴルの体験者も増やしたい。そして、廃部となっているゴルフ部を復活させたいと願っている。

先生の紹介

文教大学国際学部 教授 小林勝法 (こばやし・かつのり)
小林勝法

小林勝法

1958年生まれ。神奈川県立川和高等学校卒業。国際基督教大学教養学部卒業。筑波大学大学院修士課程体育研究科修了。1990年より文教大学に勤務。日本体育学会理事、大学教育学会常任理事を歴任。現在、(公社)全国大学体育連合専務理事、スポーツ安全協会評議員、JSCスポーツキャリアサポートコンソーシアム運営委員など。 担当科目は、「スポーツ健康演習」、「スポーツ科学」、「スポーツビジネス論」、「レジャースポーツ演習」など。担当実技は、テニスやバドミントン、レクリエーションスポーツなどで、以前は、合気道や居合道、太極拳も担当した。 上海体育学院では客座研究員として、人間の潜在能力開発について研究をし、研修も受けた。スポーツや武道による能力開発や教育に取り組んでいる。大学ゴルフ授業研究会ではカリキュラム開発を担当している。 スポーツ産業史について、スキーやサーフィン、阿波踊りの普及と発展過程においてスポーツ用品産業や観光業がどのように寄与したのかについて研究した。 大学体育については、教員の資質能力向上やキャリア開発について研究を進めている。近年は大学スポーツの国内外の現状について調査しており、スポーツ庁の大学スポーツ振興に関する検討会などの委員も務めている。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年5月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

金沢工業大学は、1965年開学の理・工系大学であり、「人間形成」、「技術革新」、「産学共同」を建学綱領としている。創立以来、工科系単科大学として歴史を刻んできたが、現在は4学部12学科、学年定員は1,480名となっている。 キャンパスは、野々市キャンパス(野々市市)、八束穂キャンパス(白山市)、東京虎ノ門キャンパス(社会人大学院)に加え、穴水湾自然学苑(石川県穴水町)、天池自然学苑(金沢市)、池ノ平セミナーハウス(新潟県妙高市)がある。 教育付加価値日本一の大学を目指し、「総合力=学力×人間力」を最大限に伸ばすことをねらいとするプロジェクトデザイン教育に力を入れている。

授業風景

金沢は冬季の天候が悪いことから、ゴルフは1年次後学期の前半(9月下旬から11月下旬)で完結するいわゆる8週科目として開講しています。現在、ゴルフの授業は最大受講者数を48名に設定して4クラス開講(月・火・木・金)しており、1クラス平均で30名前後が受講しています。 ゴルフの授業は、野々市キャンパスからバスで約25分の所にある天池自然学苑内に設けられた専用練習場で行っています。練習場は傾斜を利用して3段の打席に分かれており、上段打席から約50ヤード地点と下段打席から約120ヤード地点の2ヶ所にグリーンが設置され、120ヤードのグリーン手前にはガードバンカーもあります。 受講生は、成果発表(成績評価項目の1つ)として、上述3地点へのショットと、パッティングの成果テストを自己採点方式で実施します(10点満点×4項目)。さらに、スマートフォンのビデオ機能や無料アプリを利用して自身のスイング分析を行い、よく生ずるミスショットの原因とその改善方法に関するレポート提出も課されています。 受講終盤には、実践編としてターゲットバードゴルフによるラウンド実践を経験します。ラウンド実践に際してはラウンドに必要最低限の知識(エチケット・マナー・ルール)の講義を受けてから12ホールのターゲットバードゴルフコースをラウンドしてゴルフの楽しさの一端を経験しています。

先生の気持ち

本学におけるゴルフ授業の歴史は長く、1977年に天池自然学苑(以下、天池G)ができる以前から野々市キャンパスで開講していましたが、天池Gが開設されてからは、晴天時は天池Gで、雨天時は野々市キャンパスにある体育館や、講義室を利用して授業を行ってきました。 残念ながら、本学の教育改革に伴い8週科目としたことでゴルフへの取り組み時間が従来に比して半減し、技能の伸びはあまり期待できなくなってしまいました。
ターゲットバードゴルフコースラウンド風景

ターゲットバードゴルフコースラウンド風景

しかしながら、ゴルフを経験したことのない大学生にとって生涯スポーツとしてのゴルフへの導入機会としてとらえ、ターゲットバードゴルフですが、ラウンド実践によりゲームとしてのゴルフの楽しさを伝えることをゴールの1つとして設定しています。 と同時に、エチケット・マナー、安全、ルールを守ること、あるいはパートナーとのコミュニケーションを大切にすることといった人間力向上に関わる経験をすることで、本学が掲げる「総合力=学力×人間力」を最大限に伸ばすことの具現化へ向けた授業設計としています。 このため、「ゴルフでルールを守ることと、日常生活との関わり」というテーマでのレポート作成も課しています。
専用練習場での授業風景

専用練習場での授業風景

さらに、サッカー界で取り組んでいる「RESPECT PROJECT」の一端を授業に取り入れることをねらいとして、学生代表に「RESPECT 宣言」を読んでもらってから、挨拶をして授業を始めています。 これは、他者に対する気持ちはもちろん、用具を含めて全ての事柄を大切に思う心を持とうというサッカー界の取り組みです。学生たちが授業時のみならず日常生活においてもRESPECTを実践してくれることを期待して取り組んでいます。

先生の紹介

金沢工業大学 基礎教育部修学基礎教育課程 教授 高畑 俊成(たかはた・としなり)
高畑 俊成

高畑 俊成

1956年生まれ。富山県立新湊高等学校卒業。金沢大学教育学部卒業。同大学教育専攻科修了。運動中の体温調節に関する研究で1993年博士(医学)。 2018年大学体育教育賞受賞。 基礎教育部修学基礎教育課程生涯スポーツ科目担当教員として、「ゴルフ」、「フットサル」、「バドミントン」、「トレーニング」、「健康・体力づくり」に加え、集中講義科目である、「スキー」、「白山登山」、「100km歩行」を担当。この他に、初年次教育の通年科目として開講されている「修学基礎A」・「同B」も担当している。 専門種目はサッカー。インカレには北信越代表として4年連続出場。1980年の助手着任と同時にサッカー部監督に就任し、現在も継続中。日本サッカー協会公認B級コーチ、同キッズリーダーインストラクター、同スポーツマネージャーカテゴリー3などの資格を保有。 1998年4月から2011年3月まで石川県サッカー協会専務理事。2012年からはJリーグマッチコミッショナーを担当しており、スタジアムの芝生管理者の方々から芝生の維持管理について話を聞く機会も多い。 ゴルフは助手時代から始め、ラウンドベストは78、ハーフベストは36であるが、最近は飛距離が落ちてスコアメイクできないことが悩みの種。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年4月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

