大学ゴルフ授業研究会
※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2020年4月号(見本誌の申し込みはこちらから) 2016年6月のいわゆる3者連携後、大学ゴルフ授業は様々な支援を受けてきた。 また、ゴルフ人口減少が進む中、ビジネスチャンスと捉えて大学や学生と接触しようとする企業も多くみられた。 こうした状況を踏まえ、業界の皆様に大学体育(ゴルフ授業)の担当教員、教場の状況、用具の状況、授業目的、受講生の状況等々、一般にはあまり知られていない、大学ゴルフ授業の概観をお伝えできればという思いで、株式会社ゴルフ用品界社・片山哲郎社長にリレー連載の提案をし快諾頂いた。 大学教授は学術研究(論文)は発表するが、自分自身の授業を紹介するような原稿を書く機会はあまりない。 その点で、授業内容・実践方法を披露し合うことによって、他の大学でどのようなゴルフ授業が展開されているのか、教員間における情報共有の機会ともなった。40回に渡った連載は、下記の皆様が担当した(所属大学・職位は当時)。 〈2017年〉 1月号 橋口 剛夫(帝京科学大学 教授) 2月号 高丸 功(学習院大学 教授) 3月号 工藤 和俊(東京大学 准教授) 4月号 森 正明(中央大学 教授) 5月号 樋口 和洋(東京経済大学 特任講師) 6月号 溝畑 潤(関西学院大学 准教授) 7月号 舛本 直文(首都大学東京 教授) 8月号 鶴原 清志(三重大学 教授) 9月号 松井 健(追手門学院大学 教授) 10月号 松林 幸一郎(亜細亜大学 准教授) 11月号 浅井 泰詞(目白大学 専任講師) 12月号 服部 由季夫(星槎大学 准教授) 〈2018年〉 1月号 石崎 聡之(芝浦工業大学 准教授) 2月号 金田 晃一(千葉工業大学 准教授) 3月号 椿原 徹也(東京都市大学 准教授) 4月号 松田 繁樹(滋賀大学 准教授) 5月号 高畑 俊成(金沢工業大学 教授) 6月号 小林 勝法(文教大学 教授) 7月号 川崎 登志喜(玉川大学 教授) 8月号 高橋 憲司(愛知学泉大学 講師) 9月号 小山 慎一(帝京科学大学 准教授)※上野原キャンパス 10月号 北 徹朗(武蔵野美術大学 准教授) 11月号 林 恭輔(松山大学 准教授) 12月号 石川 国広(東京工業大学 助教) 〈2019年〉 1月号 柳田 信也(東京理科大学 准教授) 2月号 桂 豊(甲南大学 教授) 3月号 難波 秀行(日本大学 准教授) 4月号 一川 大輔(東洋大学 准教授) 5月号 只隈 伸也(大東文化大学 教授) 6月号 江原 義智(武蔵丘短期大学 専任講師) 7月号 松本 芳明(大阪学院大学 教授) 8月号 新井 健之(高千穂大学 教授) 9月号 江口 潤(産業能率大学 教授) 10月号 後藤 光将(明治大学 教授) 11月号 加藤 譲(東海大学 准教授) 12月号 吉川 昌則(青森大学 教授) 〈2020年〉 1月号 田中 重陽(国士舘大学 准教授) 2月号 宮口 和義(石川県立大学 教授) 3月号 千足 耕一(東京海洋大学 教授) 4月号 北 徹朗(武蔵野美術大学 教授)※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2020年3月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

■東京海洋大学 東京海洋大学は、東京商船大学と東京水産大学を統合して設置された大学です。東京商船大学は明治8年11月(1875) 私立三菱商船学校を、東京水産大学は明治21年11月(1888)に開設された大日本水産会水産伝習所を源流とするものです。 平成16年4月1日からは国立大学法人東京海洋大学として、2学部7学科、大学院博士前期課程5専攻・博士後期課程2専攻、学内共同教育研究施設を設置しました。 その後、改組を経て現在では3学部・8学科、大学院7専攻で構成される大学です。品川キャンパスと越中島キャンパスの2つのキャンパスを有する国内唯一の海洋系大学である東京海洋大学は、「海を知り、守り、利用する」ための教育研究の中心拠点となって、研究者を含む高度専門職業人養成を核として、海洋に関する総合的教育研究を行い、人材を養成しています。

授業風景

品川キャンパスにおける後期科目スポーツⅡの授業の選択種目の一つとしてゴルフを開講しています。受講生の定員は20名×2コマ。 基本的に屋外のグラウンド(芝および草地)で、ゴルフマットを敷いて打席とし、一定方向に打球練習するセッション、グラウンドにスタートマークおよびゴールを設置して模擬的にラウンドするセッションを繰り返しながら授業を展開しています。 使用するクラブは基本的に7IとPWです。全体の授業回数における前半には穴あきプラスチックボールを中心に使い、後半は少し硬めのプラスチックボールを使っています。 雨の際には屋内の武道場を使い、ショートアプローチの練習を行ったり、ゴルフのためのトレーニングなどを行ったりしています。また、ターゲットバードゴルフのゴールを目標物として活用しています。 男子と女子はおおよそ半数ずつで、ほぼ全員が初心者です。授業終盤には、大学ゴルフ授業研究会と一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会のお世話になり、Gちゃれを開催させていただいています(参加は任意)。

先生の気持ち

私にとってのゴルフは、父親が練習していた打ちっぱなし練習場に一緒について行き、クラブを振ることから始まりました。 その後、筑波大学体育センター就職後に一般体育の中での1つの種目としてゴルフが開講されており、研修をさせていただく機会がありました。その授業では、定時のコマでケージ内での打球練習が行われ、加えて集中授業としてショートコースでのラウンドが含まれていました。 ゴルフは、力みやメンタル面でのプレッシャーなどが影響する、非常に興味深いスポーツです。 授業を履修した学生には、自然体での基本の構え、グリップ、アドレスなどを繰り返し確認するように伝えていますが、自身の動きを客観的に分析してフィードバックできる学生はそれほど多くないように思います。 しかし、芝や草地の上を歩きながら、ゴルフのルールやマナーを覚えてプレーすることで、ゴルフの楽しさを実感するようです。 さらにGちゃれに参加した学生は大きな学びを得ているように感じています。 「初めてゴルフ場に行かせていただいて、様々な場所に行き届いた配慮に心地の良さを感じて、またここに来たいと感じさせられました。」 「壮大な自然の中でプレーをするのは気持ちが良く、またこの快感を味わいたいというゴルフの楽しさが分かりました。」 「Gちゃれでは見晴らしの良い大自然の中で、思い切りボールを打つことができ、楽しかったです。良いショットが打てたときの爽快感は格別でした。」 「Gちゃれに参加したことでゴルフというスポーツの奥深さ、楽しさをより深く知ることが出来ました。 授業の中でボールを打つのも飛んだ時の快感は味わえましたが、広い敷地の中で沢山の自然とともにホールを回る爽快感は実際にゴルフ場に行ってみなければ感じられなかったと思います。」などと感想を述べています。 年齢にかかわらず、長く楽しめる、かつ奥深いスポーツ「ゴルフ」を少しでも学び、記憶しておくことは、豊かな人生に役立つものと思います。いつか、どこかのゴルフ場で、授業を履修した学生と偶然出会えるような日が来ることを期待しています。

先生の紹介


■東京海洋大学 学術研究院 教授 千足耕一

■東京海洋大学 学術研究院 教授 千足耕一(ちあしこういち) 1966年兵庫県神戸市生まれ。学歴:兵庫県立長田高等学校卒業。筑波大学体育専門学群卒業。筑波大学大学院修士課程体育研究科体育方法学専攻修了(修士・体育学)。東邦大学医学部にて博士(医学)取得。職歴:筑波大学体育センター準研究員(文部技官)〜助手、十文字学園女子短期大学専任講師~助教授、国立大学法人鹿屋体育大学海洋スポーツセンター講師〜准教授(海洋スポーツセンター長)を経て、2008年より国立大学法人東京海洋大学に赴任。現在、東京海洋大学学術研究院教授。 海洋生命科学部のスポーツⅠ・Ⅱ、海洋性レクリエーション論、マリンスポーツ実習、健康・スポーツ科学演習等、海洋工学部のスポーツⅡおよび海洋実習(海での遠泳)、大学院博士前期課程の海洋スポーツ科学、大学院博士後期課程の身体適応学特論を担当している。 学会等の社会活動として、日本野外教育学会理事、日本海洋人間学会理事、日本スポーツ整復療法学会理事、大学スキー研究会常任幹事、海に学ぶ体験活動協議会理事、ヤマハ発動機スポーツ振興財団理事などを務めている。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2020年2月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

■石川県立大学 本学は石川県農業短期大学を前身として2005年4月、石川県野々市(ののいち)市に開学しました。北陸で唯一の農学系総合大学です。本学を構成する生物資源環境学部は、自然環境との調和をはかりながら、人間が持続的に生物資源を利活用していくための教育・研究を目的としています。その範囲は、これまでの農学の枠には収まりきらず生物生産科学、環境科学、食品と健康の科学、バイオサイエンスとバイオテクノロジーの学問分野にまで広がっています。また、近年ではこれらが融合した新しい分野、例えば農林漁業の6次産業化への取り組みもあり、地域の人々や企業と密に関わりながら新たな分野にも挑戦しています。

授業風景

本学のゴルフ授業(スポーツ実技Ⅲ)は、毎年9月に集中授業として開講しています。受入人数は20名ですが、人気が高まっており抽選を行うこともあります。ゴルフにおける基本技術やルール、マナーなどを修得し、ゴルフを生涯スポーツとして親しむための基礎を養うことを目標としています。まず座学で、ゴルフの歴史、用具、マナー・エチケットについて視覚教材を活用して学習します。特にゴルフ用具の進化については、スポーツ工学の観点から詳細な説明を行い、一層興味を持ってもらうようにしています。 実技はパターから練習させます。各種パターマットを並べ、2~3人ずつローテーションしながら練習しています。時には全員を並ばせ、1mのショートパットを順番に打たせ、入らない場合は列の最後尾に再び並ばせるなど、プレッシャーも体験させています。 パター練習後はラウンドの楽しさを体感してもらうために、パークゴルフを積極的に導入しています。大学近くの専用コースで地元のパークゴルフ協会の方々に応援していただき、ラウンドレッスンを行ってもらっています。孫のような学生達を相手に熱心に技術、マナー等を教えていただくわけですが、良い交流の場になっていると思います。スイングづくりは体育館でスナッグゴルフを活用しています。その後は、提携しているゴルフ練習場へ移動し、アプローチからドライバーまでICT(練習アプリ等)を活用しながら練習します。

先生の気持ち

私自身、学生時代に教養の授業で“ゴルフ”を選択しました。昔読んでいた「あした天気になあれ(漫画)」の影響が大きかったといえます。陸上(やり投げ)が専門だったのですが、ゴルフに対する憧れがあったと思います。小さい頃には家にあった木片でクラブをつくり、ジュースの王冠をボール代わりに打って遊んでいた記憶があります。授業で初めて本物のクラブに触れた時、とても感動したのを覚えています。グランドでのアイアン練習では、最初は思うように当たらないのですが、上手く当たると予想以上にボールが飛んでいくのに驚かされました。当時、教えていただいた先生とはその後(就職してから)、大学体育連合の指導者研修会で一緒にラウンドする機会がありました。そのコンペで優勝(ベスグロ73[41・32])した際、シングルでもあった先生に「上手くなったなあー」と褒めていただき恐縮したことを覚えています。恩師と同じ土俵で真剣勝負できるスポーツはなかなか無いと思いますが、それがゴルフの魅力だともいえます。 本学では学長杯ゴルフコンペを年2回開催しています。理事長はじめ研究分野の異なる先生方や職員と一緒に回るのですが、いろいろと情報交換ができる良い機会です。学生達にもぜひゴルフを覚えてもらい、社会人になっても様々な人との付き合いを広げてもらいたいと思います。 ところで私の目標はエイジシュートです。体を鍛え健康に留意し、技能を高めるよう日々精進しなければ達成できませんが、体育人の究極の目標といえます。また、ゴルフほど考えさせられるスポーツは他にはありません。あらためてメンタルトレーニングの重要性を気づかせてくれたのもまさにゴルフです。ぜひ授業を通じて私のようなゴルフ馬鹿を一人でも育てたいと考えています。

