大学ゴルフ授業研究会

我が大学のゴルフ授業20 ~ゴルフを通じた学生の社会人基礎力養成と地域連携~高橋憲司(愛知学泉大学)

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年8月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

1912年に大学の前身となる安城裁縫女学校から始まり、1982年に安城学園大学から愛知学泉大学へと名称変更し誕生。短期大学も併設し、大学・短大開設当時は女子大学として「女性の社会的地位の向上を目指した教育」を展開。

1987年から男女共学、男性教育にも力を入れている。現在は、岡崎市に家政学部、豊田市に現代マネジメント学部があり、4大精神である「真心・努力・奉仕・感謝」「社会人基礎力」「pisa型学力」を教育力の柱としている。

特に、家政学部家政学科管理栄養士専攻では、高い管理栄養士国家試験合格率を誇る。一方で、2018年問題の影響を受け、現代マネジメント学部は2022年3月に学部閉鎖となる。

授業風景

現代マネジメント学科(豊田キャンパス)の3年次必修科目「現代マネジメント実習3(前期)・4(後期)」(各1単位)にて、ゴルフを教材として展開。

今年度の受講生は10名程です。初回、2回目の授業でゴルフマナーについての講義、「PGAカレッジゴルフテキスト」を用いて基本技術の講義を行い、3回目以降は、学内サッカーグラウンドにて、ウレタンやプラスティックの練習ボールを用いてショット練習をしています。

雨天時には、小体育館にてショット練習に加え、パッティング練習が中心となります。

実技実習では教員の介入を最小限にし、学生の自主性に任せ、活動から生じた問題や疑問について教員も含め学生同士で議論し、指摘や助言を行うようにしています。授業の6回目以降は数回、大学付近の「三美ケ丘ゴルフセンター(みよし市)」にて学外実習です。

実習:三美ケ丘ゴルフセンター(みよし市)

実習:三美ケ丘ゴルフセンター(みよし市)

この練習場では、平日17:00まで1打席「3時間打ち放題」で税込み1080円の特別価格にて受け入れていただいています。ここでは、練習場利用のマナーや同じ利用者への挨拶・配慮についても学ぶ機会となります。

また、バッティングセンターやカラオケ等の学生が利用する施設と比較して、料金に対する満足度を考えさせています。

学生が実習の成果を確認する場として、大学ゴルフ授業研究会主催の「Gちゃれ」を活用しています。学生の参加は任意とし、参加した学生には+αの評価を行うように配慮しています。

先生の気持ち

本学に限らず、学生の中には高校の体育授業で実施される球技に苦手意識を持つ者もいる。そのような学生には、自己のペースで、自己の記録と競うゴルフは、格好の教材となる。

もちろん他者と競い合うことも楽しい教材である。ゴルフは、年代を超えて楽しめ、就職後も会社内外の様々な年代の人と交流がもてる。ある会社の役員は、履歴書の趣味・特技の欄に「ゴルフ」と記載があると、選考の際にプラス評価になると言っておられた。

ゴルフは学生にとって健康の維持増進、人間関係の円滑化、就職に有利という良い側面を持つからこそ、大学で展開するべきと感じた。

本学でのゴルフ授業は、体育実技の中で数回実施される程度のため「現代マネジメント実習」において私が独自に展開した経緯がある。

ゴルフの導入には、全国大学体育連合、大学ゴルフ授業研究会からクラブの寄贈など多大な支援を頂けたことが大きな要因となっている。心から感謝したい。

豊田キャンパスの隣には、老舗名門クラブである「貞宝カントリークラブ」がある他、豊田市には、通称ゴルフロードと呼ばれる道があるほど、多くのゴルフ場が存在する。

学内サッカーグラウンドでのショット練習

学内サッカーグラウンドでのショット練習

また、ゴルフ練習場も多い。ゴルフ体験、ゴルフ教育、ゴルフを通じた地域活性化事業を行うには最適な環境にある。ゴルフを題材に地域と密着し、学生を巻き込んで、人々の健康増進、地域の活性化、および経済活性化に貢献できる取組みを豊田市から発信していきたい。

ゴルフを取り入れた「現代マネジメント実習」を、もっと魅力ある授業に成長させたいが、2022年の学部閉鎖や私の雇用体系が不安定なため、どこまで継続できるかわからない。

悩みの種である。挑戦的な攻めの姿勢でゴルフ授業の内容充実に取り組み、授業の価値と私自身の教員としての価値を高めたい。

先生の紹介

愛知学泉大学 現代マネジメント学部(現代マネジメント学科) 講師
高橋憲司(たかはし・けんじ)

愛知学泉大学 現代マネジメント学部(現代マネジメント学科) 講師 高橋憲司1978年生まれ、秋田県立大曲高等学校卒業。日本体育大学体育学部卒業。日体柔整専門学校卒業。東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。金沢大学大学院自然科学研究科博士後期課程修了・博士(学術)。保有資格は、中・高教員免許(保健体育)、上級障がい者スポーツ指導員、障がい者スポーツトレーナー、日本スポーツ協会アスレティックトレーナー。柔道整復師であり、柔道整復師を養成する教員免許も取得。スポーツメンタルトレーニング指導士でもある。アスリートを心身両面からサポート可能。

大学での担当科目は「レクリエーション論」「スポーツ社会学」「スポーツ経営学」「地域スポーツ論」等のいわゆるスポーツの文系科目。体育実技の担当はなく、担当科目「現代マネジメント実習」の中でゴルフを取り入れ、学生の社会人基礎力育成に取り組む。
専門種目はソフトテニス、コーチ(ソフトテニス)資格を保持、過去に日本ソフトテニス連盟全日本アンダー14男子チーム、アンダー17男子チームのトレーナーとして活動。

ゴルフは、学生時代に研究室の先生とラウンドして以来、2017年に約18年ぶりにラウンドした。学生に負けないように、ゴルフ練習場に通っている。今はゴルフ練習場と大学とがコラボした事業の立ち上げを目論んでいる。