滋賀大学は1949年(昭和24年)に設立されました。設立以来、教育学部と経済学部の2学部でしたが、2017年(平成29年)にデータサイエンス学部が新たに設置され、3学部となりました。教育学部は大津市にキャンパスがあり、経済学部とデータサイエンス学部は彦根市にキャンパスがあります。 私が所属する教育学部は琵琶湖から流れ出る瀬田川沿いにあり、近くには紫式部が「源氏物語」を執筆したとされる石山寺があり、豊かな歴史と美しい自然に囲まれています。 学生は教員を目指す者がほとんどであり、教員就職率は全国第4位で、総合大学としては第1位となっています(2015年度)。

授業風景

「身体運動の科学」の授業の中でゴルフ実習を二日間の集中講義で行いました。 一般社団法人日本ゴルフ用品協会よりゴルフクラブの提供を頂くことができましたので、今年度(2017年度)よりゴルフの授業を行いました。
ゴルフ練習場での練習風景①

ゴルフ練習場での練習風景①

これまではゴルフではなく、レクリエーションなどを行っていましたが、クラブ提供を受けることができたことと学生たちにゴルフを体験してほしいという私の思いがあり、ゴルフに変更しました。 受講生は約20人で、ほぼ全員が初心者でした。初日の午前はゴルフの概要(ルール、マナー等)とスイングのポイントの講義を行い、その後、体育館にて素振りの練習を行いました。 午後からは大学近くのゴルフ練習場に行き、二人1組で1打席使用し、2時間の練習を行いました。二日目の午前は初日のスイング映像を見て、各自課題を見つけるという作業をしてもらいました。午後からはゴルフ練習場に行き、練習を2時間行いました。 多くの学生がゴルフの魅力にとりつかれたようで、2時間の練習が終わる頃には、「もう終わってしまう」や「また来たいです」という声がよく聞こえました。技術面も少しではありますが、皆上達していました。 二人組で1打席利用したため、お互いにアドバイスしあったり、携帯電話で映像を撮ることができたので、その点が技術向上に繋がったと思います。
ゴルフ練習場での練習風景②

ゴルフ練習場での練習風景②

先生の気持ち

普段の体育の授業ではバレーボールやバスケットボールなどを行い、学生たちも楽しんで運動を行っていますが、以前から何か物足りなさを感じていました。 高校までの授業で経験したことがなく、大学の授業でないと経験できないようなスポーツで、生涯スポーツに繋がるスポーツを学生たちに経験させたいと思っていました。また、本学の学生は教員になる者がほとんどです。 視野の広い教員になってほしいため、様々な経験をさせてあげたいと思っていました。その折、クラブ提供を受けられることを知り合いから聞き、「これだ」と思い、ゴルフの授業を行うことを決めました。 初めての授業であったため、不安の中での授業でしたが、学生たちは大変満足していたようで、ゴルフの難しさを感じながらも、上手く打てた時の爽快感と上達していく過程に喜びを感じているようでした。 授業ではゴルフのマナーについて話をしましたが、それは全てのスポーツあるいは日常生活にも通じることですので、将来教員になる学生たちには良い勉強になったのではないかと思っています。また、 普段の授業以上に学生同士あるいは学生と教員間でコミュニケーションがとれており、その点も良かったと思います。 私自身の指導においては、スイングをどこまで修正させたらよいのかに悩みました。学生自身の感覚もあるので、逆にうまくいかなくなるのではないかと思い、指摘するかどうかを迷いました。 来年度以降も授業を継続していく中で、試行錯誤しながら、指導を改善していきたいと思っています。今回はコースに出ることはできませんでした。 ゴルフはコースに出ることによりその醍醐味を味わえると思います。本学の近くにはとても良いゴルフ場があるので、いずれはコースに出て授業を行いたいと思っています。

先生の紹介

滋賀大学 教育学部准教授 松田繁樹(まつだ・しげき)
松田繁樹

松田繁樹

1977年 愛知県瀬戸市生まれ 1996年 私立南山高等学校卒業 2000年 金沢大学教育学部スポーツ科学課程卒業 2003年 金沢大学大学院教育学部研究科修了(修士(教育学)) 2007年 岐阜聖徳学園大学短期大学部専任講師 2010年 金沢大学大学院自然科学研究科修了(博士(学術)) 2013年 岐阜聖徳学園大学短期大学部准教授 2014年 滋賀大学教育学部准教授 (至現在) 2015年 龍谷大学 非常勤講師 (至現在) 2017年 京都産業大学非常勤講師(至現在) 滋賀大学では体力科学、生理学、サッカー、陸上競技、身体運動の科学などの授業を担当している。専門分野は測定評価、発育発達、トレーニング科学である。主に子どもの足裏に関する研究、サッカー選手のトレーニングに関する研究を行っている。所属学会は日本体育学会、日本発育発達学会、日本教育医学会、日本体育測定評価学会、日本フットボール学会などである。著書には、『新時代の保育双書「保育内容健康」』(共著)、『健康・スポーツ科学の基礎』(共著)、『幼児のからだとこころを育てる運動遊び』(共著)などがある。 専門競技はサッカーであり、国体や天皇杯に出場した経験がある。保有資格には、CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)、公認サッカーC級スポーツ指導員などがある。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年3月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

「学びたい」という熱意のもとに学生たち自らが中心となって本学の前身である武蔵高等工科学校が創られました。 "公正・自由・自治" という建学の精神は、88年の時を経てなお力強く継承されています。2009年に武蔵工業大学より「東京都市大学」と改称した本学は、現在では社会の根幹を支える工学をはじめとした環境、情報、都市生活、幼児教育の各分野にわたる、6学部18学科を備える総合大学となりました。 本学は、これからも専門的実践教育の伝統を生かし、都市に学びながら、都市の抱える問題を克服できる人材を世に送り出すことで、人類の未来に貢献し、国際都市東京で存在感を示す有数の私大を目指します。

授業風景

本学におけるゴルフ授業は、「生涯スポーツ(ゴルフ)ゼミナール」(以下ゴルフゼミ)と「応用体育(集中)」の2科目が開講されています。
体育館での授業(仮想コースをラウンド)

体育館での授業(仮想コースをラウンド)