先生の紹介


■石川県立大学 教養教育センター 教授 宮口 和義

■石川県立大学 教養教育センター 教授 宮口 和義(みやぐち・かずよし) 1964年石川県金沢市生まれ。金沢泉丘高校、金沢大学教育学部卒業、金沢大学大学院自然科学研究科博士課程修了、博士(学術)。専門は身体運動学・体力トレーニング論。日本体育測定評価学会常任理事、日本教育医学会常任理事。いしかわ科学トレーニング専門グループ委員(国体強化指定選手のトレーニングアドバイザー)。 学生時代は陸上競技(やり投げ)でインターハイ、インカレ出場。石川県立大学陸上競技部監督。㈳日本職業スキー教師協会教師(元白峰プロスキースクール副校長)。平成6年~15年まで富山商業高校硬式野球部トレーニングコーチとして選手強化を行い、春・夏7回の甲子園出場に貢献。ジュニア陸上選手育成・強化のために、平成11年小立野ジュニアアスレチッククラブ(小立野JAC)設立。監督として指導にあたり各種競技会で多くの入賞者を出す。 これまでSSC(反動動作)利用による筋パワー発揮について、また幼児の生活リズムと身体活動量および運動能力との関係について研究をしていました。最近は競技力に大きく関わる足指力、それを高め姿勢を安定させる履物(草履)を研究しています。新たに商品化したFoot活サンダルはゴルファーにも有効です。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2020年1月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

■国士舘大学 国士舘は1917年、激動の大正中期、創立者柴田德次郎ら青年有志が、智力と胆力を備えた有為の人材の育成に思いをはせ、東京・麻布の地に私塾「國士館」を創立したことをもって始まり、2017年に創立100周年を迎えました。 建学の精神は、“日本の将来を担う、国家の柱石たるべき眞智識者「国士」を養成する”であり、「国を思い、世のため、人のために尽くせる人材『国士』の養成」を目指しています。スポーツ活動が盛んであり、多くのオリンピアンを輩出した実績があります。 学生数は約1万3千人であり、都内に3キャンパス(世田谷・町田・多摩)を有し、7学部(政経、体育、理工、法、文、21世紀アジア、経営)、10研究科からなる総合大学です。

授業風景

国士舘大学では体育学部を除く6学部において、総合教育科目として体育実習(必修)およびスポーツ実習が開講されています。 22種目100以上の授業が展開されており、ゴルフ授業は、町田キャンパスの専用教場において、春・秋期にそれぞれ4コマ(計8コマ)開講されています。ゴルフ授業には、春・秋期で延べ約150名が受講しています。 授業では、ゴルフの実践を通じて、ルールやマナーを理解するとともに、ゴルフを生涯スポーツとして実践するための基礎的な知識と技術を習得することを目標としています。

校外実習(ゴルフ実習)の様子

また、授業を通じて心身ともに健康でゆとりある生活を実現する能力や態度の育成、協調性、積極性及び行動力などの社会性を養うことをねらいとしています。 私が担当するゴルフ授業は、学内のゴルフ教場での基礎練習(10週)と、校外でのゴルフ実習(5週分)で構成しています。受講学生の多くが初心者であることから、基礎練習ではゴルフクラブの特性やスイングのメカニズムについて解説します。 また、自身のスイングチェックには、iPadや簡易式スイング分析器を利用しています。ゴルフ実習は、千葉県成田市のダイナミックゴルフ成田、群馬県高崎市のサンコー72カントリークラブにご協力頂き実施しています。 本年度は、大学ゴルフ授業研究会のGちゃれ(於:八王子CC)に始めて挑戦しました。ゴルフ実習では初めて本コースをラウンドする学生が多く、ゴルフの醍醐味を感じています。

先生の気持ち

私のゴルフとの関わりは、恩師が担当するゴルフ実習のサポートから始まりました。その後、日本ゴルフ学会の事務局を担当することになり、ゴルフとの関わりがより一層深くなっていきました。日本ゴルフ学会の活動を通じて、ゴルフへの科学的な観点でのアプローチの多様性を知ることができました。 また、あらゆるフィールドで活躍される方々との繋がりを持つことができました。自身のゴルフの実践を通じた経験や日本ゴルフ学会での活動で得たものを授業に還元したいと考えております。 本学のゴルフ授業を受講する学生は、初めてクラブを握る者が多く、クラブの特性やスイングのメカニズムなど基礎から教えるようにしています。

学内ゴルフ教場での授業の様子

授業では、限られた時間、教場ではありますが、受講学生により多く打球させることを重視しています。また、ゴルフ実習では、本コースのラウンドを体験させることで、ゴルフの醍醐味や魅力を実感してもらうとともに、ゴルフ場でのマナーや、競技のルールを重点的に指導するよう心がけています。実際にゴルフ実習に参加した学生からは、“貴重な体験ができた”、“もっと上達したい”、“ゴルフを継続したい”などの感想を聞くことができます。 本学の教育理念は、日々の「実践」のなかから心身の鍛練と人格の陶冶をはかり、国家社会に貢献する智力と胆力を備えた人材「国士」を養成することにあります。 ゴルフは競技の特性ゆえに、身体と精神の鍛錬や人格形成に貢献する可能性を有していると感じています。ゴルフ授業が、心身の鍛錬や人格形成に少しでも役立つ機会となるよう、自身の指導力を高めるとともに、授業の充実を図りたいと考えています。 そして、受講学生が、ゴルフへの興味を高め、生涯スポーツとして継続してくれることを願っております。

先生の紹介


■国士舘大学 政経学部政治行政学科 准教授

■国士舘大学 政経学部政治行政学科 准教授 田中 重陽(たなか・しげはる) 1977年岐阜県生まれ。岐阜県立益田高等学校(現、益田清風)卒業。国士舘大学体育学部体育学科卒業。同大学大学院スポーツ・システム研究科修士課程修了。同大学体育学部研究助手、大学院研究科助手、流通経済大学専任講師を経て、2014年から国士舘大学政経学部に講師として着任。現在は政経学部政治行政学科准教授。授業は講義科目の“身体と運動”、実技科目の“体育実習”、“スポーツ実習”(ゴルフ、卓球、フィジカルトレーニング、バスケットボール、ソフトボール)を担当している。専門競技は野球であり、高校時は硬式野球部、大学時は準硬式野球部で活動した。国士舘大学体育学部研究助手時には、準硬式野球部の監督を務めた。 日本体育学会、東京体育学会、日本バイオメカニクス学会、日本ゴルフ学会などの会員であり、2004年から日本ゴルフ学会の事務局を担当し、2014年から事務局長兼副理事長を務めている。 専門の研究領域は、バイオメカニクスであり、主にスポーツ競技者の筋形態と筋機能評価に関する研究を継続してきた。近年は、スロベニア共和国で開発されたMuscle Contraction Sensor法を用いて、筋および腱の力学的活動動態の評価に関する研究を実施している。2017年9月から2018年8月までの1年間、本学の学外派遣研究員として、リュブリャナ大学スポーツ学部で研究活動を実施した。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年11月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

■東海大学 東海大学海洋学部は1962年に、「日本で唯一の海洋に関する総合学部」として清水・三保に開設されて以来、一貫した教育体制のもと、有能な人材を多数輩出してきました。 開設当時の日本は、海洋の科学的研究と開発に対する体制が皆無に等しい状態であったことから、本学部は、資源・エネルギー問題や人口増加に伴う食料問題など、人類が抱える諸問題の解決を図るとともに、問題解決能力を有する知識と技術を持った人材を育成することを理念に掲げてきました。 (http://sdb01.scc.u-tokai.ac.jp/about/index.htmlより参照、抜粋) 清水教養教育センターの基本的な役割は、多様な学習歴を持つ入学者に対して、上のような教育目標をより具体的で円滑に理解・実践してもらうと共に、各学科での学習や卒業後の社会で求められる種々の素養の基礎を育む拠点です。 可能な限り幅広い分野について教授できるよう、授業運営にはセンター専任教員はもちろん、海洋学部や他学部(他校舎)の教員、非常勤教員が参加しています。 また、当センターでは教育分野ごとに「総合教育部門」「保健体育教育部門」「外国語教育部門」「基礎教育部門」の4部門で構成されています(https://www.u-tokai.ac.jp/about/research/ facilities/shimizu/より参照)。

授業風景

清水校舎では、バレーボール2面が取れる広さの体育館2階のフロアを使用しています。 フロアの真ん中には、フロアを半分に仕切ることができる防球ネットが設置されています。ネットから両端に向かい、5m、10m、15mと打席を設定し、ネットに向かって打つ練習をしています。 サッカーコートが一面を裕に取れる土のグラウンドを保有していますが、ゴルフボールの回収を考え、体育館のフロアで行っています。また、雨天時での実技実施が可能である体育館フロアでの開講をしています。授業回数を重ね、ある程度、ボールを打てるようになったときに開放感があるグラウンドに出て、授業を開講しています。受講生の定員は20名と設定しており、10打席を準備しています。学生のほとんどは、クラブを持ったことがない初心者です。

先生の気持ち

ゴルフとの出会いは、青山学院大学の助手時代に得たゴルフ授業の補助の機会でした。 それから、20年が経ち、2018年度より担当されていた非常勤の先生が本務校の都合で担当できなくなり、私がゴルフの授業を担当することになりました。 担当に決まり、すぐに練習場で確認しました。まずは、見本を見せられるように練習しました。 いざ、学生の前で見本を見せると、ダフってしまい、学生に苦笑されてしまいました。それから、練習場に足を運ぶ機会が増え、現在も練習に励んでいます。 私のスタイルは、学生に教えるというより、実践させて確認させることを重要視して、授業を進めるものです。 どのスポーツにおいても、実践者の感覚を主体とする必要があると思っています。 型にはめても、うまくいくものではない。学生には、自分で自分の身体と向き合わせながら、確認させ、力加減を調整させて、再現させてみることを繰り返しています。 しかし、コーチングする上で必要なポイントをまだまだ整理できていないことが大変歯がゆいです。 意識させるところ、意識させないところを効率よく気づかせていくことができるようになりたいと思い、毎回の授業で学生のスイングを観察しています。 ゴルフは、自分自身と向き合うこと、自分の心と向き合うこと、自分の身体と向き合うこと、自分の動きと向き合うことの機会を与えるスポーツであると思います。 『初めてクラブを握り、ボールに当ててみる。スイングを少しずつ大きくしていく。徐々に思い通りにクラブがボールに当たることが少なくなる。でも、また気持ちを整え、挑戦する。そして、偶にいい感じでボールが飛ぶ。1回当たったからといって、次当たる訳でもない。全然当たらないから練習しないとなると、1回も当たらないから続ける』。 この経験が大切であると思います。このサイクルを経験することは、大学生の年代に、自分自身を理解する機会として利用できるため、ゴルフというスポーツを1人でも多くの学生たちに経験してもらいたいと思っています。 そうすると、ゴルフの奥深さを、身を持って感じ、ゴルフへの興味を深めてくれると思います。

先生の紹介


■東海大学 清水教養教育センター准教授加藤 譲(かとう・じょう)

東海大学 清水教養教育センター 准教授 加藤 譲(かとう・じょう) 1973年愛知県生まれ。中学卒業後、単身アルゼンチンへサッカーおよび語学留学(1989年3〜12月)。 愛知県私立中京高等学校(現:中京大学附属中京高等学校)卒業。 東海大学体育学部卒業。東海大学大学院体育学研究科体育学専攻修了(体育学修士)。 青山学院大学文学部体育実技助手、アルビレックス新潟ユース監督(2002~2004年シーズン)、大学非常勤講師を経て、2010年東海大学専任講師着任。現在、同大学清水教養教育センター准教授。 自己学修科目として講義「健康・スポーツ概論D ライフステージと健康」及び生涯スポーツ理論実習、健康フィットネス理論実習、スポーツ12、アウトドアスポーツ1234を担当する。担当する実技種目は、ゴルフの他、フィットネス、フィンスイム、フィッシング(集中)、ダイビング(集中)、スノーボード(集中)である。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年10月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

「近代市民社会を担う聡明な若者を育成する」ことを目指し、フランス法の自由民権思想を学んだ当時20代の青年法律家、岸本辰雄、宮城浩蔵、矢代操の3人が1881年1月17日に設立した明治法律学校を母体としている。 東京都に3キャンパス(駿河台、和泉、中野)、神奈川県川崎市に1キャンパス(生田)を有する。10学部(法、商、政治経済、文、理工、農、経営、情報コミュニケーション、国際日本、総合数理)、12研究科、法科大学院、専門職大学院からなる総合大学である。学生数は約3万2千人であり、13年連続志願者10万人以上である。

