大学ゴルフ授業研究会

我が大学のゴルフ授業17 ~「総合力=学力×人間力」向上を目指したゴルフ授業~高畑 俊成(金沢工業大学)

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年5月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

金沢工業大学は、1965年開学の理・工系大学であり、「人間形成」、「技術革新」、「産学共同」を建学綱領としている。創立以来、工科系単科大学として歴史を刻んできたが、現在は4学部12学科、学年定員は1,480名となっている。

キャンパスは、野々市キャンパス(野々市市)、八束穂キャンパス(白山市)、東京虎ノ門キャンパス(社会人大学院)に加え、穴水湾自然学苑(石川県穴水町)、天池自然学苑(金沢市)、池ノ平セミナーハウス(新潟県妙高市)がある。

教育付加価値日本一の大学を目指し、「総合力=学力×人間力」を最大限に伸ばすことをねらいとするプロジェクトデザイン教育に力を入れている。

授業風景

金沢は冬季の天候が悪いことから、ゴルフは1年次後学期の前半(9月下旬から11月下旬)で完結するいわゆる8週科目として開講しています。現在、ゴルフの授業は最大受講者数を48名に設定して4クラス開講(月・火・木・金)しており、1クラス平均で30名前後が受講しています。

ゴルフの授業は、野々市キャンパスからバスで約25分の所にある天池自然学苑内に設けられた専用練習場で行っています。練習場は傾斜を利用して3段の打席に分かれており、上段打席から約50ヤード地点と下段打席から約120ヤード地点の2ヶ所にグリーンが設置され、120ヤードのグリーン手前にはガードバンカーもあります。

受講生は、成果発表(成績評価項目の1つ)として、上述3地点へのショットと、パッティングの成果テストを自己採点方式で実施します(10点満点×4項目)。さらに、スマートフォンのビデオ機能や無料アプリを利用して自身のスイング分析を行い、よく生ずるミスショットの原因とその改善方法に関するレポート提出も課されています。

受講終盤には、実践編としてターゲットバードゴルフによるラウンド実践を経験します。ラウンド実践に際してはラウンドに必要最低限の知識(エチケット・マナー・ルール)の講義を受けてから12ホールのターゲットバードゴルフコースをラウンドしてゴルフの楽しさの一端を経験しています。

先生の気持ち

本学におけるゴルフ授業の歴史は長く、1977年に天池自然学苑(以下、天池G)ができる以前から野々市キャンパスで開講していましたが、天池Gが開設されてからは、晴天時は天池Gで、雨天時は野々市キャンパスにある体育館や、講義室を利用して授業を行ってきました。

残念ながら、本学の教育改革に伴い8週科目としたことでゴルフへの取り組み時間が従来に比して半減し、技能の伸びはあまり期待できなくなってしまいました。

ターゲットバードゴルフコースラウンド風景

ターゲットバードゴルフコースラウンド風景

しかしながら、ゴルフを経験したことのない大学生にとって生涯スポーツとしてのゴルフへの導入機会としてとらえ、ターゲットバードゴルフですが、ラウンド実践によりゲームとしてのゴルフの楽しさを伝えることをゴールの1つとして設定しています。

と同時に、エチケット・マナー、安全、ルールを守ること、あるいはパートナーとのコミュニケーションを大切にすることといった人間力向上に関わる経験をすることで、本学が掲げる「総合力=学力×人間力」を最大限に伸ばすことの具現化へ向けた授業設計としています。

このため、「ゴルフでルールを守ることと、日常生活との関わり」というテーマでのレポート作成も課しています。

専用練習場での授業風景

専用練習場での授業風景

さらに、サッカー界で取り組んでいる「RESPECT PROJECT」の一端を授業に取り入れることをねらいとして、学生代表に「RESPECT 宣言」を読んでもらってから、挨拶をして授業を始めています。

これは、他者に対する気持ちはもちろん、用具を含めて全ての事柄を大切に思う心を持とうというサッカー界の取り組みです。学生たちが授業時のみならず日常生活においてもRESPECTを実践してくれることを期待して取り組んでいます。

先生の紹介

金沢工業大学 基礎教育部修学基礎教育課程 教授
高畑 俊成(たかはた・としなり)

高畑 俊成

高畑 俊成

1956年生まれ。富山県立新湊高等学校卒業。金沢大学教育学部卒業。同大学教育専攻科修了。運動中の体温調節に関する研究で1993年博士(医学)。

2018年大学体育教育賞受賞。

基礎教育部修学基礎教育課程生涯スポーツ科目担当教員として、「ゴルフ」、「フットサル」、「バドミントン」、「トレーニング」、「健康・体力づくり」に加え、集中講義科目である、「スキー」、「白山登山」、「100km歩行」を担当。この他に、初年次教育の通年科目として開講されている「修学基礎A」・「同B」も担当している。

専門種目はサッカー。インカレには北信越代表として4年連続出場。1980年の助手着任と同時にサッカー部監督に就任し、現在も継続中。日本サッカー協会公認B級コーチ、同キッズリーダーインストラクター、同スポーツマネージャーカテゴリー3などの資格を保有。

1998年4月から2011年3月まで石川県サッカー協会専務理事。2012年からはJリーグマッチコミッショナーを担当しており、スタジアムの芝生管理者の方々から芝生の維持管理について話を聞く機会も多い。

ゴルフは助手時代から始め、ラウンドベストは78、ハーフベストは36であるが、最近は飛距離が落ちてスコアメイクできないことが悩みの種。