ゴルフゼミは、週に一回100分(計14回)の授業と2泊3日のコース実習が組み合わさった授業となっています。週一回の授業は、まず体育館内において、穴のあいた練習用ボールを使用し、スイングの基礎を固めています。授業の後半では、池やOBなど仮想コースを体育館内に作成し、ラウンドすることによってルール、マナーなどを楽しみながら覚えてもらっています。また、鳥かごの練習場が4打席あり、実際のボールを使用したスイング練習、室内でのパット練習、スイングのビデオ分析など講義も含めて様々な手法で授業を展開しています。2泊3日のコース実習においては、「サンコー72カントリークラブ」のご配慮により、素晴らしい環境の中、実際のコースを体験できる授業となっています。 応用体育(集中)は、学内にて3日間、スイングの基礎を学び、その後ゴルフゼミの学生と共に2泊3日のコース実習を行っています。ゴルフゼミよりは、練習期間が短いため、ショートコースを利用しながらルール、マナーなどを学び、最終的には通常のコースを全員でラウンドする授業となっています。
ゴルフコースでの実習

ゴルフコースでの実習

先生の気持ち

ゴルフは、良いスコアを目指す競技自体の楽しさだけでなく、ルールを守ること、周りへの配慮、人とのコミュニケーションなど我々にとって大切なことを学べる素晴らしいスポーツです。 本学の学生にも授業を通じて多くのことを学び、今後の人生に活かしてしてもらいたい、そして、生涯ゴルフを続けてもらいたいと思っています。 ゴルフを指導する立場にあたり、まずは自分が学ばなければいけないと思い、10年前から柳原良之プロの指導を受けるようになりました。 この出会いは、技術向上や指導法を教えていただいているだけでなく、人としてゴルフの魅力をどのように伝えるべきかなど、様々なことを学ばせて頂いています。 また、2016年には、ニュージーランドで一年を過ごし、改めてゴルフの魅力に取りつかれることになりました。ニュージーランドでは、どのようにゴルフの指導をしているか、またゴルフ人口をどのように増やす努力をしているかなど、実際にレッスンを受けたり、コースでマネージャーと話したりすることによって多くのことを学ぶことができました。 更には、ゴルフを通じてかけがえのない友人も作ることができました。 このような素晴らしい人とのつながりを生んでくれる魅力あるゴルフをしっかりと学生に伝えられるよう、今後も学び続け、楽しく、充実した授業を目指していきたいと思っています。

先生の紹介

椿原徹也(つばきはら・てつや)
椿原徹也

椿原徹也

1976年京都府生まれ。成蹊高等学校卒業。筑波大学体育専門学群卒業。筑波大学大学院体育研究科コーチ学専攻修了。2011年には、弘前大学大学院医学研究科社会医学専攻修了。 2001年4月より武蔵工業大学(現在の東京都市大学)の助手として着任、講師を経て、2013年より東京都市大学共通教育部人文社会学系の准教授。担当科目は、基礎体育、応用体育、スポーツ・健康論、スポーツコーチングゼミナール、スポーツ戦略戦術ゼミナール、生涯スポーツ(ゴルフ)ゼミナール等。集中授業として、夏はゴルフ、冬はスキー・スノーボードがあり、指導を担当。スノーボードにおいては、SAJ(全日本スキー連盟)の指導員資格を取得。 2016年4月から2017年3月までカンタベリー大学客員研究員としてニュージーランドに滞在。様々なスポーツのコーチングについて研究を行った。 専門種目はラグビーフットボール。2004年から2005年まで女子7人制ラグビー日本代表並びに女子ラグビー日本代表ヘッドコーチを務める。現在は、東京都市大学ラグビー部監督。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年2月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

1942年に興亜工業大学として開学した、日本で最も歴史のある私立の工科系大学 (本校:千葉県習志野市)。 現在は平成16年4月より、5学部17学科という新たな学びのカタチへ生まれ変わり、カリキュラムがより専門性に特化し、好学心を更に高める学びへと進化している。 「世界文化に技術で貢献する」を建学の精神とし、「広く世界に知識を求める好学心を持つ人材の育成」「自ら学び、自ら思索し創造する人材の育成」「自由闊達、機智縦横な人材の育成」「善隣及び協力をつくり上げていく人材の育成」「高度な専門知識と豊かな教養を持つ、学理及び技術に優秀な人材の育成」を目指している。教職員数はおよそ900人弱。 2027 年に迎える創立 100 周年に向け、私立理工系のトップランナーとしての社会的評価を得るべく、様々な取り組みを進めています。

授業風景

現在、集中型の授業でゴルフに取り組んでいます。千葉工業大学の茜浜運動施設には人工芝で造られたラグビー場があり、ここでショートアイアンを用いた授業を行います。 屋内練習場にはゴルフゲージがあり、雨天時やロングアイアンやドライバーを用いる際に利用しています。受講生は入学時に貸与されたiPadminiを用いてお互いの動作を撮影し、グループ内でディスカッションをかわしながらスイングの改善を行っています。 また、EPSON社のM-Tracer for Golfを用いた詳細なスイング解析によるフィードバックもディスカッションの材料となっています。
授業中にはお互いの動作を撮影し、ディスカッションを行います

授業中にはお互いの動作を撮影し、ディスカッションを行います

授業では、ゴルフ技術の向上はもとより、社会人基礎力の養成を主な目的としています。従って、グループ内でコミュニケーションを取り、課題発見・解決能力の育成、教え合いや学び合いを中心に行っています。 また、身体運動を通して感じたことなどを言語化する教室での授業も行っています。 授業の途中には民間のゴルフ練習場での授業や、最後には御宿にある本学の研修センターへの宿泊を兼ねた大原・御宿ゴルフコースでのラウンド授業(ハーフ)も行います。 学外での授業を通してゴルフの種目特性に触れたり、社会のマナーなどを意識することが、社会人基礎力の養成に大いに役立つと考えています。実際に、社会人基礎力のアンケート調査によって、受講生の社会人基礎力は改善するという結果も得られています。
ゴルフクラブでの授業では、クラブにある様々な施設を利用しながら学習します