授業風景

明治大学は、2017年度から100分授業を導入して半期14週の授業を実施しています。本学は、各学部によってカリキュラムが異なるためゴルフ授業の形式も様々です。そのため、私が所属する政治経済学部の担当授業について紹介します。 1年必修授業(運動学演習Ⅰ)は、第二外国語選択によるクラス編成により自動的に割り振られます。学生による種目選択権がないため、春学期と秋学期では必ず異なる施設が割り当てられます。半期14回の授業内でも単一種目でなく、できるかぎり幅広く、様々な気づきを促す教材を用いるようにしています。ゴルフゲージの施設での授業であっても、人工芝のパッティングスペースを使用して、ヨガストレッチ、サッカーやラグビーのパス練習、ボールジャグリングなどをウォーミングアップとして行ったりします。基本的なグリップ、スウィングの素振りから始まり、クォータースウィング、ハーフスウィング、スリークォータースウィング、フルスウィングの4つのスウィングを使い分けられるようにショットできることを到達目標としています。 ゴルフゲージは 14打席あり、2〜3名で20球毎に交代するように打撃練習を行わせます。同じ打席に入った学生同士で観察し合って、お互いのスウィングに関心を持たせることを重視しています。学生は慣れてくると反復練習に飽きてきて集中力が無くなってしまいがちなため、目標のためフラフープを置いたりするなどしています。

先生の気持ち

テニスを専門としている自分にとっては、やはり、ラケットやバットを用いる球技は技術の習熟に時間が掛かることを痛切に感じています。同じ動作の反復練習を100回、200回と繰り返し、数年かけて完成度を高めることは当然の世界です。 また、ラケット・バット系スポーツの特徴として、オープンスキル的な要素が非常に大きく、様々な状況に備えた対応が求められます。ゴルフは全てのショットが自らのタイミングで打てます。他のラケット・バット系スポーツに比べオープンスキル的な要素は少ないと思われがちですが、ゴルフに関してはホール毎に形状は起伏に富んでおり、同じものは世界にひとつもありません。 この意味においては様々な状況に合わせた幅広い技術や知識が必要になるオープンスキル的要素が高いスポーツといえます。やはり、ゴルフはむずかしいスポーツです。しかしながら、むずかしいからこそ興味深いという奥深さがあります。 授業の学生のほとんどはゴルフ未経験者です。最近の大学生の傾向として、知らないことにあまり関心を持たないような気がします。そこで、私は学生へのゴルフ授業への動機付けのために、「社会に出てゴルフに誘われる機会は誰でも必ずあります。その誘いを受けるか断るかは自分次第です。その時のための基礎準備をしましょう!」と声掛けをしています。ゴルフは社会に出て嗜むスポーツの代表格であり、重要なコミュニケーションの場になり得ます。一生涯楽しめ、心豊かなコミュニティ創りに資する、レクリエーションとしてのゴルフをこれからも多くの学生に紹介していきたいと思っています。

先生の紹介


■明治大学 政治経済学部 教授
後藤 光将(ごとう・みつまさ)

明治大学 政治経済学部 教授 後藤 光将(ごとう・みつまさ) 1975年石川県生まれ。石川県立金沢泉丘高校、筑波大学体育専門学群卒業、同大学院体育科学研究科単位取得退学。博士(体育科学)。2007年より明治大学政治経済学部専任講師(現在は教授)。公益財団法人日本テニス協会テニスミュージアム委員会委員、特定非営利活動法人日本オリンピック・アカデミー理事、東北アジア体育・スポーツ史学会理事など。 私の専門は体育・スポーツ史、オリンピック教育です。専門実技はテニスです。明治から昭和初期のテニスの日本的受容についての研究を柱としてきたこともあり、英国文化としてテニスと共通項が多いゴルフにはとても親しみがあります。明治大学に着任後、運動学演習Ⅰ(1年必修体育実技)、運動学演習Ⅱ(2年選択体育実技)、生涯スポーツ演習(集中授業、スキー、キャンプ、スノーシューなど)、スポーツ文化論、教養演習、専門演習などを担当しています。授業でゴルフを担当していることもあり、全国大学体育連合の研修会で研鑽したり、職場仲間でラウンドに出かけたりしています。しかし、なかなか思うようなショットが打てません。上達に時間のかかるスポーツであることに関してはテニスと一緒だなと思います。 趣味は、大学スポーツ観戦です。これまで、野球、サッカー、ラグビーはもちろん、スキー、スケートも観戦に行きました。ゴルフの試合はまだなので、近いうちに観に行きたいです。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年9月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

本学は、1925年に設立された日本産業能率研究所に由来し、1951年に産業能率大学短期大学を設立のあと、1979年に我が国初めての経営情報学部を神奈川県伊勢原市に開設しました。 2000年に経営学部を増設、2007年に経営情報学部を情報マネジメント学部に改称、現在は、自由が丘キャンパスに経営学部、湘南キャンパスに情報マネジメント学部、代官山キャンパスに大学院総合マネジメント研究科に加え、通信教育部門を含む学生教育部門と、研究所設立以降の社会人教育部門、出版部門などを有する学校法人です。本学理念は、学生教育事業を通じて実践的な知識・スキル・協調性を有し、実行力あるよき社会人を育成し、もって社会に貢献することです。

授業風景

本学のゴルフの授業(シーズンスポーツBゴルフ)は、基礎教育科目の「スポーツと健康」の区分に位置付けられた集中授業です。受入枠約20名で募集し、非常勤講師の先生とゴルフ好きの事務職員の協力を得て運営しています。履修学生は、学年別・性別でばらつきがあり、技術レベルは初心者かゴルフ練習場に数回通った程度の学生です。 科目の到達目標として、①スポーツおよびゴルフの意義や役割を理解し、実践のための自己の身体的精神的社会的能力を確認できる、 ②スポーツおよびゴルフの実践力の向上に取り組むことができる、 ③スポーツおよびゴルフの競技規則、マナー、エチケットの精神を日々の生活に応用できる、の3点を掲げています。 6月上旬に座学で、ゴルフ場、用具、規則、マナー・エチケット、安全管理等を学習したあと、教室でパターの実技、人工芝のグラウンドでプラスチックの穴あきボールを使用しショートアイアンのスイング練習を行います。7月8月の上旬の2日間、丹沢大山の麓「伊勢原カントリークラブ」のショートコースを利用しラウンドの基礎を学びます。クラブハウスには「中村寅吉ミュージアム」があり、ゴルフの歴史を学ぶこともできます。 8月下旬に、栃木県大田原市「那須野が原カントリークラブ」での本コースラウンドを2泊3日で行います。早朝6時からクラブを担ぎ「朝飯前ラウンド」で技術を見直し、午前午後は、一般客に混じりカート乗車のラウンドで技術を磨きます。毎晩夕食後は、反省会、競技規則の確認など、ゴルフ漬けの実習になります。 2コマ連続授業であるために、2コマ目は、100y程取れる天然芝のグランドに移動してPWでの実打を行います。

先生の気持ち

私はゴルフが大好きです。でも、定期的にラウンドをすることはありません。授業があるサマーシーズンに集中してプレーする、というのが実際です。大学ゴルフ研究会の指導者講習会に参加し指導方法を学んだりもしていますが、正式なライセンスを持っているわけではありません。 学生時代にサッカーを専門にプレーし、赴任してからもテニスやスキー、バドミントンやソフトボールなど多種目の実技を担当した経験をもとにゴルフの運動を分析し体現するようにしています。 一般に、ゴルフを授業として扱う高校は少ないと認識しています。本学の学生もゴルフに無関心のように見えます。ただ、潜在的に、「一度は取り組んでみたい」と感じている学生がいるのも事実です。 そこで、私の座学科目や実技科目で、ゴルフの楽しさを喧伝するのですが、それを聞きつけた学生がこっそり「シーズンスポーツBゴルフ」に参加してくるといった感じです。 指導運営にあたっては、履修後「もう一度ゴルフをプレーしてみたい」と学生に感じてもらうことを心掛けています。「事故ケガの予防の安全管理」は最も重要ですので配慮しています。 更に、「ゴルフの精神は社会生活に大いに役立つ」、「ゴルフの技術は一生かけて求めて行くもの」、「非日常の、ルールのある、自由な活動としてゴルフを共に楽しもう」です。ゴルフは道具を使うスポーツで、道具の進化は無視できません。スキー指導で道具の進化を実感した体験などが、「道具の性能を引き出せ」というゴルフの指導にも活きているかもしれません。

先生の紹介


■産業能率大学 情報マネジメント学部 教授江口 潤(えぐち・じゅん)

高産業能率大学 情報マネジメント学部 教授 江口 潤(えぐち・じゅん) 私は筑波大学体育専門学群を卒業後、1984年に本学に赴任し当初は主にスポーツ実技を担当しました。96~97年に米国オハイオ州立大学(スポーツ・マネジメント)に学内制度で留学し、Dr.Chelladuraiに指導を受け、帰国後、スポーツ社会学、スポーツマネジメントをテーマに4年次専門ゼミ、3年次専門ゼミを担当しており、そのほか「健康作りの科学」、「スポーツ障害と安全管理」、「サッカー理論」などの座学科目、「スポーツ実践Aサッカー」、「スポーツ実践Fバドミントン・卓球」、「シーズンスポーツBゴルフ」などの実技科目、「インターンシップⅡ」、「就業力プログラム」などのキャリア科目などを担当しています。 本学が実技でゴルフを取り入れた1990年代から担当しており、90年代は長野県北竜湖山荘のショートコースでの3泊4日の実習を運営し、その後、授業の改善・改良を進め、現在は「シーズンスポーツBゴルフ」として、学内での座学1日、2日間の伊勢原カントリークラブのショートコースラウンド、2泊3日の那須野が原カントリークラブでの本コースラウンドの授業形態に改変して今年度で5年目になります。 もともとは、サッカーが専門で、現在は本学サッカー部顧問・部長を務め、関連で関東大学サッカー連盟理事、神奈川県サッカー協会大学部会部会長などの学外社会活動にも携わらせていただいています。日本サッカー協会公認B級コーチ、全日本スキー連盟公認正指導員等の資格を有していましたが、最近は余暇でトレッキングや野菜づくりを楽しんでいます。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年8月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

伝統を礎に未来を見据えて進化する。 1903年(明治36年)に開学した高千穂学園は、創立以来今日まで、理事会、教員及び事務職員が一体となり、学生一人ひとりを家族のように支えていく「家族主義的教育共同体」という学園文化に基づいた教育を実践しております。 又、現在では、高千穂大学父母の会及び高千穂学園同窓会による様々な学生支援も行われております。「家族主義的教育共同体」の下、社会に貢献できる知的・人格的資質を備えた有為な人材育成を目標とする大学、それが高千穂大学です。

授業風景

高千穂大学では、教養科目の一つとして体育科目を2単位選択必修(体育科目としては必修)として設置しています。 科目は、教養として全体的な健康運動に対する理解を目標にしている「健康体力づくり」と、種目に特化した楽しみ方を学ぶ「生涯スポーツ(種目名)」、そして、その2科目同時・2コマ連続で行う「健康生涯スポーツ」の3種類を用意しています。ゴルフは、健康体力づくりの中で担当教員の裁量により選択的に行われています。ここでは、私が担当している「健康生涯スポーツ」におけるゴルフ授業を紹介します。 授業ではまず、マナーの重要性や日本における文化としての受入について簡単に話します。その後、室内においてパター(写真1)を行い、距離感を中心に方向性も同時に学習させます。次に、マットの下にテニスラケット(写真2)を入れ、打球と斜面の関係を体験させてます。

室内での授業風景

2コマ連続授業であるために、2コマ目は、100y程取れる天然芝のグランドに移動してPWでの実打を行います。

ラケットでの斜面作成

安全を第一に、マーカーで打席を作り打席には1名のみ、クラブもグループで1本に限定します(写真3)。

天然芝での授業風景

ボールは、ウレタンやプラスチック製を使用しています。フルショットも行いますが、目標へのコントロールショットを中心に方向性と距離の打ち分けを行わせます。全てにおいて、練習→競争を伴う本番→練習→本番と、楽しみながら自らの課題が見つけられるように仕向けています。

