大学ゴルフ授業研究会

我が大学のゴルフ授業8 ~学校教員養成課程・保健体育コースのゴルフ授業について~鶴原清志(三重大学教育学部教授)

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 8月号(購読申し込みはこちらから)

大学の紹介

三重大学は、人文学部、教育学部、医学部、工学部、生物資源学部に地域イノベーション研究科を加えた5つの学部、6つの研究科をはじめ、教養教育機構、地域人材教育開発機構、地域イノベーション推進機構、地域拠点サテライト、国際交流センター、総合情報処理センター、学生総合支援センター、国際環境教育研究センター、アドミッションセンターなど、多くの学内共同教育研究施設を擁する総合大学です。

また、附属病院、附属学校園、農場、演習林、水産実験所、演習船勢水丸などの附属施設も充実しています。

授業風景

三重大学では、教育学部の保健体育コースの実技として、「ゴルフ」が実施されていますが、授業開講の関係で、3年に1回の開講となっています。教養教育においては、ゴルフはこのところ開講されていません。今回は保健体育コースの専門のゴルフの授業を紹介させていただきます。

授業は3つの部分からなっています。1つ目はスナッグゴルフを用いて、その成り立ちや方法を学習して、体育館での基本的な練習をします。その後、陸上競技場と野球場を用いて、スナッグゴルフの9ホール(パー36)のコースを設定しラウンドを実施します。

スナッグゴルフのラウンドの様子

陸上競技場のトラック部分をハザード(川か池)、外に行った場合はOBの処置をすることにより、実際のゴルフのラウンドでのルールの勉強となります。2つ目は、グラウンドでのゴルフボールを用いたショートアイアンまたはウェッジの打球練習です。スイング作りやアプローチの練習を中心に授業をします。雨の日は、実験室で弾道測定器(Golf Swing Better Plesio ディテクト製)を用いたショットの測定も実施しています。

3つ目は、大学から歩いて5分のところにゴルフ練習場がありますのでウッド(ドライバー、スプーン等)やアイアン(ミドルアイアン・ショートアイアン)を用いて、打球練習を実施します。

保健体育コースの学生ですので、パワーがあり、時にはゴルフ練習場でクラブを飛ばしたり、ドライバーを折ったりとアクシデントが発生しますが、ゴルフの難しさと楽しさを充分に体験していると思います。

先生の気持ち

教員養成課程の学生を対象としているので、いずれは児童や生徒にゴルフを教える機会があるかもしれないという前提で授業を実施しています。そのため、スイング理論やエチケット、マナーについても授業内容として取り入れて、学生に伝えて行きたいと思っています。

スナッグゴルフは、ゴルフの導入として優れた教材であり、いつでも、どこでも、だれでもの標語通り、小学校や中学校等の学校現場で実施できるものと思います。また、ゴルフでのファーストティープログラムは、子供たちにライフスキルを獲得させるのに有効なものであるといわれています。

学生たちが教員になった時には、是非、ゴルフの授業を学校現場で実施してくれるようになることを願っています。

現状では、ゴルフの開講がカリキュラムの関係で、3年に1回の実施となっています。もう少し開講の回数を増やすことができたらと思いますが、教員養成学部の現状を考えますと縮小はあっても増加はできない状況ですので、現状維持でも大変な状況です。

グラウンドでの打球練習の様子

また、毎週1回の授業ですので、ゴルフコースに行くことができないのが残念です。やはり、ゴルフはゴルフコースでラウンドをすることによって、初めてゴルフの本質に触れることができると思いますので、何とかラウンド体験ができればと思います。

「Gちゃれ」のようなすばらしい企画ができてきておりますので、東海地区でも是非進められればと考えております。

学校教育の場でゴルフを実施していくことは、まだまだハードルが高い状況であると思います。特にラウンドするとなると、大学の授業でもかなり大変な状況で、今後、小・中・高校等の体育の授業で実施していくには、まだまだ壁は厚いと思います。

しかしファーストティープログラムにも示されているようにゴルフは子供たちの教育の側面において大変有効な教材と思います。多くの学校で取り入れられて、世代を超えた交流が進んでいけばと願っています。

先生の紹介

鶴原清志(つるはら・きよし)

1956年福岡県生まれ。1979年筑波大学体育専門学群卒業。1984年筑波大学体育科学研究科(博士課程)中退。1984年名古屋大学総合保健体育科学センター助手。1986年三重大学教育学部講師、助教授を経て、2001年教授。2017年4月より学部長。

専門種目は体操競技。大学では器械運動ならびにゴルフの専門の授業を担当している。ゴルフは30歳前後から始め、継続して実施してきており、東海地区では大学ゴルフ研究会が30年以上継続して実施されており、その幹事を務めている。50歳を期にクラブのメンバーとなり、本格的にゴルフに取り組み、現在HC3となっている。

HCを維持するために、ラウンドと練習を継続しているが、最近は多忙のため中々時間が取れないのが現状である。

研究分野はスポーツ心理学。大学では体育心理学を専門の授業として担当している。専門はメンタルトレーニング、イメージトレーニングであり、選手の心理面のサポートも実施している。

所属学会は日本体育学会、東海体育学会、日本スポーツ心理学会、日本ゴルフ学会である。東海体育学会では会長、日本ゴルフ学会では理事を務めている。また、免許更新講習において、「学校教育におけるゴルフ取り上げ方と活動の工夫」を実施し、ゴルフの理論とともにスナッグゴルフを用いて講習を実施している。