ゴルフクラブでの授業では、クラブにある様々な施設を利用しながら学習します

先生の気持ち

以前はゴルフの授業を半期授業の中でも行っていました。しかし、半期の授業は週に1回90分のみであり、準備や片付けの時間、施設の移動時間などを考えると決して効率の良い授業とは言えませんでした。 また、屋外のラグビー場での練習ではショートアイアンしか用いることができないことや、学外で授業を行うことができないために受講生のモチベーションを維持することが非常に困難でした。 しかし、集中型の授業では一回につき長時間練習ができることや、最終的にハーフではありますが本コースをラウンドするという目標(ある意味プレッシャー)ができるため、受講生はそれなりに熱心に取り組むこととなります。 ゴルフの種目特性を生かすにはやはり集中型が良いのではないかと考えます。 特に本コースでの体験ができることは受講生にとっては大きな経験になると考えています。今の日本では、社会人になってからゴルフを行う機会が出てくることが多くなります。 その時に、学生時代に少しでもクラブハウスやラウンドの経験をしておくことが、とても役に立つと考えています。ゴルフそのものへの興味はさることながら、社会経験を積ませ、なれさせることができるのもゴルフの種目特性の一つだと思います。 本授業は社会人基礎力の養成を第一の目的にしています。それは、大学における教養科目のスポーツ科目が今後どうあるべきかを考えた結果です。 健康増進や技術向上も重要ですが、わずかな授業期間で学ぶ内容として、教養科目としてのスポーツ科目の意義は人間力の養成である、というのが千葉工業大学の考え方です。スポーツ科目を通じて受講生が人間力や社会人基礎力について意識することは、彼らの将来に役立つものであると思います。

先生の紹介

千葉工業大学先進工学部 准教授 金田晃一(かねだ・こういち)
金田 晃一

金田 晃一

1980年生まれ。兵庫県立長田高等学校卒業。筑波大学体育専門学群、同大学院修士課程体育研究科修了、同大学院博士課程人間総合科学研究科修了、慶應義塾大学政策・メディア研究科特別研究助教、日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、2014年より千葉工業大学に着任。担当科目は、スポーツ科学、身体と健康の科学、課題探究セミナーなど。 主に水泳・水中運動時の筋活動計測や動作計測を行っており、その結果から中高齢者の健康増進運動に役立つ水中運動プログラムについて考案している。また、これまで多くの健康運動教室にて中高齢者や要支援・要介護認定者への運動指導を行ってきた。現在はスポーツ工学やスポーツ情報科学分野へと研究活動を拡大中。 千葉工業大学に赴任後は教養必修科目のスポーツ科学の授業として、バドミントン、卓球、サッカー、トレーニング、スノースポーツ、ゴルフ、フラッグフットボールなど様々な種目を担当。また、教養科目でのゼミナール形式の授業である課題探究セミナーでは、ジャグリングを通じて身体スキル、コーチングスキル、文章作成スキル、プレゼンテーションスキルを授業内で取り扱っており、学内の教育業績表彰者にも選出されている。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年1月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

芝浦工業大学は、1927(昭和2)年、有元史郎先生が創設した東京高等工商学校を前身とします。設立当初より堅持しているのが実学重視の技術者育成教育であり、この建学の精神は現在にも引き継がれています。 「社会に学び社会に貢献する技術者の育成」を掲げ、世界に挑戦する理工系人材の育成を目指しています。工学部・システム理工学部・デザイン工学部に加え、2017年4月には建築学部が誕生し、4学部、3キャンパス(豊洲・田町・大宮)の大学となりました。 2027 年に迎える創立 100 周年に向け、私立理工系のトップランナーとしての社会的評価を得るべく、様々な取り組みを進めています。

授業風景

本学のゴルフ授業は主に、学内で行うゴルフ(テクニカル)と3泊4日の集中で行うゴルフ(スポーツコミュニケーション)の2つに分けられています。昨年度までは学内の授業は、野球場の外野部分(土)を使っての授業が中心でしたが、今年度から全面人工芝の総合グラウンドが完成したため、広大な緑の上での授業ができるようになりました。
大学での授業風景

大学での授業風景

ゴルフ(テクニカル)は、14週の授業期間のうち講義などを除いた10週で行われています。履修者は殆どが初心者のため、グリップの握り方やスイングはもちろんですが、クラブの構造や材質などまで説明し、なるべく理系の学生が興味を引くよう工夫をしています。 授業の前半ではショートアイアンを使ったアプローチ練習が主ですが、後半では7番アイアンやドライバーなどを用いた授業展開としています。通常は、フライトボール(ライト製)を使っていますが、ゲージやパター練習場を使う際は、実際のボールを使い、リアリティが出るようにしています。 一方、集中授業であるゴルフ(スポーツコミュニケーション)は、宿泊施設のある那須小川ゴルフクラブ(栃木県)の協力を得て、コースラウンドを中心とした内容となっています。 授業には、現役のプロ選手やティーチングプロの先生にご協力頂き、技術面はもちろん、社会人になってからも正しくラウンドできるよう、ルール、エチケット、マナーなど幅広くご指導頂いています。

先生の気持ち

毎年、30名程度の学生が3泊4日の集中授業に参加します。夏季休業中の貴重な時間を使って参加する訳ですから、是非、ゴルフの楽しさ・奥深さを味わい、生涯続けることができるスポーツにして欲しいと思っています。
集中授業での練習風景

集中授業での練習風景

一方で、楽しくプレーするためには色々な配慮が必要であり、実践していくことが求められます。特に、芝浦工業大学の体育実技では、「スポーツマンシップ教育」を重視しています。その中に、“Good Sports(信頼される人)”、“Respect”、“Good loser”、“Fair play”、 “Challenge”などの言葉があります。ゴルフ(スポーツコミュニケーション)の授業では、主に4人でパーティーを組んでラウンドを行いますが、ルールについては各自のジャッジに寄るところが多くなります。 誰も見ていなくても、ボールの位置を打ちやすいところに動かしたり、スコアを誤魔化したりするなど、ルールに反する行為は厳禁であることを理解し、プレーをして欲しいと思います。また、ミスショットをしたときに投げやりになったり、ふて腐れるのではなく、すぐに気持ち切り替えて次のプレーに移れるような態度を取れることも大切です。 その他にも、グリーン上で他人のラインを踏まないなども含め、自分のプレーに固執し、他者への配慮がないようではいけません。パーティーの仲間から「また一緒に回りたい!」と思って貰えるようない振る舞い・態度を身につけることが授業の大きな目標となっています。 “ゴルフは人生そのもの”というフレーズを良く耳にしますが、ゴルフというスポーツを通じて、普段の学生生活では味わえない様々なことを学んで欲しいと願っています。我々教員も、充実した授業となるよう最大限のサポートをしたいと考えています。