先生の気持ち

教養として、『ゴルフは楽しい』を学び、生涯スポーツとしてゴルフを選択させたい。 学生には健康と身体運動との関係を理解し、将来、数ある余暇の過ごし方の中で、何かしら体を動かすスポーツを選択して欲しいと思っています。そこで重要なのが、『楽しさ』だと考えています。「スポーツは楽しい」と思わなければ、テレビ視聴、ネットゲームなど数ある余暇の楽しみの中からわざわざスポーツを選んだりはしないでしょう。また、生涯スポーツとして重要な要素は、すぐに楽しめ長く楽しめる事、施設などが十分準備されている事だと思っています。そこで、高千穂大学体育では、テニス、スキー・スノーボードなどの学びを用意しています。前カリキュラムでは、健康運動Ⅰ・Ⅱ(ゴルフ)と、授業名にゴルフが入っており、1年間かけてゴルフを学ぶ授業がありましたが、現カリキュラムでは健康体力づくりの中の一部としてしかゴルフを行えていないのが現状です。 現在、学会や研究会等でゴルフの研究に関わらせて頂いていると、ゴルフの文化的な価値の大きさを実感します。かつて日本で全人口の1/3、ウォーキング、ジョギングに次いで、3番目に多くの人が楽しんでいたゴルフも、数が減ったとはいえ生涯スポーツとしての人気はまだまだ衰えてはいません。経営は苦しいと思いますが、施設も十分にあります。それらの条件から、ゴルフには大学生が教養として学ぶ価値が十分にあると思っています。しかし、一時的にでも楽しさが分からなければ、その後の選択肢になることはないでしょう。そして、授業では、楽しさの長期維持を考え、将来の上達方法の理解を重視しています。「また、この授業中にゴルフをやったりしないのですか?」と学生からいわれると、そのままゴルフを生涯楽しめるようになり、豊かな人生を送って欲しいと切に願います。

先生の紹介


■高千穂大学 人間科学部 教授
新井健之(あらい・たけゆき)

高千穂大学 人間科学部 教授 新井健之(あらい・たけゆき) 1967年栃木県生まれ。佐野高校、横浜国立大学卒業。横浜国立大学大学院教育学研究科修了。教育学修士。東京農工大学大学院工学教育部博士後期課程電子情報工学専攻修了。博士(学術)。 横浜国立大学・東京工業大学・電気通信大学等の非常勤講師を経て、2005年から2008年まで日本工学院八王子専門学校スポーツカレッジ専任教師として勤務。2009年から高千穂大学商学部准教授として着任し、現在は高千穂大学人間科学部教授。2019年から日本ゴルフ学会関東支部理事長。 授業は、運動教授法でゼミを開講している他、スキー・スノーボード、キャンプ、健康科学、体育(教職)を担当。民間団体の指導法も参考にするために、全日本スキー連盟スキー指導員・スノーボード指導員、日本キャンプ協会ディレクター1級、NSCA-CSCS等も取得している。 トレーニング科学分野にて2010年から文部科学省科学研究費(課題番号22500589,22500588,25350781,25350778,16K01672,16K01670,19K11472)の助成を受け、飛躍的なトレーニング効果が期待できる対象物への注意配分により変化する運動予測特性を考慮した視覚トレーニングの開発を行っている。その中でも、ゴルフに関しては、パッティングを中心にコントロールショットの実験を進めており日本ゴルフ学会等で報告を行っている。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年7月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

経理専門学校として大阪で最も古い歴史を有する関西経理専門学校の前身、関西簿記研究所を1940年に創設。 のちの1963年、大阪学院大学として創立。現在は、大阪学院大学短期大学部を併設した、7学部8学科+短期大学部を擁する総合大学となっています。大阪の中心から抜群のアクセスで、緑あふれる豊かな環境のキャンパスで開かれるすべての学部・学科において、実務人を育てる実践的な学びを行っています。 現代のビジネス社会で即戦力となるキャリア教育や資格支援の充実、またグローバル社会に適応する国際人を輩出するため、キャンパス内で段階的に語学力や国際性を養うための多彩な国際交流プログラムを展開しています。

授業風景

本学では、全学部学生を対象とした「共通科目」分野の中に選択科目として「スポーツA、B、C」と「競技スポーツ演習」「スポーツ科学演習」を開講しています。全体で15のスポーツ種目が設けられており、その中の1種目としてゴルフの授業が設けられています。 今年度は前・後期各1クラスずつ開設され、定員は20名。毎回定員の3倍前後の受講希望者が出る人気で、コンピュータでの抽選となっています。 本学におけるゴルフ授業用の施設は、約10mの距離の取れる全38打席の専用練習場と、約30mの距離のアプローチショットとバンカーショット、並びにパッティングの練習ができるアプローチ・パッティング練習場があります。

アイアンクラブでの打撃練習

この恵まれた施設を大学の授業だけでなく併設高校のゴルフ授業、そして大学・高校のゴルフ部の練習でも利用しています。 受講生はほとんどが初心者であり、将来ゴルフ場でプレーするための基本的なルールとマナー・エチケットを理解するとともに基本的な技術を身につけて、生涯スポーツとしてゴルフを楽しめるきっかけになることを目的として授業を計画しています。 7Iでティーアップしたボールを打つことから始めて5I、PW、SW、1Wそしてパターと、6本のクラブを使っての練習を段階的に行っています。3回目の授業からは、iPadやスマホの動画アプリを使ったスイングチェックも行い、身体感覚と動作の視覚情報とのズレをなくす工夫もしています。

人工芝グリーンでのパッティング練習

先生の気持ち

体操競技を長くやってきたため、集団的あるいは対人的なボールゲームは苦手な方でしたが、自然の条件の中で静止しているボールに対峙してプレーするゴルフには、初体験の時からとても新鮮で大きな魅力を感じました。といっても、初めて本コースで経験したラウンドの時は、打てばゴロの連続でまともなショットはほとんどなく、5I・7I・PW・パターの4本のクラブのみを使いコースを走り回るという有様でした。でも、ほんの数回きちっと捉えられたショットの感触はなんとも言えない快感であり、ゴルフの面白さに引きこまれることになりました。 その後、30歳代からゴルフの授業を担当することになったこともあり、本格的に技術習得のための練習や指導法の勉強を重ねることでゴルフの奥深さと魅力をさらに感じるようになりました。 こうした自身の経験を基に、ゴルフの面白さ・楽しさを実感して、生涯スポーツとして長くゴルフに親しむ学生が一人でも多く出ることが、私の授業における願いになっています。 そのためにも、一人ひとりの学生の特性に応じた指導で技術を上達させることと、一緒にプレーするもの全員が楽しめるようにルールとマナー・エチケットを理解してゴルフに向き合うことの大切さを授業の中で伝えるように心がけています。 最初、どう動けば良いのか全く分からなかった学生が、徐々にコツをつかみ、たまにボールをクリーンヒットした時に見せる快心の笑顔。こうした「楽しさ」を積み上げていくことが、ゴルフを継続していくためのベースになると思っています。 今後は大学ゴルフ授業研究会主催の「Gちゃれ」等を利用して、受講生が授業の成果を本コースで確認する機会を設けることができればと考えています。

先生の紹介

松本芳明(まつもと・よしあき) 1954年三重県生まれ。東京教育大学体育学部卒業。筑波大学大学院博士課程体育科学研究科単位取得満期退学。九州大谷短期大学を経て、1987年に大阪学院大学へ専任教員として着任。現在、大阪学院大学国際学部教授。 役職としてキャリアセンター所長を務める。中学時代から体操競技を始め、大学院時代まで継続。1980年〜2006年まで日本体操協会1種公認審判員、1985年〜1996年まで国際体操連盟公認国際審判員の資格を保有し、各種大会の審判業務に携わるが、現在は体操競技の現場からは退いている。 授業科目としては、「スポーツ(ゴルフ、卓球)」「比較スポーツ文化論」「スポーツ指導論」「スポーツサイエンス概論」「卒業研究Ⅰ・Ⅱ」「実践課題研究Ⅱ・Ⅲ」等を担当。ゴルフとの出会いは大学院3年の時に先輩に誘われて初体験。その後しばらくプレーの機会がなかったが、大阪学院大学に着任後にゴルフの授業を担当することになり、講習会等で指導法を学びながら技術を磨き、ゴルフプレーの面白さにはまる。 所属学会は日本体育学会、スポーツ史学会(現理事長)、日本ゴルフ学会(近畿支部会理事)、日本体操競技・器械運動学会(理事)など。専門の研究分野は「スポーツ史」。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年6月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

1991年、武蔵丘短期大学は、人格教育、専門知識の取得、社会への貢献の基本理念のもと埼玉県比企郡吉見町に設立されました。本学は、「健康栄養専攻」、「健康スポーツ専攻」および「健康マネジメント専攻」の3専攻から、人々の心と身体の健康生活を支える人材を養成しています。 実践教育を重視し、身体を使って学ぶ実習科目が多く、栄養指導や健康づくり指導、おもてなしを実際に学ぶことができます。 また、少人数クラス・担任制を取っており、学生と教職員の距離が近いのが特徴です。さらに、進路支援体制にも力を入れており、全職員が相談やサポートをすることで、高い決定率を上げています。

学内併設のゴルフ練習場での打撃練習

授業風景

武蔵丘短期大学では、前・後期ともにゴルフ1およびゴルフ2の4コマが開講されています。学内には、10打席、約25ヤードの練習場が併設されています。 また、中庭には、コーライ芝が植えられており、天然芝の上から約50ヤードまでのアプローチを行うこともできます。受講生は、1コマ20人ほどおり、ほとんどが初心者です。 本授業では、日本プロゴルフ協会が推奨する指導法に基づいて行っています。最初は、グリップの握り方から始め、アプローチ、ハーフショット、フルショットと段階を踏んで習得できるように授業を展開しています。

中庭の天然芝の上でのアプローチ練習

学生のみなさんは、実際のボールを打撃するだけで楽しんでいますが、ボールリフティングやプラスティックボールを用いてアプローチを行い、互いにキャッチしてもらうなど、授業をより楽しんでもらえるように工夫しています。 また、座学ではゴルフ場の使用方法からエチケット・マナーまで習得します。 さらに、中庭に特設のコースを作り、プラスチックボールを用いて模擬ラウンドを実施し、実際のラウンドにより近い状態でプレーを体験します。 ここでは、プレッシャー下でゴルフをプレーする楽しさや厳しさ、社会に出ても役に立つようなエチケット・マナーの習得を目指して授業を行っています。

先生の気持ち

本務先や非常勤先の大学のゴルフの授業では、これまでの10年間で、約1000人以上の学生を指導してきました。毎回授業の開始時に行うアンケートでは、学生のほとんどがゴルフを始めるきっかけが欲しかったと回答しています。 このように、将来社会人になっても退職後も生涯スポーツとしてゴルフを楽しみたいと願う学生は大勢います。そんなニーズに大学の授業が応えることができれば、一ゴルフ指導者としてこんなに嬉しいことはありません。 以前ゴルフの授業を受講した当時野球部の学生から、「ゴルフの授業で学んだことで、アマチュアゴルファーとしてプレーを楽しむことができ、さらにエチケット・マナーが、社会人生活にとても役に立っています」という連絡をもらった時は、本当に嬉しく思いました。 また、大学で授業を行うためには、クラブをそろえる必要があります。全国大学体育連合では、日本ゴルフ用品協会に加盟するゴルフメーカー各社から提供頂いた新古品ゴルフクラブを会員に対して無償で支給する制度を取っています。 その制度により、本学にも60本程支給して頂いたことで、ドライバーからウェッジまで幅広く技術を指導できるようになりました。 自身がプロライセンスを取得した身でありながらも、ゴルフは非常に難しいスポーツであると感じています。 そのため、授業では、学生がより早く上達し、さらに楽しんでもらえるような授業を構築できるように努めています。 ゴルフの授業を開講する大学も増加している中、ゴルフ授業研究会では、指導方法を共有するなどの活動を行っており、私自身もさらに指導力を磨きたいと思っています。

先生の紹介

江原義智(えはら・よしとも) 1975年埼玉県生まれ。1998年東京オリンピック開催コースである霞ヶ関カンツリー倶楽部に研修生として入社し、1999年日本プロゴルフ協会プロテスト合格。 トーナメント出場やレッスンを行うかたわら2008年筑波大学大学院修士課程体育研究科修了、2017年同大学大学院博士課程スポーツ医学専攻修了、博士(スポーツ医学)。 日本プロゴルフ協会トーナメントプレーヤーでは、唯一の博士号取得者である。 2009年立教大学兼任講師としてゴルフの授業を担当。2018年武蔵丘短期大学 健康生活学科 健康スポーツ専攻 専任講師に就任。 武蔵丘短期大学では、ゴルフ、健康スポーツ、キャリアなどの授業を担当。課外活動では、ゴルフ部監督として、これまでの経験を活かし、プロが行う最先端のスイング方法やコースマネジメント、メンタルトレーニングを指導し、プロゴルファーの養成を目指している。 また、霞ヶ関カンツリー倶楽部所属時代に学んだ名門コースにおける一流のエチケット・マナーも授業や部活動に取り入れている。 研究者としては、ゴルフパフォーマンスと体力に関する研究を行っており、トーナメントに出場するプロを対象とした研究論文をいくつか報告している。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年5月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

大東文化大学は、1923年(大正12年)帝国議会の決議によって創設された大東文化学院を前身とし、中国学、日本文学、書道などの分野で比類ない伝統と歴史を誇ってきました。 「東西文化の融合をはかり、新たな文化の創造をめざす」という建学の精神のもと、人文・社会科学全領域だけでなく体育・保健衛生系の領域までをカバーする8学部21学科を擁する総合大学へと発展し続けています。

ゴルフ最高!!

