大学ゴルフ授業研究会

我が大学のゴルフ授業12 ~人と人、人と自然との「共生」を目指すゴルフ授業~服部 由季夫(星槎大学)

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 2017年12月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

2004年に日本で唯一の「共に生きることを科学する」学部「共生科学部」(本校:神奈川県箱根町)として開学。教育、福祉、環境及び国際関係など幅広い分野を横断的、且つ、自由に学ぶための特色あるカリキュラムを編成し、現職教員など社会人を中心に全国およそ6,000名が在籍。

また、特別支援教育を礎として、初等教育(幼稚園・小学校)、中等教育(社会/公民/保健体育)の免許状の取得が可能で、とりわけ、保健体育は通信制で唯一取得が可能であり、トップアスリートのセカンドキャリアのサポートも担っている。

授業風景

現在スポーツ(1)の授業でゴルフに取り組んでいます。高尾にあるキャンパスで、ショートアイアンから導入を図り、最終的にはドライバーで飛ばせるところまで指導を行っています。授業では力一杯スイングするだけではなく、保健体育教員免許の取得を目指している学生も多い為、肩関節や股関節の解剖学的な説明を入れながら、理にかなったスイングが出来るように指導しています。

本学の理念は「共生」であり、それは人と人の共生、人と自然との共生という考え方を含んでおり、ゴルフは「共生」について学生に考えさせる上でも有効であると考えています。

また、学生同士でスマートフォンで撮影し、良い部分や改善すべき部分を検討させるなどして、アクティブラーニングの要素を取り入れ、ボールを打って終わりにならないように配慮しています。

専用のグラウンドがない為、飛ばないボールを使っての指導となっていますが、学生の多くが小学校教諭や中高の保健体育教員を目指している為、教場や道具の工夫を考える場面となるよう配慮しています。

これまで授業でコースに出たことがない為、今後の課題として、実際にコースに出るということがあります。そこでは、ゴルフ場という社会でのマナーや、自然の中でのプレーで味わう自然との共生について学ぶことが出来ると考えており、大学ゴルフ授業研究会のGちゃれとの連動で進められるよう検討しています。

先生の気持ち

星槎大学は通信制のみで開講されている大学です。現在、日本で唯一通信制大学として保健体育の教員免許が取得出来る大学でもあります。

社会人の学生が多いことが特徴で、学生の平均年齢は37.3歳であり、ゴルフとの親和性は高いものと考えられます。通信制大学ですが、教養体育としての実技の授業は規定の時間数を行う必要があり、老若男女が集う大学で、学生の興味と疲労を勘案しながら、授業を行っています。

恵まれた環境とは言えませんが、だからこそ工夫次第で学びは深まります。

恵まれた環境とは言えませんが、だからこそ工夫次第で学びは深まります。

履修者の多くは教員志望の学生であり、ややもすると単位修得だけの体育授業になりがちです。体育、ひいては身体活動は健康のために為されることも大切であり、従って授業で学んだことをその後も継続してもらうことが肝要であると考えます。

継続しやすい種目を選択し学生に提供することも大切だと考えます。ゴルフはそのような視点からも相応しく、今後学生が継続的に取り組んでくれることを期待しています。

スポーツに対して学生が期待することには幅があり、力一杯行うことで満足するものもいれば、集中して成し遂げることに楽しみを見出すものもいます。自然の中での爽快感を期待するものもいれば、みんなと楽しく行うことを望むものもいます。

ゴルフは、多くの要素を内包しており、それらを学生に伝えられたらと、考えております。そしてそれらは本学の理念であり、これからのグローバルな基準ともなり得る「共生」に繋がりうるものであると考えています。

授業の中だけでは、伝えきれないことも多くあります。大学ゴルフ授業研究会での意見交換などとGちゃれとの連携を図りながら、学生の人生に資するようなゴルフの授業展開が出来ればと考えます。

先生の紹介

星槎大学共生科学部共生科学科准教授
服部 由季夫(はっとり・ゆきお)

服部 由季夫

服部 由季夫

1968年生まれ。東京都海城高等学校卒業。國學院大學経済学部経済学科卒業。東海大学大学院体育学研究科体育学専攻修了。東海大学非常勤講師、北里大学保健衛生学部非常勤講師を経て、2004年より星槎大学に着任。担当科目は生理学、衛生学、体つくり運動、スポーツ(1)、スポーツ(2)等。

現在、コミュニティFM湘南マジックウエィブの「子育て・親育ち」のコーナーに定期的に出演し、健康や神道についての話題を提供している。また、過去には「クイズヘキサゴン」において武道の技を披露した。

合気柔術七段、空手弐段。パワーリフティングで神奈川県優勝の経験もある。東海大学のトレーニングセンターにて水泳や自転車、キックボクシングの選手を指導し、優勝に導いた。國學院大學柔道部や東海大学ラグビー部のトレーニング指導の経験もある。健康と身体活動について研究を続けている。武道とゴルフの融合を模索中である。

第1種衛生管理者の資格を有し、多くの自治体、民間企業で健康指導、運動指導を行う。その経験から、労働者の健康に資する身体活動や運動について、学生に伝えるように努めている。教養体育で、単に体を動かして楽しかった、気持ちよかったに止まらないように配慮している。

全国大学体育連合研修部門委員。日本ゴルフ学会関東支部理事。大学ゴルフ授業研究会通信制授業研究委員長。日本神社庁の神職直階の階位を有す。


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