大学ゴルフ授業研究会

我が大学のゴルフ授業9 ~授業を通してゴルフを楽しみ、ファンになる~松井健(追手門学院大学基盤教育機構教授)

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 9月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

追手門学院は、1888(明治21)年に創設された大阪偕行社付属小学校(現:追手門学院小学校)を源流とし、現在では認定こども園から大学・大学院までを擁する全国有数の総合学園へと発展してきました。

1966年に開学した大学は2学部4学科からスタートし、「独立自彊 社会有為」の教育理念の下、自分の考えをしっかりと持ち、自らの成長に日々努力し、世のため人のためにつくす人材の育成に取り組んでいます。

現在では6学部8学科の文系総合大学へと発展を遂げ、2019年には現キャンパスから2㎞程の所に新キャンパスを整備し、2キャンパス体制でより充実した教育展開ができるよう取り組んでいます。

授業風景

本学のゴルフ授業は、週一回の学期授業(15回)と9月に行う集中授業の形式で行っています。学期授業では、他のスポーツ種目と組み合わせて行っていますので、ゴルフ部分は概ね6回です。

クラス数は年度によって変動し、2017年度は、私が担当する2クラスのみです。集中授業では、学内で4回の授業を行い、その後、3日間、ゴルフ場で行います。

週一回の授業は、学内にあるゴルフ打撃場(約40ヤード、10打席)を中心に行っています。6回のみですので、基礎技術の反復練習に重きを置いた初心者指導を展開しています。特に構えの姿勢についてのアドバイスを徹底して行い、体幹の安定を図るようにしています。

一つの打席を2,3人で共有しますので、学生によるピアサポートが自然に生まれてきます。3回目の授業から、練習の動機付けを図るため、授業終盤に、チーム対抗戦を行っています。正面のネットに当てて点数を競うものです。4回目以降には、ドライバーの打撃練習とテニスコート(オムニコート)でのパッティング練習を行っています。

テニスコートでのパッティング練習風景

9月初旬に実施する集中授業では、2016年度まではショートコースのラウンドが主でしたが、2017年度からは、兵庫県の有馬カンツリー倶楽部様のご協力で、本格的なゴルフコースでの実習が可能となりました。

少人数ですが、ルール、エチケット、マナーを徹底して学び、プレーの楽しさや難しさを体験できる実習を展開したいと考えています。

先生の気持ち

学期授業は、1クラス25~30名ですが、1割程度がゴルフ経験者です。また、野球経験者は、スウィングが安定しており、打撃のコツを掴むのが速いと感じています。

週一回の授業では、6回シリーズの中で、ショートアイアン、ドライバー、パターを一通り体験しますが、特にショートアイアンでのショットを安定して打てるようになって欲しいと思っています。履修学生の中には、授業を通してゴルフに興味を持ち、休日に「打ちっ放し」施設に練習に行く者やコースラウンドを希望する者がいます。

彼らの思いが集中授業のゴルフ実習の履修に結びついて欲しいと願っていますが、残念ながら翌年度の履修登録までの空白期間が長いため、連結が難しい状況です。履修方法の工夫が喫緊の課題であると感じています。

打撃練習の風景

授業が進んでいくと、上手く打てない学生は、積極性が薄れ、打席に立つ時間が短くなります。こうした学生を見逃さず、姿勢、グリップ、スタンス、フェイスの向きなどをアドバイスすると飛ぶようになる。

打球が変わると、私も嬉しくなりますし、学生諸君からは「楽しい」、「もっと上手くなりたい」、「これからも続けたい」というコメントが授業レポートに書かれるようになります。

本学の学期授業では、ゴルフ文化の入り口に立ってもらうことしかできていませんが、集中授業でゴルフ文化に触れ、ゴルフのファンになってもらいたいと考えています。

ゴルフ種目のみの体育実技クラスの構築、Gちゃれ等の学外企画を組み合わせた継続的なゴルフサポート、集中授業の履修者増に向けた工夫など、課題が多くありますが、今後も積極的に取り組んでいきたいと思います。そして、約50年続く追手門学院大学のゴルフ授業のバトンを明日に繋ぎ、今後の発展に貢献できるよう努力していく所存です。

先生の紹介

松井健(まつい・たけし)

1963年新潟県生まれ。早稲田大学教育学部教育学科体育学専修卒業。順天堂大学大学院修士課程体育学研究科修了(体育学修士)。

川崎医療福祉大学大学院博士課程:医療技術学研究科修了(博士:健康科学)。中京大学(実験実習助手)、吉備国際大学(助手、講師)、日本福祉大学(准教授、教授)を経て、2014年追手門学院大学に着任。

基盤教育機構教授、スポーツ研究センター長。基盤教育科目の「基礎体育(実技)」「応用体育(実技)」「体育概論」の他、スポーツキャリアコース科目の「スポーツ生理学」「高齢者スポーツ論」を担当。担当する実技種目は、ゴルフの他、フライングディスク、卓球、ボッチャ、テニスなどである。

体育実技の授業ではチームでのグループワーク手法を用いて履修生のコミュニケーション力を高め、積極的な活動となることを目指している。また、すべての講義系、実技系授業において毎回のレポートを通じた履修生とのコメント交換を行っている。

高齢者を対象としたトレーニング研究や地域貢献につながる取り組みを行っている。また、アメリカンフットボール部の部長を務めている。

所属学会は、日本体力医学会、日本体育学会、日本運動生理学会、日本水泳水中運動学会など。日本水泳連盟理事(科学委員会所属)、愛知水泳連盟理事(医科学委員会所属)。

グラウンドでの打球練習の様子


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