また、創設以来、中国やアジアに強い大学として世に認められてきましたが、今日では環太平洋さらには全世界に国際交流の輪を広げるなど、創設の理念「東西文化の融合」は脈々と受け継がれています。 大東文化大学は、文化が交差する知の拠点として深い教養をもった真の国際人の育成に努めています。

授業風景

大東文化大学スポーツ・健康科学部スポーツ科学科では、野外活動系実習として夏期にスクーバダイビング、キャンプ、カヌー、ゴルフ、冬期にスキー、スケート、ゴルフを開講し、夏期、冬期各1種目ずつ受講することが必修(各2単位)となっています。

実習4日目でこのフィニッシュ!!

ゴルフは前期・後期に1コマずつ開講され、各24名が履修定員ですが、毎年抽選になるほどの人気種目になっています。 夏期・冬期ともに学内で5回の事前講習を行い、8月と2月の上旬に茨城県のサザンヤードカントリークラブで3泊4日の実習(ラウンドレッスン含む)を実施します。 アイアンを使っての8−4、9−3、L字とスイングの基礎から始め、Dr、Fwでのショット、パッティング練習、夜の講義ではハイスピードカメラで撮影したスイングのチェックやモータラーニングによって翌日の修正点を確認します。 最終日には、学生4名一組でベストボールでのチーム対抗コンペを開催します。 実習は、引率教員2名、ツアープロ1名、レッスンプロ2名、コーディネートをお願いしているセントラルスポーツから1名の6名で指導に当たっています。 技術向上やルールの習得のみならず、マナーやエチケットの実践にも力を入れ、スポーツとして歴史があり東京オリンピックの種目にも採用されているゴルフを、生涯スポーツとして楽しんで行くために必要な基礎知識及び技術の習得を目的としています。

先生の気持ち

ゴルフって楽しい!! 私のゴルフに対する率直な気持ちである。私がゴルフを始めたのは30才の中盤を過ぎた頃であった。 恩師に誘われぶっつけ本番の状態でコースに立った。クラブは空を切り、コースを耕し、クラブを持って右へ左へ林の中へ。 どのようにして打ったのか何回打ったのかは記憶に残る由もないが、今でもその時のことを思い出すと肩にギュッと力が入り冷や汗をかくほどである。 あの日から月日は流れ、ますますゴルフが楽しくなってきた。この気持ちを学生たちにも伝えたい、感じてもらいたい。ゴルフ実習はここからスタートした。 ゴルフは技術の向上やルールの習得はもちろんであるが、それ以上にエチケットやマナーを学び取っていかなくてはならない。お恥ずかしい話であるが、私がゴルフを始めた頃、飛距離やスコアばかりに気をとられマナーやエチケットを少々おろそかにしていた時期があった。 ゴルフ場の中での自分と周りの方々との「立ち居振る舞い」の違いを感じ取る余裕もなかったのであろう。 しかし、多くの先輩方に「誠実に行動すること」「 他の人に配慮を示すこと」と言うことを教授いただくうちに少しずつではあるが理解を深め、より一層ゴルフを楽しむことができるようになったと感謝している。 学生たちには、実習の事前講習の際に、ゴルフの運動としての意義や役割を説明したうえで、ゴルファーのマナーやエチケットについて「わずか4日間の実習だけど、この4日間を真剣に取り組んだら、どこのゴルフ場に行っても恥ずかしい思いはしないよ」と話している。 彼らにはゴルフの楽しさとともに人に対しての配慮や気遣い、それらを実践することにより自分自身も成長していくということを、かつて私が先輩方に教えられたように少しでも伝えることができればと思っている。 (さらに…)※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年4月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

東洋大学は、明治20(1887)年に井上円了により「哲学館」として誕生。 哲学館は、明治36(1903)年に専門学校令により「私立哲学館大学」となり、井上円了の退隠後に財団法人となり、明治39(1906)年に「私立東洋大学」と改称された。 昭和24(1949)年に文学部から新たなスタートをきり、現在、文学部・経済学部・経営学部・法学部・社会学部・生命科学部・食環境科学部・ライフデザイン学部・理工学部・総合情報学部・国際学部・国際観光学部・情報連携学部の13学部と、大学院15研究科を擁する総合大学となった。 白山キャンパスに本部を置き、川越、朝霞、板倉、赤羽台の5キャンパスをもつに至る。

授業風景

本学のスポーツ健康科学実技Ⅰ・Ⅱは、基盤科目(キャリア・市民形成)に位置づけられ、Ⅰは1種目、Ⅱは2種目実施可能な選択科目(1単位)である。学生は卒業までにそれぞれ1度しか履修できない。 その他、留学生と日本人学生との交流を深めるための英語での実技科目も用意している。また講義科目(2単位)として健康科学と心理学を扱う授業を2種類用意している。 理工学部・総合情報学部の学生が学ぶ川越キャンパスには、授業用施設として多目的グラウンド・フットサルコート・テニスコート・体育館(トレーニング場含む)があり、また部活用施設として陸上競技場・硬式野球場・ラグビー場がある。 私が赴任した際には、2箇所の授業用グラウンドがあり、1箇所には鳥かごの打撃施設が7箇所設置されていたが緑地化に伴いその施設は撤去された。その代わりに現在の多目的グラウンド(写真1)は全面人工芝化となり、照明付きの施設(サッカー・アメフト・軟式野球用)となった。

学内コースラウンドでの様子

この施設では、ゴルフの実球等を利用できないことから、ゴルフの最も基本となるカップイン課題を主眼とするグラウンドゴルフを授業課題として採用している。 打撃練習では様々なターゲットに対する距離感を養い、実際のラウンドでは多くの障害物やハザードなどを設置した設定で8コースを用意し授業を展開している。 なお、近年ではアシックス社から様々なクラブやカラフルなディンプル付きボールやマーカーなどが発売されており学生の興味を引く道具を揃えるようにしている(写真3)。

先生の気持ち

本学のグラウンドゴルフ授業を担当する教員には、できるだけ実際のゴルフラウンドに応用できるルールとマナー、および技術特性を提供するように協力を依頼しています。 まず、各グループでの打撃練習およびコースラウンド前には必ず挨拶・自己紹介を行ってもらいます。 その後、短距離ターゲット(旗)に対してボールを止めるショット、長距離ターゲットに対するフルショット技術、ティーアップおよび地面上のボール状況によるショットの違いなどを指導していきます。 学生の打撃フォームは様々ですが、インパクトの重要性を説明し、教員や技術レベルが高い学生(ゴルフ部)のスイングを提示し(写真2)、その弾道(ボールの転がり)のイメージをしっかりと持つように説明します。 (さらに…)※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年3月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

日本大学は、1889年(明治22年)に創立された日本法律学校を前身とします。 欧米諸国の法律を学ぶことが主流の当時において、日本の法律を学ぶ学校として誕生した本学は、私学としての独自性を大いに発揮しました。 1903年(明治36年)には日本大学と改称し、1920年(大正9年)、大学令により大学となりました。平成31年に130周年を迎える本学は、教育理念「自主創造」を合言葉に、新時代を切り拓く人材の育成につとめています。 多彩なフィールドを備えた魅力のある真の総合大学として、教育・研究活動を始め、医療、生涯学習等、社会の発展に貢献すべくさまざまな活動を展開しています。学生数は全国第1位を誇り、約7万6千人が18学部で学んでいます。

授業風景

日大理工学部のゴルフ授業は、週1回の学期授業(15回)前期、後期と夏季集中(5日間)の2本立てで行っています。 学期授業では、他の7~8つのスポーツ種目と同時に開講し、その中からゴルフを選択した学生を対象としています。4人の先生が担当し、前期、後期で計16コマ、年間で延べ約300人の学生がゴルフ授業を履修します。 週1回の授業では、学内にあるゴルフ練習場(約20ヤード、20打席)を用いて行っています。雨天時には、体育館内でパター練習、DVDを使った理論講習などを行っています。練習場では、グリップの持ち方、アドレスの姿勢、テイクバックなど基本技術を身につけながら反復練習を行います。 ボールを打つことの難しさと楽しさを感じながら、ゴルフを生涯スポーツの一つとして選択してもらえるように授業を進めています。1人、1打席が確保されているので90分の授業内に100~150球程度を打つことができます。初心者はアイアンで真っ直ぐに飛ばせることを目標にして行っています。

学内のゴルフ練習場

夏季集中で行うゴルフ実習では、20~30名程が履修し、初日は学内練習場で行い、2・3日目は近隣の「明治ゴルフセンター」、4日目は「アコーディア・ガーデン志津」のショートコース、5日目は「東我孫子CC」にて本コースをラウンドします。 この3つの施設の多大な協力により実習が成立しています。学外施設を利用することで、初心者であっても本格的にゴルフに触れることができ、ルールに加え、マナーやエチケットについても学ぶ機会となっております。

先生の気持ち

ゴルフは止まっているボールを打つ非常にシンプルなスポーツで、一見簡単そうに見えますが、実際には思うようにいかないです。 その「思うようにいかない」という気持ちは、初心者も上級者も同じではないかと私は思っています。ゴールを何処に設定するのかによって、どのレベルでも楽しむことができるスポーツだと思いますが、初心者の学生は上達を焦ったり、途中で飽きてきたり、一旦諦めたりすることもあります。 コツさえ掴めば誰でも上手くなれると声を大にして(実際には優しく)伝えています。

東我孫子CCでのパター練習

理工学部に着任して3年目の私自身も初心者で、今の職場に来てゴルフに取組みはじめ試行錯誤しながら授業をしています。 PGAのゴルフ教本にはじまり,指導書やDVDを利用し、指導者向けの研修会に参加したり、教員の先輩方に指導を仰いだりしてきました。グリップ、アドレス・テイクバックの姿勢、スイングプレーン、フェイスの向きなどを一つ一つ学生に伝え、アドバイスをしています。 全員上達していきますがその進度には個人差があり、その個人差を生む要因は過去の運動経験、個々の筋力、柔軟性、イメージ力、理解力、自主練(?)であったりすると思います。 上達して思うようにボールを打てることが目標ですが、もっと大事なことはゴルフを好きになることだと思っています。 ではどうやったらゴルフが好きになるかと考えた時、上達することに加え、思ったようにいかなかった時、どうすれば思ったように身体を動かせるかを感じる力をつけることだと思います。研究者の私は考え過ぎる悪癖があります。 Don’t think. Feel! (考えるな!感じろ!)という名言をブルースリーは残していますが、目先にとらわれ過ぎず、遠くの目標を見てゴルフを通じて上達する過程を学んで欲しいと思っています。

先生の紹介

日本大学理工学部 准教授 難波秀行(なんば・ひでゆき) 1976年大阪府生まれ 府立茨木高等学校卒業 日本大学文理学部体育学科卒業 日本大学大学院理工学研究科修了 修士(工学) 筑波大学大学院人間総合科学研究科修了 博士(スポーツ医学) 2010年福岡大学スポーツ科学部  助教 2013年和洋女子大学健康栄養学類 助教 2016年日本大学理工学部     准教授 現在に至る 学生時代は陸上競技(混成競技)を行っていました。自分に持ち合わせていない運動技能を獲得する楽しさを知っていく一方、何が足りないのかという疑問から研究に足を踏み入れて、現在に至っています。 専門は運動生理学をベースに身体活動の測定法の開発、スポーツ栄養、体育授業研究を行っています。特に最近は自転車、野球、そしてゴルフなど道具を使うスポーツに関心が移り、身体を動かす中での新しい発見を大切にしています。 学生には身体を動かす楽しさを実感できるよう授業を展開し、生涯にわたりスポーツを身近な存在として感じられる生活を実践して欲しいと願いを込めて授業を行っています。 所属学会は、日本体力医学会(評議員)、日本運動疫学会(編集委員)、日本スポーツ栄養学会(評議員、編集委員)、日本体育学会、大学体育連合(研修部、編集委員)など。担当する実技授業は、ゴルフ、バスケットボール、バレーボール、ソフトボール、サッカー、スキーなど。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年2月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