先生の紹介

芝浦工業大学工学部共通学群 体育・健康科目 准教授 石﨑 聡之(いしざき・さとし)
石﨑 聡之

石﨑 聡之

1973年栃木県生まれ。栃木県立真岡高等学校卒業。順天堂大学体育学部体育学科卒業。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士後期課程満期退学。小山工業高等専門学校一般科・講師を経て2010年4月より芝浦工業大学工学部・准教授着任。 共通学群体育・健康科目に所属し、講義・演習は「スポーツ健康学」、「ヘルスコンディショニング演習」、「ヘルスリテラシー&スポーツコミュニケーション」などを担当し、実技種目では、ゴルフ、ゴルフ(集中)、フットサル、テニス、スキー(集中)などを担当している。 専門種目はサッカー。現在、サッカー部の指導は行っていないが、埼玉県サッカー協会所属の47FAインストラクターとしてサッカーのCおよびD級コーチの指導者養成に携わっている。一方、研究の専門分野は運動生理学。以前はサプリメントの効果効能に関する研究を中心に行っていたが、近年では高齢者の健康増進に向けた運動教室の開催など地域貢献も絡めた研究に軸足をシフトしている。 また、工学部の専門学科教員と共同でサッカー選手の自動追跡システムの開発、パフォーマンス分析などに取り組み、現在幾つかのJクラブの分析を行っている。 所属学会は日本体育学会、日本体力医学会、European College of Sports Science、日本コーチング学会、日本フットボール学会(理事)など。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2017年12月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

2004年に日本で唯一の「共に生きることを科学する」学部「共生科学部」(本校:神奈川県箱根町)として開学。教育、福祉、環境及び国際関係など幅広い分野を横断的、且つ、自由に学ぶための特色あるカリキュラムを編成し、現職教員など社会人を中心に全国およそ6,000名が在籍。 また、特別支援教育を礎として、初等教育(幼稚園・小学校)、中等教育(社会/公民/保健体育)の免許状の取得が可能で、とりわけ、保健体育は通信制で唯一取得が可能であり、トップアスリートのセカンドキャリアのサポートも担っている。

授業風景

現在スポーツ(1)の授業でゴルフに取り組んでいます。高尾にあるキャンパスで、ショートアイアンから導入を図り、最終的にはドライバーで飛ばせるところまで指導を行っています。授業では力一杯スイングするだけではなく、保健体育教員免許の取得を目指している学生も多い為、肩関節や股関節の解剖学的な説明を入れながら、理にかなったスイングが出来るように指導しています。 本学の理念は「共生」であり、それは人と人の共生、人と自然との共生という考え方を含んでおり、ゴルフは「共生」について学生に考えさせる上でも有効であると考えています。 また、学生同士でスマートフォンで撮影し、良い部分や改善すべき部分を検討させるなどして、アクティブラーニングの要素を取り入れ、ボールを打って終わりにならないように配慮しています。 専用のグラウンドがない為、飛ばないボールを使っての指導となっていますが、学生の多くが小学校教諭や中高の保健体育教員を目指している為、教場や道具の工夫を考える場面となるよう配慮しています。 これまで授業でコースに出たことがない為、今後の課題として、実際にコースに出るということがあります。そこでは、ゴルフ場という社会でのマナーや、自然の中でのプレーで味わう自然との共生について学ぶことが出来ると考えており、大学ゴルフ授業研究会のGちゃれとの連動で進められるよう検討しています。

先生の気持ち

星槎大学は通信制のみで開講されている大学です。現在、日本で唯一通信制大学として保健体育の教員免許が取得出来る大学でもあります。 社会人の学生が多いことが特徴で、学生の平均年齢は37.3歳であり、ゴルフとの親和性は高いものと考えられます。通信制大学ですが、教養体育としての実技の授業は規定の時間数を行う必要があり、老若男女が集う大学で、学生の興味と疲労を勘案しながら、授業を行っています。
恵まれた環境とは言えませんが、だからこそ工夫次第で学びは深まります。

恵まれた環境とは言えませんが、だからこそ工夫次第で学びは深まります。

履修者の多くは教員志望の学生であり、ややもすると単位修得だけの体育授業になりがちです。体育、ひいては身体活動は健康のために為されることも大切であり、従って授業で学んだことをその後も継続してもらうことが肝要であると考えます。 継続しやすい種目を選択し学生に提供することも大切だと考えます。ゴルフはそのような視点からも相応しく、今後学生が継続的に取り組んでくれることを期待しています。 スポーツに対して学生が期待することには幅があり、力一杯行うことで満足するものもいれば、集中して成し遂げることに楽しみを見出すものもいます。自然の中での爽快感を期待するものもいれば、みんなと楽しく行うことを望むものもいます。 ゴルフは、多くの要素を内包しており、それらを学生に伝えられたらと、考えております。そしてそれらは本学の理念であり、これからのグローバルな基準ともなり得る「共生」に繋がりうるものであると考えています。 授業の中だけでは、伝えきれないことも多くあります。大学ゴルフ授業研究会での意見交換などとGちゃれとの連携を図りながら、学生の人生に資するようなゴルフの授業展開が出来ればと考えます。

先生の紹介

星槎大学共生科学部共生科学科准教授 服部 由季夫(はっとり・ゆきお)
服部 由季夫

服部 由季夫

1968年生まれ。東京都海城高等学校卒業。國學院大學経済学部経済学科卒業。東海大学大学院体育学研究科体育学専攻修了。東海大学非常勤講師、北里大学保健衛生学部非常勤講師を経て、2004年より星槎大学に着任。担当科目は生理学、衛生学、体つくり運動、スポーツ(1)、スポーツ(2)等。 現在、コミュニティFM湘南マジックウエィブの「子育て・親育ち」のコーナーに定期的に出演し、健康や神道についての話題を提供している。また、過去には「クイズヘキサゴン」において武道の技を披露した。 合気柔術七段、空手弐段。パワーリフティングで神奈川県優勝の経験もある。東海大学のトレーニングセンターにて水泳や自転車、キックボクシングの選手を指導し、優勝に導いた。國學院大學柔道部や東海大学ラグビー部のトレーニング指導の経験もある。健康と身体活動について研究を続けている。武道とゴルフの融合を模索中である。 第1種衛生管理者の資格を有し、多くの自治体、民間企業で健康指導、運動指導を行う。その経験から、労働者の健康に資する身体活動や運動について、学生に伝えるように努めている。教養体育で、単に体を動かして楽しかった、気持ちよかったに止まらないように配慮している。 全国大学体育連合研修部門委員。日本ゴルフ学会関東支部理事。大学ゴルフ授業研究会通信制授業研究委員長。日本神社庁の神職直階の階位を有す。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2017年11月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

目白学園は、1923(大正12)年に研心学園として創設され、1963(昭和38)年に目白学園女子短期大学、1994(平成6)年に目白大学が創設されました。以来目白大学は、社会の幅広い学究的要請に応える学問探求の場を提供しつつ、学部学科を増設し発展してきました。 現在では、文系4学部、医療・看護系2学部を設置し、6学部16学科に5,700余名が学んでいます。豊かな緑と充実した施設設備で教育環境を整え、ひたむきな向学心と若い感性を育んでいます。「育てて送り出す」本学はこの社会的使命を掲げ、多様に変化する現代社会を生き抜く人材育成を行っています。

