※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 5月号(見本誌の申し込みはこちらから)
1900年、国際社会で通用する人材を育成すべく創立された大倉商業学校を前身とする東京経済大学は、「進一層」と「責任と信用」を建学の精神とし、2020年に創立120周年を迎える。前身校の創立者大倉喜八郎は、明治・大正期に日本の基盤となる建設、電気、製鉄、繊維など200以上の企業設立に関わった実業家で、建学以来、実業界に多数の人材を輩出している。
確かな学力と社会人としての基礎を習得するために、現代版読み書きそろばんを習得する「ベーシックプログラム」、専門的な知識や幅広い教養を身につける「学部学科教育」、高度な資格や高い語学力を習得する「アドバンストプログラム」の3層構造の教育と培われてきた伝統で学生を育成している。
樋口和洋(ひぐち・かずひろ)
1965年長野県諏訪市生まれ。長野県諏訪清陵高校卒業。順天堂大学体育学部卒業。信州大学大学院修了(工学系修士)。佐久高校(現佐久長聖高校)保健体育科教諭、信州短期大学助手、専任講師、准教授を経て、2013年から東京経済大学経済学部特任講師。総合教養科目として、講義「健康の科学a・b」、実技「スポーツA・B・C」を担当し、実技種目としてはゴルフの他、バドミントン、バスケットボール、トレーニングを指導している。
研究分野は健康科学である。特に健康管理学や身体教育学に興味・関心を持ち、青少年を対象に様々な生活習慣と健康状況を調査、分析し「自発的な健康行動の変容」に向けた教育、指導に必要な基礎研究を中心に行っている。また、健康づくりの有効手段とされる運動やスポーツの動作特性と、それらを実施した際の生理学的応答と主観的運動強度の関係性について研究も進めている。
スポーツは中学から大学までバスケットボール部に在籍し活動していたが、専門競技の指導はバレーボールを高校教諭の頃より指導してきた。
所属学会は日本体育学会、日本体力医学会、日本公衆衛生学会、日本民族衛生学会、日本ゴルフ学会(関東支部幹事)他
武蔵野大学においても非常勤講師としてゴルフ授業を担当している。
本学におけるゴルフ授業は、学内で半期毎週一回開講されている「スポーツB(ゴルフ)」(90分15週)と、夏期休業中に3泊4日で実施される学外集中授業「スポーツC(ゴルフラウンド実習)」で構成されています。前者は本学の富岡義志雄教授が、私は後者を同教授と共に担当しています。
武蔵村山キャンパスには約30ヤード、計12打席の屋根付き(打席上のみ)練習場があり、ショート、ミドルアイアンを用いてスイングの基礎練習を中心に行います。とはいえ、殆どが初心者の学生にとっては単調な動作に加え、思ったようなインパクトができないことから集中力が途切れ、モチベーションの継続も困難になります。したがって、ある程度の時間が経過した後に、同キャンパス内にある人工芝グラウンドを使い簡易的なショートホールを設定し、カップにはグラウンドゴルフのホールポストを使用しながらパターでカップインさせるラウンドゲームを行っています。
ラウンド実習を実施しているサンコー72カントリークラブ(群馬県)は本コース63ホール、ショートコース9ホールに加え、敷地内には練習場やホテルも完備されています。ラウンドの前後には様々なショット練習が可能であり、移動時間も軽減され、効率が良く密度の濃い実習プログラムが組めています。猛暑の中、広大なコースで受講生は四苦八苦していますが、日毎に意欲を増し、豊かな表情で純粋にゴルフを楽しむ学生の姿が見られます。
ゴルフ授業に携わり、東経大では5年目、前任の信州短期大学の頃から数えますと、今年で23年目を迎えます。歴が長いだけで、体系的な指導理論や自ら相応しい技術を身に付けてきたのかという自責の念を抱えながらも、ゴルフを楽しいと感じてもらえる授業作りを目指して常に創意工夫することや、単発的な機会に終わらせず、生涯スポーツの一つとして定着させるための授業を展開するという思いは忘れずに指導に当たってきました。これまで何度かラウンド実習に参加したことがきっかけとなり、受講生達自身が在学中や卒業後に改めて企画、コース等手配し、一緒にラウンドしたことは大変良い思い出となっています。
当たり前のことですが、毎年新しい学生が受講します。その殆どが初心者であることから、同じことを伝えるにしても、どのような伝え方であれば最も感じ取りやすく、理解してもらえるのか、学生の反応を観察しながら試行錯誤する日々です。今後も他大学でゴルフ授業を担当されている先生方との情報交換や研究誌等を通じて多くを学んでいくことは勿論ですが、関係するゴルフ諸団体の皆様方との連携も深めながら本学のゴルフ授業を発展させていきたいと考えています。