甲南大学は、1951年に開学した。優れた人材を世に送ることを第一義として、その目的を達成するために「人格の修養と健康の増進を重んじ、個性を尊重し、各人の天賦の才能を引き出す」という教育理念を掲げている。 現在、大学の卒業生は、10万人を超え、3キャンパス:岡本・西宮・ポートアイランド、8学部:文学部・理工学部・経済学部・法学部・経営学部・知能情報学部・マネジメント創造学部・フロンティアサイエンス学部を擁する総合大学として、個性豊かで、特色ある教育研究の創出を目指し、社会の要請に応えるべく邁進している。 2019年4月には、甲南学園は創立100周年を迎える。

授業風景

本学では、全学必修科目である基礎体育学演習の後期の種目群、選択科目である生涯スポーツ、マネジメント創造学部のスポーツ科目にゴルフの授業を開設しています。 全体で30名の定員で募集し、2018年度は28名が参加、単位を修得しました。授業は、事前授業、そして六甲アイランド体育施設における実技を2日間、学外施設の練習場での実技を1日、そして有馬カントリークラブ(以下有馬CC)のご協力のもと3日間の合宿を行いました。 実技初日は、有馬CCインストラクターにスナッグゴルフをご指導いただき、後半はミニコースを作り、ラウンドを模擬体験しました。

スナッグゴルフに挑戦

昨年までは、バードゴルフによるラウンド模擬体験を行っていましたが、学生達のスイングづくり、ラウンド模擬体験には、とても有効だと思いました。2日目は、ゴルフ部練習場、同バンカー・パター練習場、バードゴルフの3ステーションをローテーションしました。 3日目は、学外施設の練習場を使用し、合宿に備えました。 合宿初日は、ドライビングレンジ・パター練習場・バンカーをローテーションした後、全員がショットし、一番良い状態にあるボールを選択、また全員がショットするという方法で数ホールラウンドしました。 2日目は、台風の影響でラウンドは中止、研修施設内でのスナッグゴルフ、iPadを用いた各自のスイングチェックに切り替えました。最終日は、天候も回復し、多くの学生が初めてのラウンドを堪能し、授業は無事に終了しました。

先生の気持ち

私のラウンド初体験は、打ったらクラブを数本持って走れ、素振りは何度もするな、グリーン上は走るな、人が打つときは動くな・喋るな等など、このような父親からの「注意事項」からのスタートでした。 そして、コースはというと練習場と同じような平らな場所からは殆ど打てない、狙いたい方向に大きな木があり、砂場もある、池もある、谷越えもしなくては…。正直ゴルフが全く面白くなかった記憶があります。 当然ですが、ドライバーなど打てるわけもなく、5Iと9Iとパターの3本を握りしめてのラウンドでした。多くのラウンド初心者がこのような場面から「ゴルフ」というスポーツをスタートさせたのではないでしょうか。 本学では30年以上前より、選択科目としてキャンパス近くの練習場を活用した週1回の実技が行われていました。 余談ですが、本学の体育会ゴルフ部の歴史は古く、そして輝かしいものがあり、「プロより強いアマチュア」として名前が知れ渡っていた故中部銀次郎氏の母校であることも考えると、当時からゴルフの授業が行われていたことは当然なのかもしれません。 そして私達は、初心者が安心して参加でき、楽しくラウンド体験もできる授業を模索してきました。

有馬CC・パター練習場

また前述のラウンド初体験の思い出も実はゴルフをしていく上で全て重要な意味があることも知りました。 ゴルフというスポーツは競技者自身が審判であり、ルールはもちろんのことマナーも守る自律が非常に重視される紳士淑女のスポーツであり、授業を通して学生達にしっかり伝えておきたい、とても大切なことだと今では心に刻んでいます。 昨年度より大学ゴルフ授業研究会、有馬CC様他関係の皆様の支援を受けて、より充実した授業内容を目指して取り組んでいます。そして今年度より宿泊を伴う合宿形式に変更、内容はさらに充実し、理想に近づいたのではと自負しています。

先生の紹介

甲南大学 スポーツ・健康科学教育研究センター 教授 桂豊(かつら・ゆたか) 1960年生まれ。神奈川県立厚木高等学校卒業。筑波大学体育専門学群卒業。筑波大学大学院体育研究科修士課程コーチ学専攻修了。 青山学院大学体育研究室助手を経て、甲南大学へ専任教員として着任。 日本サッカー協会公認A級ジェネラル。20年程課外活動の指導に関わり、関西学生サッカー連盟や全日本大学サッカー連盟の技術委員として学生選抜スタッフ等も歴任。 その後、兵庫県47FAインストラクターやKONANスポーツクラブ(女子サッカー&フットサル、O-35シニア)の指導、神戸市レディスサッカークリニック指導、神戸市女子中学生サッカー活動など、学生スポーツのみならず、指導者養成やサッカーの普及活動にも関わってきた。 現在は関西学生サッカー連盟副理事長、同連盟規律委員長、兵庫県サッカー協会47FAインストラクター、神戸市サッカー協会インストラクター、甲南大学体育会ゴルフ部顧問、同ハンドボール部顧問。大学教員を中心としたスキークラブ「神戸甲南インフィニティ」の代表。 基礎体育学演習(サッカー&フットサル、集中ゴルフ、集中スキー)、スポーツ科目、生涯スポーツ(フットサル、集中ゴルフ、集中スキー)、身体の健康科学、基礎スポーツ健康科学、スポーツ指導論演習などを担当。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年1月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

東京理科大学の起源である東京物理学講習所は、東京帝国大学(現・東京大学)を卒業した21人の青年理学士らにより、1881年(明治14年)に創立されました。 「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」を建学の精神に掲げ、今年で開学137年の歴史と伝統を有しております。本学は、神楽坂・葛飾・野田・長万部の4つのキャンパスに7学部31学科、11研究科31専攻を擁する私学随一の理工系総合大学です。 現在は、およそ2万人の学生が自然・人間・社会の調和を目指し、実力主義の校是の下、勉学に勤しんでいます。 夏目漱石の「坊ちゃん」が本学の卒業生であるとされ、本学のマスコットキャラクターは坊ちゃんをイメージしたものとなっています。

授業風景

本学における体育授業は、一般教養科目における「人間科学」分野の選択科目に位置付けられている。ゴルフ授業も「シーズンスポーツ・ゴルフコース」としてこの中に含まれているカリキュラムのひとつである。 カリキュラムにゴルフ授業を導入して30年が経つ。シーズンスポーツという名の通り、本学のゴルフ授業は、9月上旬に集中講義(3泊4日)形式で行われ、半期1単位が付与される。 開催場所は、何度か変更を重ねながら、現在は新潟県妙高市の妙高サンシャインくるみが丘ゴルフコースおよび妙高サンシャインホテルで実施をしている。 参加者は40名程度で、神楽坂・葛飾・野田の3つのキャンパスから学生が集まり、毎年各キャンパスで履修者の抽選が行われるほど人気のプログラムとなっている。

撮影した動画から連続写真を作成

授業は、本学の専任教員と共に、ゴルフ練習場のレッスンプロにも指導を依頼し、その協力体制の下、実施されている。具体的な活動としては、オートティーアップ(屋根付き)の打ちっぱなし、バンカーやアプローチ練習、パッティング練習などの基礎練習を実施したのち、9ホールのショートコースを実践する。 最終日には全員参加のコンペがあり、表彰式(景品あり)も行っている。 また、ビデオによる動画や連続写真の撮影を行い、夜のミーティングでスウィングチェックを実施している。さらに、今年からドローンを導入し、ラウンドマナーやゴルフ場の雰囲気を学習することに役立てている。

先生の気持ち

本学のゴルフ授業は、①初心者・初級者を中心としたゴルフ技術の向上、②ゴルフ文化の理解と実践、③社会性・コミュニケーション能力の向上、の3つを目標として掲げ、総合的な人間力の向上を目的として実施。これらは基本的には、他のスポーツ実技の授業の目的と大きな違いはないと考えている。 しかしながら、本学においてこのシーズンスポーツの特異的な役割は、他キャンパスの学生と文字通り“寝食を共にする”ことによる協働・共働にあると考えている。 さらに、ゴルフコースでは、基本的に4人でラウンドするというゴルフの特性もこのことを促進する因子である。 本学の学生は、非常にまじめに物事に取り組む姿勢を示すものが多いが、一方で異文化に接することや、思考や表現などの性質(例えば、趣味やファッションなど)の異なる存在を受け入れ、協調する能力が乏しいと感じることが多い。グローバル化する社会において、多様な言語・文化を享受し、コミュニケーションを円滑に図ることは社会で活躍する基礎的な能力となっている。 壮大な話になってしまうが、この能力を高めるためにゴルフ授業は効果的であると考えている。 実際に参加した学生からは、「他キャンパスの学生と仲良くなれてよかった」、「知らない人とでもゴルフを介して会話をすることができた」などの感想も寄せられ、ラウンドを楽しむとともに、(苦手な?)コミュニケーションも楽しむ姿が見受けられると実感している。

ショートコースラウンドの様子をドローンで撮影

また、現場に“審判がいない”というゴルフ競技の特性も非常に重要なポイントであると考えており、誠実に物事に取り組む姿勢を養うばかりでなく、ロストボールを一緒に探索したり、その後のルールの適応についてメンバーと話し合ったりする中で、豊かな社会性を築く効果があるのではないかと考えている。

先生の紹介

東京理科大学理工学部 准教授
柳田信也(やなぎた・しんや) 1978年生まれ。栃木県立大田原高等学校卒業後、埼玉大学教育学部、同教育学研究科修士課程を修了し、2008年に東京都立大学理学研究科博士課程を修了。 博士(理学)。2008年4月より国際学院埼玉短期大学専任講師、2009年より東京理科大学総合研究機構ナノ粒子健康科学研究センターにポストドクトラル研究員として着任。 その後、東京理科大学理工学部助教、講師を経て2018年より現職。2017年より、東京理科大学理工学研究科国際火災科学専攻准教授も併任。 専門とする研究分野は行動生理学・運動生理学であり、主に動物モデルを用いた自発運動時の脳内神経機構について研究を進めている。 また、最近では併任の国際火災科学専攻における研究として、消防隊員の熱中症予防や身体負荷の定量などの研究にも従事している。 実技の専門はソフトボールであり、日本オリンピック協会強化スタッフ、日本ソフトボール協会男子強化委員、男子ソフトボール活性化プロジェクト委員、全日本大学ソフトボール連盟常任理事、関東大学ソフトボール連盟副理事長などを務めている。 大学における授業では、「健康スポーツ」「スポーツ方法」「シーズンスポーツ」などの実技種目と、「健康スポーツ科学」「人間安全工学」などの講義を担当している。シーズンスポーツでは、ゴルフコースの実習責任者を務める。 ※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年12月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

東京工業大学は、1881年(明治14年)に東京職工学校として設立され、開国間もない明治初期に、産業技術の近代化を推進する人材の育成を行ってきたことに端を発しており、2011年(平成23年)には、創立130周年を迎えた国立の理系総合大学です。 大岡山、すずかけ台、田町の3つのキャンパスに学士課程約5,000人、大学院課程約5,000人の計約10,000人(留学生:約12%)の学生が学んでおり、教員約1,200人と職員約600人で構成されています。 2016年(平成28年)には、大規模な教育改革がスタートし、学修・修博一貫教育というキーワードで、博士課程の学生にもリベラルアーツ教育を必修とするなど、特徴のある教育体系を打ち出しています。

授業風景

大学ゴルフ授業研究会の世話人でもある「野澤むつこプロ」を非常勤講師としてお招きして、授業を実施した。 位置付けとしては、私が所属するリベラルアーツ研究教育院の広域教養(自由選択)科目であるウェルネス科目1単位分であり、学内でのガイダンスと講義に2コマ分を費やす以外は、全てゴルフ場とホテルでの3泊4日の集中講義で、「より本物の体験の提供」を意図して計画した。 それが実現できた背景には、野澤先生が普段ご指導されている千葉県市原市の「森永高滝カントリー倶楽部」(18ホール、PAR 72、ベントグリーン/距離:7094ヤード:OUT 3262Y、IN 3322Y)の丘陵タイプの雄大なコースと、併設されている充実したエキストラホール(9ホール、PAR 31、ベントグリーン/距離:1658ヤード)と練習場、および練習グリーンを存分に活用させていただけたことが非常に大きい。 参加者は、授業初年度ということもあり、TAも含めて8名(学部1年生〜修士2年生)とアットホームな人数に抑えたが、ベストスコア68を誇るゴルフ部の男子学生から、130〜140程度の初級者の女子、そして初心者の男子まで、幅広い対象を指導していただいた。 学生は、初日から天然芝でアプローチショットを心行くまで打ったり、広めのバンカーに全員が入って出すことや寄せの難しさを体験したり、2.3日目の午後はエキストラHでのコース体験をし、4日目には、18Hを全員で回るという密度の濃い授業を展開していただいた。