授業風景

本学のゴルフ授業は、今年度初めて開講されました。生涯スポーツとしての位置付けで、自由選択科目として4日間の集中授業が設定されており、学内にゴルフ施設はないため、学外のゴルフ施設を利用し授業を行っています。
練習場での打ちっぱなし

練習場での打ちっぱなし

1日目と2日目は、東京都豊島区にあるゴルフ練習場、大塚ゴルフプラザにて実施しています。受講生のほぼ全員がゴルフ初心者であるため、最初はグリップの握り方や構え方、スイングなどの基礎練習を重点的に授業展開しています。2人で1打席を利用しているため、学生同士がスイングを確認しつつ、それぞれお互いがアドバイスをしながら授業を進めています。また、練習場の端の打席を使用し、ペアでスイングをスマートフォンで撮影することにより、教員がアドバイスを行いながら自分のスイングを確認修正しています。
本コースでの池越えショット

本コースでの池越えショット

ラウンド実習では、埼玉県にある鴻巣カントリークラブを利用して行っています。本クラブは、本コースやショートコース、打ちっぱなし、パター、アプローチやバンカー練習場もあり、各パーティーに分かれてそれぞれの練習を行います。 その後、少ないホールではあるものの、本コースにてゴルフのルールやマナーなどを学びつつ、ゴルフの楽しさを感じながらプレーしています。

先生の気持ち

ゴルフ授業受講生のほとんどがゴルフ初心者で、ゴルフクラブも握ったことのない学生のため、当初は、最終日までにゴルフコースで打てるのか、という不安がありました。しかし、2日間しっかりと練習を行うことにより、全くボールに当たっていなかった学生が前に飛ぶようになり、ある程度打てるようになってきました。何度かだけでもしっかりとボールを打てるようになってくると、さらに学生も楽しくなっていき、練習に励んでいく姿をみることができました。 私がゴルフを始めて最初にラウンドに出たときもそうでしたが、広いゴルフコースで思いっきりボールを打つのは非常に気持ちのいいものです。学生も1日1回でも気持ちのいいショットが打てるとさらにゴルフが楽しくなると同時に、今後の意欲にもつながります。 授業終了後に提出された学生のレポートを見ると、一番多く書かれていることは、ゴルフのイメージが変わった、ということです。ゴルフを始める前は、ゴルフ場は敷居が高い、年配の方が行っている、といったイメージを持っている学生が多くみられていましたが、授業後にはイメージが変わったと感じている学生が大多数でした。 また、今後も家族や友達とゴルフを続けていきたいと思っている受講生が非常に多く、それだけゴルフを楽しいと感じてくれたと思うと、私もうれしい限りです。Gちゃれなど、学生がゴルフ場に行きラウンド体験ができる機会が作れるサポート事業の有効性を肌に感じた実習となりました。 今後も他大学でゴルフ授業を行っている先生方や、実習をサポートいただける関係団体の方々と連携を深めながら、より良い授業を展開させていきたいと考えています。

先生の紹介

浅井 泰詞

浅井 泰詞

目白大学体育教育研究室専任講師 浅井 泰詞(あさい・たいし) 1983年東京生まれ。国士舘大学体育学部体育学科卒業。国士舘大学大学院スポーツ・システム研究科終了(修士・体育科学)。 2016年から、目白大学体育教育研究室専任講師。教養科目として、生涯スポーツ1・2、健康科学等を担当、実技科目では、ゴルフの他にスキー、スノーボード、フィットネス、バレーボール、バドミントン等を担当している。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 3月号(見本誌の申し込みはこちらから)

東京大学

1877年に創設された日本を代表する国立大学。大学の略称は東大(とうだい)。世界の公共性に奉仕する大学として世界最高水準の教育・研究を維持・発展させることを目標としており、現在までに卒業生の中から8名のノーベル賞受賞者を輩出している。学生数は学部および大学院を合わせて約28,000名。伝統的に、学部教育の基礎として教養(リベラル・アーツ)教育を重視しており、全学生の必修授業として、教養学部スポーツ・身体運動部会の担当する身体運動・健康科学実習がある。2016年5月、全学的研究組織としてスポーツ先端科学研究拠点が開設された。

東京大学准教授 工藤和俊

工藤和俊(くどう・かずとし) 1967年群馬県生まれ。1998年、東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系修了、博士(学術)取得。2002-2003年、米国コネチカット大学 知覚と行為の生態学研究センター客員研究員。東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系助手、助教、准教授を経て現在、東京大学大学院情報学環・学際情報学府准教授。 担当科目は、1年生を対象とした身体運動・健康科学実習、身体運動科学講義、2年生を対象とした身体運動実習、3・4年生を対象としたスポーツ心理学講義等。実技種目としては、ゴルフ、バドミントン、スノーボード等を担当している。 研究分野はスポ―ツ心理学/運動認知神経科学であり、スポーツ、音楽演奏、ダンスにおける巧みな身体操作について、動作・筋活動・心拍・発汗等の生体情報計測および非線形力学系モデル・ベイズ統計モデルなどの数理モデルを用いた研究を行っている。2010年、トレーニング科学会トレーニング科学研究賞受賞。主な著書・訳書に「身体:環境とのエンカウンター」(東京大学出版会、2013、分担執筆)、「巧みさとその発達」(金子書房、2003)がある。所属学会は、日本体育学会、日本スポーツ心理学会、日本生態心理学会、日本発育発達学会、日本神経科学学会他。

授業風景

東京大学では、2年生を対象とした選択授業「スポーツ身体運動実習」の1種目としてゴルフ授業を実施しています。実技種目多様化の一環としてゴルフ実技を開始したのが1994年ですので、導入以来20年以上経ち、受講生の総計は3000名を超えています。1コマの定員は40名ですが、希望者が多く抽選になることもしばしばあります。 授業は、学内実習と学外コース実習から構成されています。学内実習は駒場キャンパスの人工芝ホッケー場を利用し、パッティング、アプローチ、練習ボール(フライトボール)を利用したアイアンショット練習等を行い、適宜iPadを用いたスイングフォームチェックを実施しています。 雨天時は体育館内でのパッティング・アプローチ練習、バランストレーニングなどを行っています。また、毎回プリントを配布し、ルールやマナーの理解を促しています。 学外コース実習は、千葉県千葉市にある東京大学検見川総合運動場の7ホールショートコースを利用し、実球でのショット練習(写真1)、バンカー練習(写真2)、パッティング練習の後に、7ホールのラウンドを行います。このショートコースはクロスカントリーの練習場としても利用されているためアップダウンに富んでいます。そのため打ち上げや打ち下ろしなどが多く、平坦で広いゴルフ場をイメージしていた学生は面喰います。それでもラウンド後の顔は満足感にあふれており、生涯スポーツとしてのゴルフを体験する良い機会になっていると感じます。

