大学ゴルフ授業研究会

我が大学のゴルフ授業23 ~「実用・真実・忠実」を実践するゴルフ授業を目指して~林恭輔(松山大学)

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 2018年11月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

1923年に松山高等商業学校として開学。1944年に名称を松山経済専門学校と改め、1949年には県官民の協力を得て松山商科大学へと昇格。

その後、学びの環境を拡充すべく新たに学部や大学院研究科を開設し、1989年に松山大学へと改称した。

経済学部と経営学部、人文学部、法学部、薬学部の5学部からなり、収容定員は5440名。

「真実・実用・忠実」の校訓「三実」を教育理念に掲げ、実学を重視した教育を実践している。四国を中心に企業役員を多数輩出しており、経済界で活躍する卒業生が多い。

90年を超える伝統と実績から築かれた信頼をもとに、自治体や企業など地域社会と連携したプロジェクトを推進している。

授業風景

本学の教養科目は、共通教育科目、言語文化科目、健康文化科目に分かれており、ゴルフは、健康文化科目の自由選択科目になっている。

現在の科目開講数は前期3クラスである。受講生は全体で70名程度で、そのうち4年生の占める割合が高くなっている。

授業は、実技10週と講義5週で構成している。受講生は、授業中に掴んだ動きのコツや課題などを個人カードに毎週記録し、各自の授業振り返り資料を作成する。

授業前半の実技は、学内でショートアイアンの練習を行う。練習に飽きさせないよう、ゴルフゲージでのフルショットやグラウンドでの簡易ゲーム、テニスコートでのアプローチショットなど常時複数のセクションを準備し、場所と課題を変えながら授業を進めている。

授業後半の8~12週目には大学から2㎞ほど離れたゴルフ練習場を利用している。実技の最終授業は、ラウンドの模擬体験として、学内で8ホールのターゲットバードゴルフを実施している。

講義は、科学的側面と文化的側面からゴルフを考える内容となっている。中でも、受講生はスマートフォンを使った動作分析に強い関心を示すことから、自身のスイングを例に、身体とクラブ、ボールの動きの関係性について考える課題を与えている。

ルールやエチケットの講義では、トラブルショットが続いたり、ゲームに負けたりといった期待と現実に乖離が生じたときの心の準備や態度について考える時間を設けている。

先生の気持ち

本学のゴルフ授業は、25年ほど前まで夏季集中授業として開講され、練習場とコースを利用して実施していました。

自由選択科目になって以降、授業は学内で実施されることになり、ゴルフだけがそのスポーツ本来の形を実体験できなくなりました。

しかし、今年から愛媛県でもGちゃれを開催することになり、希望する学生はラウンドを体験できるようになりました。

ことの始まりは、愛媛県ゴルフ場支配人会からのゴルフ場体験プログラムの提案でした。関東でのGちゃれの取り組みが雑誌に紹介されていたので、共通認識のもと円滑に事を運ぶことができました。

また、ほぼ時を同じくして、日本ゴルフ用品協会からクラブセットを寄贈していただき、短期間で準備を整えることができました。各方面よりご支援をいただき心より感謝しています。

少しでも多くの学生がラウンドを経験したいと思えるような魅力ある授業を目指していきたいと思います。

「真実・実用・忠実」は松山大学の教育理念で、真理を探究してそれを生活の中に活かすこと、また自分の言行に対して責任をもつことを重視しています。

ゴルフ授業の場合は、ゴルフの実体験の中からのその価値を考える、つまり実用の中から真実を追究することになります。

また、レフェリーのいないゴルフではプレーにおいて正直であることや、運・不運をあるがままに受け入れてベストを尽くすことといった倫理性が求められ、これは忠実の教育理念に一部通ずるところがあります。
Gちゃれの開催によってゴルフ本来の形を実体験できるようになったことは、本学におけるゴルフ授業と教育理念との整合性を図る上でも意義のあることだと考えています。

先生の紹介

松山大学人文学部

准教授 林恭輔(はやし・きょうすけ)

1973年生まれ。名古屋市立桜台高等学校卒業。国士舘大学体育学部卒業。日本体育大学大学院体育科学研究科博士前期課程修了。

日本体育大学身体動作学研究室助手を経て、2007年に専任教員として松山大学へ着任。

所属学会は、日本体育学会、日本体力医学会、日本バイオメカニクス学会、日本運動疫学会など。体育・スポーツ分野以外に社会福祉士の資格を有する。

これまで松山大学では「ラケットスポーツ」「スポーツトレーニング」「身体運動学」「カヌー」等の科目を担当してきた。

昨年度、愛媛県で開催された全国障害者スポーツ大会のサポートボランティアを養成するために、県協力のもと「障がい者サポート論」を開講した。ここ数年は、地域アイデンティティをテーマに、県南部の奉納相撲や東部の地域スポーツクラブでフィールドワークを進めている。

来年度よりオムニバス形式で開講する「社会学応用特殊講義 愛媛地域学」のスポーツ分野を担当する。

ゴルフ授業の担当歴は9年。昨年度大学ゴルフ授業研究会に入会し、今年8月に愛媛県で課外ゴルフ場体験プログラム(Gちゃれ)を実施した。

周辺の大学とも協力して、このプログラムの充実を図っていきたいと考えている。