※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年1月号(見本誌の申し込みはこちらから)
芝浦工業大学は、1927(昭和2)年、有元史郎先生が創設した東京高等工商学校を前身とします。設立当初より堅持しているのが実学重視の技術者育成教育であり、この建学の精神は現在にも引き継がれています。
「社会に学び社会に貢献する技術者の育成」を掲げ、世界に挑戦する理工系人材の育成を目指しています。工学部・システム理工学部・デザイン工学部に加え、2017年4月には建築学部が誕生し、4学部、3キャンパス(豊洲・田町・大宮)の大学となりました。
2027 年に迎える創立 100 周年に向け、私立理工系のトップランナーとしての社会的評価を得るべく、様々な取り組みを進めています。
本学のゴルフ授業は主に、学内で行うゴルフ(テクニカル)と3泊4日の集中で行うゴルフ(スポーツコミュニケーション)の2つに分けられています。昨年度までは学内の授業は、野球場の外野部分(土)を使っての授業が中心でしたが、今年度から全面人工芝の総合グラウンドが完成したため、広大な緑の上での授業ができるようになりました。
ゴルフ(テクニカル)は、14週の授業期間のうち講義などを除いた10週で行われています。履修者は殆どが初心者のため、グリップの握り方やスイングはもちろんですが、クラブの構造や材質などまで説明し、なるべく理系の学生が興味を引くよう工夫をしています。
授業の前半ではショートアイアンを使ったアプローチ練習が主ですが、後半では7番アイアンやドライバーなどを用いた授業展開としています。通常は、フライトボール(ライト製)を使っていますが、ゲージやパター練習場を使う際は、実際のボールを使い、リアリティが出るようにしています。
一方、集中授業であるゴルフ(スポーツコミュニケーション)は、宿泊施設のある那須小川ゴルフクラブ(栃木県)の協力を得て、コースラウンドを中心とした内容となっています。
授業には、現役のプロ選手やティーチングプロの先生にご協力頂き、技術面はもちろん、社会人になってからも正しくラウンドできるよう、ルール、エチケット、マナーなど幅広くご指導頂いています。
毎年、30名程度の学生が3泊4日の集中授業に参加します。夏季休業中の貴重な時間を使って参加する訳ですから、是非、ゴルフの楽しさ・奥深さを味わい、生涯続けることができるスポーツにして欲しいと思っています。
一方で、楽しくプレーするためには色々な配慮が必要であり、実践していくことが求められます。特に、芝浦工業大学の体育実技では、「スポーツマンシップ教育」を重視しています。その中に、“Good Sports(信頼される人)”、“Respect”、“Good loser”、“Fair play”、 “Challenge”などの言葉があります。ゴルフ(スポーツコミュニケーション)の授業では、主に4人でパーティーを組んでラウンドを行いますが、ルールについては各自のジャッジに寄るところが多くなります。
誰も見ていなくても、ボールの位置を打ちやすいところに動かしたり、スコアを誤魔化したりするなど、ルールに反する行為は厳禁であることを理解し、プレーをして欲しいと思います。また、ミスショットをしたときに投げやりになったり、ふて腐れるのではなく、すぐに気持ち切り替えて次のプレーに移れるような態度を取れることも大切です。
その他にも、グリーン上で他人のラインを踏まないなども含め、自分のプレーに固執し、他者への配慮がないようではいけません。パーティーの仲間から「また一緒に回りたい!」と思って貰えるようない振る舞い・態度を身につけることが授業の大きな目標となっています。
“ゴルフは人生そのもの”というフレーズを良く耳にしますが、ゴルフというスポーツを通じて、普段の学生生活では味わえない様々なことを学んで欲しいと願っています。我々教員も、充実した授業となるよう最大限のサポートをしたいと考えています。
芝浦工業大学工学部共通学群 体育・健康科目 准教授
石﨑 聡之(いしざき・さとし)
1973年栃木県生まれ。栃木県立真岡高等学校卒業。順天堂大学体育学部体育学科卒業。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士後期課程満期退学。小山工業高等専門学校一般科・講師を経て2010年4月より芝浦工業大学工学部・准教授着任。
共通学群体育・健康科目に所属し、講義・演習は「スポーツ健康学」、「ヘルスコンディショニング演習」、「ヘルスリテラシー&スポーツコミュニケーション」などを担当し、実技種目では、ゴルフ、ゴルフ(集中)、フットサル、テニス、スキー(集中)などを担当している。
専門種目はサッカー。現在、サッカー部の指導は行っていないが、埼玉県サッカー協会所属の47FAインストラクターとしてサッカーのCおよびD級コーチの指導者養成に携わっている。一方、研究の専門分野は運動生理学。以前はサプリメントの効果効能に関する研究を中心に行っていたが、近年では高齢者の健康増進に向けた運動教室の開催など地域貢献も絡めた研究に軸足をシフトしている。
また、工学部の専門学科教員と共同でサッカー選手の自動追跡システムの開発、パフォーマンス分析などに取り組み、現在幾つかのJクラブの分析を行っている。
所属学会は日本体育学会、日本体力医学会、European College of Sports Science、日本コーチング学会、日本フットボール学会(理事)など。