大学ゴルフ授業研究会

我が大学のゴルフ授業18 ~ゴルフの魅力を学び、ビジネスや環境問題について考える~小林勝法(文教大学)

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年6月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

1966年に立正女子大学として埼玉県越谷市に開学し、1976年(昭和51年)に名称を文教大学に改め、翌年に男女共学にした。1985年には神奈川県茅ヶ崎市に湘南キャンパスを設けた。

2021年には東京都足立区に新たなキャンパスを開設する予定。教育学部と人間科学部、文学部、情報学部、国際学部、健康栄養学部、経営学部の6学部で、収容定員数は7,600人。

人間愛を建学の精神とし、「人間を信頼し全ての人に対して温かい愛情を持つ人材を育てること」を実践している。小学校と中学校の教員採用者数がどちらも私立大学で全国1位を誇る教育学部のほか、どの学部でも教員養成をしており、教職に就いている卒業生が多い。

授業風景

国際観光学科の専門科目「レジャースポーツ演習」(3年次、2単位)でゴルフを教材とし、ビジネスや環境問題などに関する講義を30分、実技を60分の割合で授業を行っている。ケーススタディと実習課題にも取り組ませており、ケーススタディでは、ゴルフ・ツーリズムや外国人観光客誘致の取り組み、中韓台のゴルフ事情、ゴルフ場の環境対策などに関する事例を調査させている。留学生の母国事情を調査したレポートでは興味深いものも多い。

実習課題では、ゴルフ練習場やシミュレーション・ゴルフ、ゴルフコース(ショートコースでも可)での体験をビジネスの観点から報告させているが、レポート文面からは初体験の緊張や興奮が伝わってくる。親に連れて行ってもらう学生もおり、継続するきっかけになることを期待している。ゴルフダイジェスト社の大学ゴルフ授業WORKBOOKには、ゴルマジ!と楽ゴル、ダンロップゴルフの広告が掲載されているので、補足説明して、近隣にあれば行くように伝えている。

実技は施設の関係上、体育館内で行っているが、ショットやパットの練習のほか、ターゲットバードゴルフのラウンドを行い、ゲームの楽しさも体験させ、ルールとマナーも覚えさせている。受講生は、ゴルフ市場の規模の大きさや、リゾート地にゴルフ場がある理由を体験とともに理解し、その現状と課題についても考えるようになったようである。

先生の気持ち

本授業は3年次の選択科目なので受講者も多くなく、昨年度は20人弱であった。以前は自作の配付資料だけを使って授業をしていたが、昨年度からはゴルフダイジェスト社のワークブックも加わり、授業内容が充実した。

危機管理やゴルフ場デビューの案内など写真やイラストも綺麗なので、学生の関心を引きつけやすい。グローブとセットで800円と格安なので、学生も迷うことなく、全員が購入した。

ゴルマジ!と楽ゴルなどの広告が掲載されているのも有り難い。グローブにはGちゃれのロゴマークが付いていて、学生は毎回目にして馴染んでいるので、Gちゃれの参加募集をするときに説明しやすかった。

昨年度は、全国大学体育連合とゴルフ市場活性化委員会の連携の一環として、日本ゴルフ用品協会からゴルフクラブ60本を寄贈していただいた。そのお陰で、20年来のアイアンを一新させ、これまで十分に保有していなかったドライバーとフェアウェイウッドを使った授業も行えた。

これらのクラブに負けないように、日本プロゴルフ協会の協力による実技研修会にも参加して、指導力を向上させたいと考えている。『PGAカレッジゴルフテキスト』や指導マニュアルも参考にしている。

このようなゴルフ業界による支援に対して心より感謝している。これからも大学ゴルフ授業研究会の研究活動や研修会に参加して研鑽に努めたい。

本学の湘南キャンパスでは施設の関係上、少人数で屋内で行っているだけだが、2021年に開設する東京あだちキャンパスでは、人工芝のグランドを使い、できればショットケージを作って、実技科目として複数コマ開講したいと計画している。

Gちゃれやゴルマジ!、楽ゴルの体験者も増やしたい。そして、廃部となっているゴルフ部を復活させたいと願っている。

先生の紹介

文教大学国際学部 教授
小林勝法
(こばやし・かつのり)

小林勝法

小林勝法

1958年生まれ。神奈川県立川和高等学校卒業。国際基督教大学教養学部卒業。筑波大学大学院修士課程体育研究科修了。1990年より文教大学に勤務。日本体育学会理事、大学教育学会常任理事を歴任。現在、(公社)全国大学体育連合専務理事、スポーツ安全協会評議員、JSCスポーツキャリアサポートコンソーシアム運営委員など。

担当科目は、「スポーツ健康演習」、「スポーツ科学」、「スポーツビジネス論」、「レジャースポーツ演習」など。担当実技は、テニスやバドミントン、レクリエーションスポーツなどで、以前は、合気道や居合道、太極拳も担当した。

上海体育学院では客座研究員として、人間の潜在能力開発について研究をし、研修も受けた。スポーツや武道による能力開発や教育に取り組んでいる。大学ゴルフ授業研究会ではカリキュラム開発を担当している。

スポーツ産業史について、スキーやサーフィン、阿波踊りの普及と発展過程においてスポーツ用品産業や観光業がどのように寄与したのかについて研究した。

大学体育については、教員の資質能力向上やキャリア開発について研究を進めている。近年は大学スポーツの国内外の現状について調査しており、スポーツ庁の大学スポーツ振興に関する検討会などの委員も務めている。