(月刊ゴルフ用品界=GEW=2015年9月号)
武蔵野美術大学、通称ムサビの5名など女子学生6名を乗せた25人乗りのマイクロバスは、快調に高速を飛ばしていた。一行は8月10日午前8時、都下小平市のムサビに集合。イーグルレイクGC(千葉県)に到着したのは11時20分。酷暑のゴルフ体験が始まった。
引率者はムサビの北徹朗准教授。これ以外に大学関係者4名も参加して、学生と教員計11名が「Gちゃれ」というイベントに参加した。企画者は「大学ゴルフ授業研究会」の代表を務める北先生。話を聞こう。
「全国の4年制大学782校を調べたところ、体育の授業でゴルフを行っているのは約580と驚くべき多さだったのです。だけど、実際のゴルフ授業は室内だったり、土の上での素振りなど本物のゴルフとは程遠い。そこで、本物を体験させるべくゴルフの授業を受けている学生から参加者を募りました。ゴルフ場はPGMに後援を頂き、今回の場所に決まったのです」
充実のメニューが用意された。バスを降りた学生はまずチェックイン。「ホテルみたい」と緊張の面持ちでサインを済ませ、着替え終わると2班にわかれた。1班を学生組と教員組にわけ、プロ4名がそれぞれを指導。練習場でストレッチとスイング指導、その後芝生の上でアプローチ、バンカー、パターを学び終えると昼食。ここで座学を済ませると、スクランブル方式で9ホールのプレーに臨んだもの。全員がホールアウトしたのは午後5時。入浴後に軽食をとりながらアンケート等を行って、1時間後にコースを出発。ムサビ到着は午後9時だった。油絵学科3年の能城薫さんは酷暑の初ラウンドに、
「楽しい! 本当に楽しいです」
1mの4パット直後、明るく答えてくれた。
参加費は税込8000円で、これには往復交通費にレンタルクラブ、プロ4名によるレッスン料と食費(2食分)も含まれている。PGM運営本部の宮田浩利マーケティング部長によれば、
「通常ではあり得ない価格です。往復のバス代だけで12万円、プロ4人分のレッスン料を含めて当社が負担しました。この話を頂いてから大学のゴルフ授業を見学しましたが『本物』とは程遠い内容だったので、若者にゴルフ場体験をさせたかった」
とはいうものの、相手はやはり学生である。8000円の出費は厳しくないか? デザイン情報学科4年の山本慧さんに聞いてみた。
「う~ん、ネットで一通り調べましたが、8000円ではとても経験できない中身だと思います。わたし、カフェのキッチンで時給1000円のバイトをしていますが、その8時間分ですよね。ゴルフ場って綺麗だし、広いし、まさに異境の地。本当に満足しています」
ゴルフ漫画(ライジングインパクト)でゴルフに興味をもったと話すのは、同学科4年の山口奈生さん。参加動機は「北先生がカワイイから」ということのほかに、
「ネットで調べましたけど、通常なら3万円は掛かる内容だと思います。以前から『本物』のゴルフに興味があったし、一度経験すればこれから役立つと思いました」
その山口さん、事前にヴィクトリアゴルフへ足を運んでウエアを購入しようとしたが、
「セール商品でも1万円。あまりに高くて驚きました。結局、家にあったポロとハンチングで間に合わせることに‥‥」
参加学生が6名と少なかったのは、話しがトントン拍子に運びすぎて、募集期間が短かったことが原因だったとか。
その恩恵を受けたのが教員の面々だ。「Gちゃれ」の補充メンバーとして、学生と同じプログラムを同じ価格で堪能した。鎌倉女子大学の髙𣘺宗良准教授が印象を語る。
「我々教員はゴルフ指導の専門家ではないため、日頃から技術指導に頭を悩ませています。プロのレッスンを受けられたのは収穫でした」
女子学生3名を担当した寺崎智香子プロは、
「これを機会にゴルフを知ってもらえれば、社会人になって交流が広がると思います。マナー、エチケットを学ぶだけではなく、単に自然に囲まれて楽しい、非日常の緑が美しいと思ってもらえるだけでも十分ですよ」
と、初心者を指導する心得を話してくれた。
学生6名のうちゴルフ経験者は1名だけということもあり、アンケートの記述が初々しい。「今回逃したら一生コースに出られないと思った」「カートが面白かった」「お風呂があった」「池を越せた」「これはスポーツ付き日帰り旅行だと思った」「大自然だなぁと思った」「ラインを踏まないなど決まりが沢山あった」――。
そして全員が「ゴルフをもっとやりたい」と回答している。
開催日 | 2015年8月10日 |
---|---|
受付/締切 | 締切 |
時間・場所 | イーグルレイクゴルフクラブ |