先生の気持ち

「生涯にわたってゴルフを楽しむための基礎的な知識・技能・態度について学び、実際にコースに出て実践経験を積むこと。」を目的の1番目に据え、私の研究費から「PGAジュニア基本ゴルフ教本」を全員にプレゼントして教材とし、「頭と身体と心を使うこと」を学生に推奨しながら授業を展開していった。 昨今、形式だけのアクティブラーニングの拡がりと誤解が問題となり、「ディープ・アクティブラーニング」と称して、他者との関わりや問題解決などを通して「自分自身と向き合うこと(内省)」を支援することの重要性が叫ばれつつあるが、この授業でもゴルフを通した学びと人間的成長を促すために、自分と向き合う学業支援ツールとして、PDCAサイクルとCBTのコラム表の知見を援用したオリジナルの用紙に、半日ごとに記録の記入を求めた。 学生は、ペアで相互にスマホでの動画撮影をしたり、フィードバックの記述をし合い、自分なりの改善点を探究した上で、最後に教員がアドバイスを書くという形式で「学びの場の共創」と「相互支援環境の構築」を大切にしている。 学生の学びの記述等は他に譲ることとするが、思い出深いシーンとしては、3日目の夜に自腹を切ってハーフのナイターゴルフに挑んで自己研鑽をしていた3人の男子、人生初のワンオンをとても喜んでくれた女子、本コースに出る4日目の朝に駐車場をジョギングして気合を入れていた男子、真っ黒というよりも真っ赤に日焼けしながら頑張ってくれた初心者の男子の顔などが鮮やかに蘇ってくる。 幸い来年も参加したいと既に希望してくれている学生もいるので、継続して実施できるよう、私も努力して行きたい。最後になりますが、用具のご提供をいただいた日本ゴルフ用品協会の皆様、熱心にかつユーモアも交えてご指導くださった野澤先生に深く感謝いたします。

先生の紹介

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院/環境・社会理工学院 助教 石川 国広(いしかわ・くにひろ) 1963年生まれ。茨城県立水戸第一高等学校卒業。筑波大学体育専門学群健康教育学(生理学)専攻卒業。筑波大学大学院修士課程体育研究科コーチ学(野外運動)専攻修了。体育学修士。保有資格は、中学・高校教員専修免許(保健体育)、産業カウンセラー、Project Adventure ファシリテーター、Attitudinal Healingファシリテーター、全日本スキー連盟準指導員、PADI オープンウォーター・ダイバーなど。 大学では、ウェルネス科目を主に担当し、講義科目は、メンタルヘルスやストレスマネジメント、認知行動療法などを中心とした学部生向けの「健康科学概論」など。 実習科目は、学内で「バドミントンでディープ・アクティブラーニングを」、学外集中で「スキーでメンタルヘルスを」「ゴルフでディープ・アクティブラーニングを」、「アドベンチャー・ベイスト・ロープスコースキャンプ」などを担当している。所属学会は、スポーツ精神医学会、野外教育学会、認知療法・認知行動療法(CBT)学会、うつ病学会、アメリカ体験教育学会など。特に、体験的学びを支援するツールの開発やカウンセリング心理学、CBT等を探究している。 今回の実習では、私が、まだスコアで100を切ったことがない初級者ということもあり、授業のコーディネートやファシリテーションを主に担当した。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年11月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

1923年に松山高等商業学校として開学。1944年に名称を松山経済専門学校と改め、1949年には県官民の協力を得て松山商科大学へと昇格。 その後、学びの環境を拡充すべく新たに学部や大学院研究科を開設し、1989年に松山大学へと改称した。 経済学部と経営学部、人文学部、法学部、薬学部の5学部からなり、収容定員は5440名。 「真実・実用・忠実」の校訓「三実」を教育理念に掲げ、実学を重視した教育を実践している。四国を中心に企業役員を多数輩出しており、経済界で活躍する卒業生が多い。 90年を超える伝統と実績から築かれた信頼をもとに、自治体や企業など地域社会と連携したプロジェクトを推進している。

授業風景

本学の教養科目は、共通教育科目、言語文化科目、健康文化科目に分かれており、ゴルフは、健康文化科目の自由選択科目になっている。 現在の科目開講数は前期3クラスである。受講生は全体で70名程度で、そのうち4年生の占める割合が高くなっている。 授業は、実技10週と講義5週で構成している。受講生は、授業中に掴んだ動きのコツや課題などを個人カードに毎週記録し、各自の授業振り返り資料を作成する。 授業前半の実技は、学内でショートアイアンの練習を行う。練習に飽きさせないよう、ゴルフゲージでのフルショットやグラウンドでの簡易ゲーム、テニスコートでのアプローチショットなど常時複数のセクションを準備し、場所と課題を変えながら授業を進めている。 授業後半の8~12週目には大学から2㎞ほど離れたゴルフ練習場を利用している。実技の最終授業は、ラウンドの模擬体験として、学内で8ホールのターゲットバードゴルフを実施している。 講義は、科学的側面と文化的側面からゴルフを考える内容となっている。中でも、受講生はスマートフォンを使った動作分析に強い関心を示すことから、自身のスイングを例に、身体とクラブ、ボールの動きの関係性について考える課題を与えている。 ルールやエチケットの講義では、トラブルショットが続いたり、ゲームに負けたりといった期待と現実に乖離が生じたときの心の準備や態度について考える時間を設けている。

先生の気持ち

本学のゴルフ授業は、25年ほど前まで夏季集中授業として開講され、練習場とコースを利用して実施していました。 自由選択科目になって以降、授業は学内で実施されることになり、ゴルフだけがそのスポーツ本来の形を実体験できなくなりました。 しかし、今年から愛媛県でもGちゃれを開催することになり、希望する学生はラウンドを体験できるようになりました。 ことの始まりは、愛媛県ゴルフ場支配人会からのゴルフ場体験プログラムの提案でした。関東でのGちゃれの取り組みが雑誌に紹介されていたので、共通認識のもと円滑に事を運ぶことができました。 また、ほぼ時を同じくして、日本ゴルフ用品協会からクラブセットを寄贈していただき、短期間で準備を整えることができました。各方面よりご支援をいただき心より感謝しています。 少しでも多くの学生がラウンドを経験したいと思えるような魅力ある授業を目指していきたいと思います。 「真実・実用・忠実」は松山大学の教育理念で、真理を探究してそれを生活の中に活かすこと、また自分の言行に対して責任をもつことを重視しています。 ゴルフ授業の場合は、ゴルフの実体験の中からのその価値を考える、つまり実用の中から真実を追究することになります。 また、レフェリーのいないゴルフではプレーにおいて正直であることや、運・不運をあるがままに受け入れてベストを尽くすことといった倫理性が求められ、これは忠実の教育理念に一部通ずるところがあります。 Gちゃれの開催によってゴルフ本来の形を実体験できるようになったことは、本学におけるゴルフ授業と教育理念との整合性を図る上でも意義のあることだと考えています。

先生の紹介

松山大学人文学部 准教授 林恭輔(はやし・きょうすけ) 1973年生まれ。名古屋市立桜台高等学校卒業。国士舘大学体育学部卒業。日本体育大学大学院体育科学研究科博士前期課程修了。 日本体育大学身体動作学研究室助手を経て、2007年に専任教員として松山大学へ着任。 所属学会は、日本体育学会、日本体力医学会、日本バイオメカニクス学会、日本運動疫学会など。体育・スポーツ分野以外に社会福祉士の資格を有する。 これまで松山大学では「ラケットスポーツ」「スポーツトレーニング」「身体運動学」「カヌー」等の科目を担当してきた。 昨年度、愛媛県で開催された全国障害者スポーツ大会のサポートボランティアを養成するために、県協力のもと「障がい者サポート論」を開講した。ここ数年は、地域アイデンティティをテーマに、県南部の奉納相撲や東部の地域スポーツクラブでフィールドワークを進めている。 来年度よりオムニバス形式で開講する「社会学応用特殊講義 愛媛地域学」のスポーツ分野を担当する。 ゴルフ授業の担当歴は9年。昨年度大学ゴルフ授業研究会に入会し、今年8月に愛媛県で課外ゴルフ場体験プログラム(Gちゃれ)を実施した。 周辺の大学とも協力して、このプログラムの充実を図っていきたいと考えている。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年10月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

1929年に帝国美術学校(校長:北 昤吉、現・武蔵野美術大学)が東京都武蔵野市吉祥寺に開学。 1935年、同盟休校事件により帝国美術学校は分裂、吉祥寺を去った者らにより多摩帝国美術学校(現・多摩美術大学)が設立された。 発祥の地である吉祥寺には、現在も本学通信教育課程が置かれている。メインキャンパスは東京都小平市鷹の台にあり、11学科と大学院が設置されている。 学生総数は8000名弱で美大としては国内最大規模である。2018年に東京・市ヶ谷の旧ソニービルを取得し、2019年にはアート&ビジネスを考究する学科と大学院が新設される。この他、六本木、パリなど、教育・研究の拠点を国内外に多数所有する。

授業風景

武蔵野美術大学における教養体育は「健康と身体運動文化」と称する科目群で構成されている。研究室は、専任教員3名、非常勤講師21名、特別講師5名、教務補助員3名で運営されている。 1単位の体育実技が年間108コマ、2単位の演習が8コマ、2単位の講義科目が10コマ開講されている。 このうちゴルフ授業は年間10コマ開講されている。演習として開講される2コマのみテニスコートを利用しているが、それ以外の8コマは人工芝の総合グラウンドで行っている。また、通信教育課程の夏期集中授業でもゴルフが開講されている。 筆者の授業ではPGAカレッジゴルフテキストを使用しているが、ゴルフの技術面のみならず、様々な側面からゴルフを考える内容を含めている。例えば、過去には下記の皆様を講師として招いた(順不同)。 ・梅宮研二氏(プーマジャパン) ・藤平 高氏(二木ゴルフ) ・永井延宏氏(ティーチングプロ) ・井上建夫氏(PGA日本プロゴルフ協会副会長) 上:梅宮氏、藤平氏、下:永井氏、井上氏 梅宮氏にはスポーツにおけるプロダクトデザインの重要性について、藤平氏にはゴルフグローブの選び方やゴルフの楽しみ方について、永井氏には用具や環境の特性に応じたゴルフの楽しみ方や上達法について、そして井上氏にはPGAのベーシックな指導理論について説いて頂いた。 (「美大生にこんなことを伝えてみたい」など、アイデアをお持ちの方、お知らせ下さい。)

先生の気持ち

大学体育は1949年の新制大学制度開始にあたり、GHQの強い要請により必修とされた。 当時の文部省が示した卒業要件の「120 単位および保健体育4単位」という記載からも読み取れるように、当初は「オマケ科目」として始まった。 その後も、日本学術会議(1961)、中央教育審議会(1971)、日本私立大学連盟(1981)などが、体育が必修科目であることへ反対意見を表明している。そして、1991年の大学設置基準改正(いわゆる大綱化)により、ついに体育は必修から外された。 大体連の安西祐一郎会長は、日本学術振興会理事長、中央教育審議会会長など歴任し、2015年には文化功労者として表彰されている。認知科学研究者としても著名な安西先生が、『いまこそ体育を必修に』(2017年6月19日付読売教育ネットワーク)という寄稿をしている。 この中で、大学体育の価値について、①体力向上、②コミュニケーション能力養成、③地域コミュニティ活性化への貢献、という3点を挙げている。特に、③については、大学ゴルフ授業やGちゃれの活動を例に論じている。 筆者も様々な場でこの可能性を述べたり書いたりしてきたし、実際に各地の大学において地元自治体や企業と連携した活動も行われている。 ゴルフ場体験「Gちゃれ」(於:八王子CC) 最近では国公立大学を中心に経営統合のニュースが相次いでいるし、今後数年で募集停止や統廃合する私立大学が激増するのは避けられないだろう。 人口減少や地方の衰退が現実味を帯びる中、地方創生に「大学ゴルフ授業」が貢献できるとすれば、「ゴルフの価値」「大学の価値」「地方の価値」のそれぞれを向上させる可能性も期待できる。 学生教育が第一であることは言うまでもないが、副次的・波及的な価値として、この“トリプルウィン”の実現を夢見ている。