先生の気持ち

受講生は約9割が未経験者ですので、学生にはまず「ゴルフは感覚のスポーツ」であることを強調します。若い学生はとにかく「思い切り振って遠くに飛ばす」練習をしたがるのですが、「軽く振って当たらないものは思い切り振っても絶対に当たらないよ」と辛抱強く言い聞かせています。 初心者は一般にクラブを握りしめてしまいがちですが、強く握ると手のひらからインパクトの感覚が伝わってこなくなりますので、上達の妨げになってしまいます。そこでパッティング練習では、クラブを軽く握って「インパクトを感じる」ことから始め、芯に当たった感触が分かるようになってから距離や方向の打ち分けを練習しています。また、パッティングでは、カップの見方や歩き方など、距離感をつかむ練習をとりいれています。なおアイアンショットではクラブのすっぽ抜け防止のために特注のストッパーを使用しています。学外ラウンド実習に向けた練習としては、周りの人が見ている中でのティーショット練習や、目の前にハザードを置いてのバンカー越えを想定した練習などを取り入れています。そのような練習を通して、はじめは満足に当たらなかった学生も、回を重ねるうちに会心の当たりが出て苦笑いが笑顔に変わっていくと、教える側としても嬉しくなります。 また、少数ですがゴルフ経験者やゴルフ部の学生も授業を履修します。これらの学生には、周りの初心者に対するアドバイスを積極的に行うよう指導しています。また、iPadを用いて学生一人ひとりのフォームをチェックすると、経験者であってもクロスシャフトや頭の上下動など、本人の気づかなかった欠点がしばしば見つかります。これらの経験をとおして、上達に向けて様々な工夫をするという姿勢が社会に出てからも役に立つことを願っています。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2月号(購読申し込みはこちらから)

学習院大学

1847年京都御所の東側に公家の教育機関として学問所が設置され、1849年に孝明天皇より「学習院」の額が下賜されました。1877年、華族学校が神田錦町に開設され、明治天皇の勅諭によりかつて京都にあった学習院の名が継承されました。1949年に新制学習院大学が開学しました。学習院は、華族の学校として誕生し、戦後は私立学校として再出発する歴史を歩みました。学生生徒の個性を育み、国際的な視野の広さを養う教育は、創立当初から一貫して続けられています。学習院大学の5学部17学科、大学院6研究科、法科大学院が集うのは、都心でありながら緑豊かな目白のキャンパス。ワンキャンパス、少人数制教育ならではの、充実した教育環境となっています。

学習院大学教授 高丸 功

1972年香川県生まれ。香川県立観音寺第一高等学校卒業。東京学芸大学教育学部卒業。東京学芸大学大学院修了(教育学修士)。青山学院大学助手、青山学院大学非常勤講師を経て、2004年学習院大学専任講師着任。現在、同大学スポーツ・健康科学センター教授。総合基礎科目として講義「スポーツと健康を考える」及び実技「スポーツ健康科学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」を担当する。担当する実技種目は、ゴルフの他、体力トレーニング、ソフトボール、テニス、スノーボード(集中)である。 授業において取り扱う教材(スポーツ種目)の種目特性や技術構造を理解し、学生にどのように伝えれば技能が向上するのかといった指導法を明らかにしようと取り組んでいる。大学教養体育における視覚的なフィードバック方法の違いが、技能の向上や動機付けに及ぼす影響について興味を持っている。中学、高校、大学を通して陸上競技部に所属し、棒高跳び選手として活動した。学習院大学陸上競技部部長を務めている。 所属学会は日本体育学会、ランニング学会、日本コーチング学会、日本陸上競技学会。公益社団法人全国大学体育連合常務理事。 都留文科大学においても非常勤講師としてゴルフ授業1コマ(前期15週)を担当している。

授業風景

本学では、「ゴルフ」の授業を、4コマを開講しています。私は、週一回の授業を2コマ(必修選択・通年30週)を担当し、集中形式学外授業では補助教員として携わっています。 週一回の授業は、学内の人工芝グランドで行なっています。フライトボール(プラスチック製)を使用し、ショートアイアンでのスイング作りやアプローチを中心に授業を展開していきます。授業の中盤からは、ターゲットバードゴルフ用の傘とフープを利用し簡易コースを設営して、模擬ラウンド体験させています。また、iPadを用いて、スイング動作のフィードバックを行ったり、雨天時には教室でDVD教材を視聴させながら動作のメカニズムについて解説したり、ゴルフの歴史や文化などについて話しています。

学内授業の様子

夏季休業中に実施される3泊4日の集中授業は、栃木県烏山城カントリークラブで行ないます。ゴルフラウンド経験者、学内授業受講生を中心に平均10数名の学生が受講します。 ラウンドを中心に、ラウンド前後の打球練習、アプローチ練習、パッティング練習を行います。ゴルフ場は、多くのスタッフの方々によって運営されています。また、会員の方々やビジターのお客様も多数利用されています。フロント、食堂、ロッカー室、風呂場、マスター室、練習場、コース、ホテル等、各所での注意点を伝えています。学生も、多くのことを学んでいると思います。プレー代、交通費、宿泊費等経済的な負担はありますが、プレーの楽しさやゴルフの奥深さ、ゴルフ場における社会性など多くのことを学ぶ機会となっています。

