※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年7月号(見本誌の申し込みはこちらから)
創立以来、受け継がれる玉川大学の教育理念「全人教育」。それは、未来のリーダーシップを担い、さまざまな問題解決に積極的に挑むことのできる人材を育成する実践教育であり、知識を生きた力とするために必要な人格を形成する人間教育です。
また、緑豊かな61万㎡の広大なキャンパス(東京ドームのグラウンド40面以上)には充実した教育施設・設備が点在し、最先端のアカデミックな環境には約7500名の学生が充実した学生生活を過ごしています。
幼稚部から大学院までがこのキャンパスにあり、大学は、8学部17学科がワンキャンパスに集結しており、学部を超えた交流も盛んです。
玉川大学は1年次必修科目として「健康教育」が1単位あり、健康やスポーツに関する理論と実技を学ぶことになっています。ゴルフは全学選択科目であるUS科目の中に「生涯スポーツ演習(ゴルフ)」として実施されています。
今年度は春学期、週2コマ(1コマ:100分×15時間)を実施しており、定員は20名。毎年人気で、コンピュータによる抽選となり、優先順位の高い4年生のみの授業となることもしばしばです。(実際、今年度は全員4年生)
本学には学内にゴルフ練習場約60m(10打席)があり、自動球回収洗浄器付の全国的に見ても恵まれた施設を有していたため、この連載にもお声がけ頂いたのではないかと思います。しかし、今年3月の大雨で打球方向の斜面が崩落し、危険であるとの判断により、新年度の授業をどこで展開するか。新学期が始まるまでに時間が迫る中、議論を重ねてきました。
それは、使用しているのが大学の授業だけでなく、併設校の高校2年・3年生の体育授業、ゴルフ部(高校・大学)、そして今年度からスタートする小学生の学童プログラムと多彩な面々だからです。
結局、大学当局と話し合いの結果、写真1の10打席の鳥かごを急遽設置してもらうことになりましたが、完成は5月末。2ヶ月は写真2のようなグラウンドにてプラスチックボールを中心とした打撃練習。
ターゲットバードゴルフやスナッグゴルフなどのニュースポーツを並行して実施しました。
6月になり、はじめてゴルフボールをフルショットで打てることになりました。これまでプラスチックボール、ターゲットバードゴルフ用のボール、スナッグゴルフ用のボールしかフルショットしたことがない初心者の学生にはその打球感が新鮮だったようです。
特にスウィートスポットを外したときの手に伝わる衝撃は、ゴルフグローブを忘れた学生には…。
現役ゴルフ部員から初心者までを指導するのは難しいですが、上級者には初心者を指導することを課題にしています。また、初回に好きなプロゴルファー(好きなスウィングする)をYouTubeで見つけてくるように指示し、それを見本に自分のスウィングをスマートフォンで撮影した際の比較対象にするようにしています。リズムやアドレスなど15回で様になってくる学生が多いですね。
普段話をしない様々な学部からの受講者がゴルフの授業を通じて仲良くなり、ショートコースやゴルフ場でプレイしてきたという報告を聞くのが毎年の楽しみです。
玉川大学教育学部教育学科 主任(教授)
川崎登志喜
(かわさき・としき)
1962年鹿児島県生まれ。筑波大学体育専門学群卒業。筑波大学大学院修士課程体育研究科修了。
1990年より玉川大学に勤務。現在、玉川大学教育学部教育学科主任(教授)。体育会陸上競技部部長。女子駅伝チームの強化が課題であるが、専門種目はやり投げ。人生「投げやり」が自己紹介の定番である。
担当科目は「体育経営管理」「体育社会学」「体育実技(陸上)」「生涯スポーツ演習(ゴルフ)」など。
大学卒業後ゴルフを始め、一番ゴルフをしたのは42歳、アメリカ・オレゴン大学への1年間在外研究中。プロのトーナメント4日間のラウンドを味わおうと挑戦し、その大変さを知る。最近は年間数ラウンドである。
所属学会は日本体育学会、日本体育・スポーツ経営学会(監事)、日本ゴルフ学会関東支部理事など。東京都町田市スポーツ推進審議会会長。近著に「教養としての健康・スポーツ」(玉川大学出版部)がある。
「大学一般体育におけるゴルフの授業に関する研究」(1992)「ICTを利用した体育実技(陸上・走幅跳)の実践研究―スマートフォンのカメラ機能を活用した記録の向上―」(2017)「学童野球の投球制限に関する研究―イニング毎の投球速度の視点から―」(2012)など研究論文を発表。スポーツ全般に興味がある。