先生の紹介

武蔵野美術大学 准教授 北徹朗(きた・てつろう) 1977年8月6日生まれ。岡山県立勝山高等学校卒業後、大学および大学院を修了し、2008年に昭和大学医学部において博士(医学)の学位を取得。その後、2010年4月に初めてパーマネントの職(帝京科学大学専任講師)を得た。2012年に武蔵野美術大学へ移籍。 現在所属する武蔵野美術大学では身体運動文化研究室の専任教員として、健康教育系の講義や演習、体育実技を担当している。 2014年からは大学院造形研究科博士後期課程の兼担教員となり「博士論文」と「造形芸術特論」の授業も担当している。 「アート&デザイン」に健康や身体運動あるいはスポーツマネジメントなどの観点を絡めた学術研究は未開の領域であり、博士の学位取得希望者を募集している。 また、2019年度に新設される「造形構想学部クリエイティブイノベーション学科」(市ヶ谷)所属の教員となることから、ゴルフを主体とするスポーツ産業に貢献できる教育・研究を発展させたいと意気込んでいる。 これまでに、玉川大学経営学部や事業構想大学院大学ではスポーツマネジメントやヘルスケアビジネス系の講義を担当し、電気通信大、国際基督教大、明治大、中央大、成蹊大、フェリス女学院大などでは体育実技を担当してきた。 現在、サイバー大学客員准教授、中央大学客員研究員なども務めている。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年9月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

帝京科学大学は、山梨県北都留郡上野原町(現上野原市)に1990年に開学しました。開学当時の名称は西東京科学大学で、理工学部のみの大学としてスタートしました。 1996年に大学名を帝京科学大学に変更し、大学院の設置や学科の再編などが進みました。 2007年には医療科学部リハビリテーション学科を設置し二学部の総合大学となり、翌2008年にはこども学部こども学科を設置し三学部体制となりました。 現在は東京都足立区の千住キャンパスと山梨県上野原市の東京西キャンパスを有する総合大学へと発展しました。大学のキャッチコピーは「いのちを学ぶキャンパス」。柔道部と陸上競技部を指定強化部としています。

授業風景

本学のゴルフ授業の歴史は古く、開学と同時に体育実技授業の種目のひとつとして始まりました。
ゴルフ用ネットでのスイング技術練習

ゴルフ用ネットでのスイング技術練習

「21世紀をリードしていく人材形成を目指す」という当時の教育目標に沿って、「生涯スポーツ」に最も適した種目のひとつとしてゴルフを取り入れました。 当初の授業方法は、ゴルフ以外のいくつかの種目を設定し、履修学生はグループごとに種目ローテーションを行い、全ての学生が一度はゴルフクラブを握ることになる方法です。 当時は体育実技授業が必修科目だったので、一学年約500名の学生全員がゴルフを体験したことになります。 現在は選択科目になってしまいましたが、それでもトータルで数千人の学生が大学の授業でゴルフを体験し、そのほとんどがゴルフ初心者でした。 教育目標である「生涯スポーツ」に沿うことが出来ていれば、日本のゴルフ場に多くの新米ゴルファーをデビューさせている。その一助になっていたら幸いです。 したがってゴルフ授業の内容も「ゴルフの楽しさを理解する」ことを重点として行っています。
ヘッドスピード測定器を使用しています

ヘッドスピード測定器を使用しています

ゴルフの一番の楽しさとは、広い場所で思いっきり遠くに飛ばすことでしょうが、残念ながら学内の授業では限られたスペースしかありません。ヘッドスピードを測る。ターゲットバードゴルフを行う。パターゴルフ競技会をするなど工夫をしてゴルフの楽しさを体験できるようにしています。

先生の気持ち

大学の授業は通常半期15回×90分で行われます。私のゴルフ授業では第一回目は教室で行います。なぜ大学の保健体育の授業にゴルフがあるのか。話はそこからスタートします。 「ゴルフが上手いだけの人間になってはいけない」「上手くなるのが目的なら授業ではなくゴルフスクールに行った方がよい」とはっきりと言います。 大学の教養科目としてゴルフを行うのですから授業の「目的」は「ゴルフを通して人間として成長する」これを板書します。続いてゴルフ授業の「目標」。1.「時間を守る」2.「忘れ物をしない」以上2点を板書します。これを示された学生は笑みを浮かべた安堵の表情になります。 しかし、「この15回の授業を通してこれが達成できるように努力しましょう」と言うと表情がキリッと引き締まります。将来どんな職業に就いたとしてもこの2点は重要です。 目標を持つことによって授業の目的を達成できることは学生も十分に理解してくれます。 2回目以降の実際の授業では、ただボールを打つのではなく、毎回「本日のテーマ」を決めて行うようにしています。さらに、一打席につき2人のペアを作り、互いにアドバイスしながら技術練習を行うようにしています。 このペアは毎回ランダムに変えて行います。このことによって、コミュニケーション能力の向上にも役立ちます。 ゴルフ以外の話でも禁止せずに他愛のない会話をしながらボールを打つことによって技術だけではなく人間的にも成長していきます。 14回目の授業ではビデオ学習を行います。内容はゴルフ場での一日、ルールとマナーについてです。このビデオを見ることによってゴルフは何よりもルールとマナーが大切であること。他人に不快な思いや迷惑をかけないこと、を理解してくれます。 ゴルフを通して人間として成長する。教養科目として行われる大学保健体育はゴルフのプロではなく教育のプロが行うものであることを常に心がけて授業を行っています。

先生の紹介

帝京科学大学 総合教育センター 保健体育科目准教授 小山慎一(こやま・しんいち)
小山慎一准教授

小山慎一准教授

1962年埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。埼玉県立草加高等学校卒業。日本体育大学体育学部体育学科卒業。中学生から陸上競技を始め、高等学校、大学、実業団の陸上競技部で跳躍種目を中心に選手として活動を行った。全日本、東日本、関東の各大会で優勝の経験がある。陸上競技選手引退後は、公立中学校、公立高等学校の指導を経て、帝京科学大学に1990年の開学と同時に着任した。 現在の授業担当科目は講義科目「健康と生活」。演習科目「健康運動学基礎演習」。実技科目「健康体育」および「健康スポーツ」。主に実技科目において選択種目としてゴルフ授業を行っている。また、2012年から中央大学商学部兼任講師として「健康・スポーツ」の授業において選択種目「ゴルフ」を担当している。ゴルフとの出会いは大学2年の実習で初体験。その後しばらくは機会が無かったが大学の授業でゴルフを扱うことになり、急遽練習場の会員となって猛練習を行った。 主な所属団体は「日本体育学会」「日本陸上競技連盟」「日本ゴルフ学会」「大学ゴルフ授業研究会」。帝京科学大学陸上競技部部長。※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。 掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年8月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

1912年に大学の前身となる安城裁縫女学校から始まり、1982年に安城学園大学から愛知学泉大学へと名称変更し誕生。短期大学も併設し、大学・短大開設当時は女子大学として「女性の社会的地位の向上を目指した教育」を展開。 1987年から男女共学、男性教育にも力を入れている。現在は、岡崎市に家政学部、豊田市に現代マネジメント学部があり、4大精神である「真心・努力・奉仕・感謝」「社会人基礎力」「pisa型学力」を教育力の柱としている。 特に、家政学部家政学科管理栄養士専攻では、高い管理栄養士国家試験合格率を誇る。一方で、2018年問題の影響を受け、現代マネジメント学部は2022年3月に学部閉鎖となる。

授業風景

現代マネジメント学科(豊田キャンパス)の3年次必修科目「現代マネジメント実習3(前期)・4(後期)」(各1単位)にて、ゴルフを教材として展開。 今年度の受講生は10名程です。初回、2回目の授業でゴルフマナーについての講義、「PGAカレッジゴルフテキスト」を用いて基本技術の講義を行い、3回目以降は、学内サッカーグラウンドにて、ウレタンやプラスティックの練習ボールを用いてショット練習をしています。 雨天時には、小体育館にてショット練習に加え、パッティング練習が中心となります。 実技実習では教員の介入を最小限にし、学生の自主性に任せ、活動から生じた問題や疑問について教員も含め学生同士で議論し、指摘や助言を行うようにしています。授業の6回目以降は数回、大学付近の「三美ケ丘ゴルフセンター(みよし市)」にて学外実習です。
実習:三美ケ丘ゴルフセンター(みよし市)

実習:三美ケ丘ゴルフセンター(みよし市)

この練習場では、平日17:00まで1打席「3時間打ち放題」で税込み1080円の特別価格にて受け入れていただいています。ここでは、練習場利用のマナーや同じ利用者への挨拶・配慮についても学ぶ機会となります。 また、バッティングセンターやカラオケ等の学生が利用する施設と比較して、料金に対する満足度を考えさせています。 学生が実習の成果を確認する場として、大学ゴルフ授業研究会主催の「Gちゃれ」を活用しています。学生の参加は任意とし、参加した学生には+αの評価を行うように配慮しています。

先生の気持ち

本学に限らず、学生の中には高校の体育授業で実施される球技に苦手意識を持つ者もいる。そのような学生には、自己のペースで、自己の記録と競うゴルフは、格好の教材となる。 もちろん他者と競い合うことも楽しい教材である。ゴルフは、年代を超えて楽しめ、就職後も会社内外の様々な年代の人と交流がもてる。ある会社の役員は、履歴書の趣味・特技の欄に「ゴルフ」と記載があると、選考の際にプラス評価になると言っておられた。 ゴルフは学生にとって健康の維持増進、人間関係の円滑化、就職に有利という良い側面を持つからこそ、大学で展開するべきと感じた。 本学でのゴルフ授業は、体育実技の中で数回実施される程度のため「現代マネジメント実習」において私が独自に展開した経緯がある。 ゴルフの導入には、全国大学体育連合、大学ゴルフ授業研究会からクラブの寄贈など多大な支援を頂けたことが大きな要因となっている。心から感謝したい。 豊田キャンパスの隣には、老舗名門クラブである「貞宝カントリークラブ」がある他、豊田市には、通称ゴルフロードと呼ばれる道があるほど、多くのゴルフ場が存在する。
学内サッカーグラウンドでのショット練習

学内サッカーグラウンドでのショット練習

また、ゴルフ練習場も多い。ゴルフ体験、ゴルフ教育、ゴルフを通じた地域活性化事業を行うには最適な環境にある。ゴルフを題材に地域と密着し、学生を巻き込んで、人々の健康増進、地域の活性化、および経済活性化に貢献できる取組みを豊田市から発信していきたい。 ゴルフを取り入れた「現代マネジメント実習」を、もっと魅力ある授業に成長させたいが、2022年の学部閉鎖や私の雇用体系が不安定なため、どこまで継続できるかわからない。 悩みの種である。挑戦的な攻めの姿勢でゴルフ授業の内容充実に取り組み、授業の価値と私自身の教員としての価値を高めたい。

先生の紹介

愛知学泉大学 現代マネジメント学部(現代マネジメント学科) 講師 高橋憲司(たかはし・けんじ) 愛知学泉大学 現代マネジメント学部(現代マネジメント学科) 講師 高橋憲司1978年生まれ、秋田県立大曲高等学校卒業。日本体育大学体育学部卒業。日体柔整専門学校卒業。東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。金沢大学大学院自然科学研究科博士後期課程修了・博士(学術)。保有資格は、中・高教員免許(保健体育)、上級障がい者スポーツ指導員、障がい者スポーツトレーナー、日本スポーツ協会アスレティックトレーナー。柔道整復師であり、柔道整復師を養成する教員免許も取得。スポーツメンタルトレーニング指導士でもある。アスリートを心身両面からサポート可能。 大学での担当科目は「レクリエーション論」「スポーツ社会学」「スポーツ経営学」「地域スポーツ論」等のいわゆるスポーツの文系科目。体育実技の担当はなく、担当科目「現代マネジメント実習」の中でゴルフを取り入れ、学生の社会人基礎力育成に取り組む。 専門種目はソフトテニス、コーチ(ソフトテニス)資格を保持、過去に日本ソフトテニス連盟全日本アンダー14男子チーム、アンダー17男子チームのトレーナーとして活動。 ゴルフは、学生時代に研究室の先生とラウンドして以来、2017年に約18年ぶりにラウンドした。学生に負けないように、ゴルフ練習場に通っている。今はゴルフ練習場と大学とがコラボした事業の立ち上げを目論んでいる。