夏期集中授業の様子

先生の気持ち

受講生全員を何とか上達させてあげたいと思っていますが、なかなかうまくいきません。最初は「空振り」「ゴロ」ばかりの学生が、ボールが浮き上がって30ヤードほど飛ぶようになると、私も嬉しくなります。学期の中盤から模擬コースでのラウンドを実施しますが、オナーの決め方、打球の順番、スコアの付け方などを指導します。自分勝手なプレーをすると、周りに迷惑をかけることや、前後の組にも配慮する必要があることなど、実際にゴルフコースでも重要となるエチケット・マナーについても学んでいると思っています。 指導法については、試行錯誤の連続です。大学体育連合や大学ゴルフ授業研究会の研修会や研究誌等で、多くの先生方と情報交換をしたり、授業実践の様子を学んだりすることは非常に有意義で、気づかされることや参考にさせていただくこともたくさんあります。学生にゴルフを教えることは、私自身がゴルフを学ぶ・ゴルフから学ぶ機会となっています。 週一回の授業では、最初の方は興味を持って取り組んでいた学生も、慣れて来るといい加減な練習を始めます。ラウンド経験がないので、距離の打ち分けやアプローチショットの多様性の意味がわからないからです。そんな時は、「学生をゴルフ場に連れて行ってあげたい」と思います。学内での授業を数週受講したのち、ゴルフ場でのプレーを経験すると、その後の授業でも真剣に練習に取り組んでもらえるのではないかと思います。 大学生に一日ゴルフ場体験をさせる「Gちゃれ」という企画は、試行中ですが非常に有意義であると思っています。本学の場合、「学内授業」→「Gちゃれ」→「学内授業」→「集中授業」を2年間位かけて経験するのが理想的なのではないかと考えています。受講生が社会人となってゴルフをする時、「あの授業が役に立った!」と感じてもらえるような授業を目指しています。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 1月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

1990年、山梨県上野原市に帝京大学グループ3番目の大学「西東京科学大学」として開設される。理工学部のみの単科大学(1学年の定員400名)であった。1996年に大学名を「帝京科学大学」と変更し、2007年に理工学部を生命環境学部と名称変更すると共に医療科学部を開設、2008年にこども学部(2017年教育人間科学部変更予定)を開設した。2010年、千住キャンパス(足立区)、山梨市キャンパスを開設し、現在3学部13学科(1学年の定員1220名)の3キャンパス体制となる。建学の精神「人類の将来を正しく見据え、生命の尊厳を深く学び、自然と人間の共生に貢献できる人材を育成し、持続可能な社会の発展に寄与する」の基、いのちをまなぶキャンパスとして最先端の教育と研究を行っている。

授業風景

千住キャンパスは、 隅田川沿いの住宅街にある。ゴルフ専用練習場やゴルフケージの備えはなく、グラウンドの一周250mトラックの内側にある人工芝のフィールドで行っている。グラウンドの周囲は人や車の通行量が多い道路と民家に囲まれているため、本物のゴルフボールを打つことはほとんどなく、主にバードゴルフ用の羽付きボールを使用している。全員が初心者であることも踏まえ、PWを中心とした短いクラブを用いてのスイングつくりを基本としている。授業回が進むとドライバーなどのウッド系も使用するが、当たらない、飛ばない、曲がると学生が嘆く。黙ってみていると、そのうち短いクラブに持ち替えて基本練習を始める。悪戦苦闘しながらも、学生なりに問題解決しようと取組む姿を見るのはとても楽しい。 授業はシラバスに従い、1回90分の授業を15回行う。とはいえ、雨が降れば屋外での活動は制限され、活動内容の変更を余儀なくされる。 写真①は今学期5回目(11月7日)の授業風景である。力みのない大きなスイングで、ボールを遠くに真っすぐ飛ばすことを課題に取り組んでいる。写真②は7回目(11月24日)の授業風景であるが、降雪のために屋内でアプローチの練習を行っているところである。 現在はグラウンド内にショートコースをつくり、仮想の池や川、OBゾーンを設けるなどしてラウンドプレーを楽しんでいる。より実践的な授業を展開しながら、楽しむことと同時にルールやマナーも学んでいるところである。

先生の気持ち

大学でなぜ体育の授業があるのだろう。大学体育の意義は、一般的な言い方をすれば、健康で活気に満ちたキャンパスライフの実現にある。運動習慣の確立、気分転換、健康生活の維持、仲間づくりなどもある。では、ゴルフの授業で、学生は何を学びたいのか。 非常勤をしている国際基督教大学(ICU)において、初回の授業時に簡単なアンケート調査を行った。結果を簡潔に示すと以下の通りである。ゴルフ経験者の割合は54.8%と過半数であった。ゴルフ授業を選択した理由は、「ゴルフが好きだから」「興味があるから」が83.8%であった。ゴルフ授業に求めるものは「技術の修得」が87.1%であった。「ゴルフ場でのラウンドを希望する」割合は、90.3%であった。 今日、高校でもゴルフ授業を行うところが増えてきている。加えてグローバル化が進み、ICUのように海外でゴルフを経験してきた帰国子女も多い。学生の多様化したスポーツのニーズにゴルフがあり、上手になってラウンドプレーをしたいと考察された。 私は授業でレッスン用DVDを視聴させたり、市販されている本などから作成した資料を基に授業を進めたりしている。ゴルフの基礎的部分であり、とても重要な内容を取り上げている。しかしゴルフ経験の有無、体格や体力の異なる学生一人ひとりに対して、その実力に見合った指導やアドバイスを行うことに全く自信がない。授業として純粋にゴルフを楽しんで欲しい、スキルアップして欲しいと望みながら、その一方で確固たるゴルフ理論や指導能力を備えているわけではない。この現状に自責の念を抱いているのである。 ゴルフ授業を選択した学生が継続的にゴルフを楽しみ、多くの仲間とラウンドプレーができる、その一助となるよう私自身がゴルフの基礎理論や指導方法について学ぶ必要があることを、いま強く実感している。

先生の紹介

橋口剛夫(はしぐち・たけお) 1957年、宮崎県宮崎市生まれ。宮崎大学教育学部卒業。日本体育大学にて体育学修士号、共立女子大学にて博士号(学術)を取得。日本体育大学研究員、日本体育大学女子短期大学専任助手、日本体育大学助手兼務後、西東京科学大学(現、帝京科学大学)に奉職。現在、同大学こども学部学校教育学科中高保健体育コース教授。専門科目では講義として生理学・運動生理学、トレーニング論、演習として球技を中心とした運動指導法、実技として各種球技を担当する。また、一般教養としての保健体育科目でも講義、演習、実技を担当する。研究分野は健康科学である。継続的な運動の実践が精神的健康も含めた健康や体力に及ぼす影響について、生理学的指標やアンケート調査法を用い明らかにしようとしている。一方、運動することで生体に生じる酸化ストレスと健康との関わりについても研究を進めている。スポーツは、高校までにバスケットボール部、軟式野球部、バレーボール部、大学生時代はハンドボール部に在籍し活動した。 所属学会は日本生理学会、日本体力医学会、日本体育学会、日本運動生理学会、日本運動・スポーツ科学学会(理事)、日本臨床生理学会(評議員)、日本時間生物学会(評議員)、日本ゴルフ学会(関東支部理事)、日本酸化ストレス学会他。 現在、国際基督教大学(ICU)にて非常勤講師をしており、初級、中級クラスを担当している。