※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年2月号(見本誌の申し込みはこちらから)
甲南大学は、1951年に開学した。優れた人材を世に送ることを第一義として、その目的を達成するために「人格の修養と健康の増進を重んじ、個性を尊重し、各人の天賦の才能を引き出す」という教育理念を掲げている。
現在、大学の卒業生は、10万人を超え、3キャンパス:岡本・西宮・ポートアイランド、8学部:文学部・理工学部・経済学部・法学部・経営学部・知能情報学部・マネジメント創造学部・フロンティアサイエンス学部を擁する総合大学として、個性豊かで、特色ある教育研究の創出を目指し、社会の要請に応えるべく邁進している。
2019年4月には、甲南学園は創立100周年を迎える。
本学では、全学必修科目である基礎体育学演習の後期の種目群、選択科目である生涯スポーツ、マネジメント創造学部のスポーツ科目にゴルフの授業を開設しています。
全体で30名の定員で募集し、2018年度は28名が参加、単位を修得しました。授業は、事前授業、そして六甲アイランド体育施設における実技を2日間、学外施設の練習場での実技を1日、そして有馬カントリークラブ(以下有馬CC)のご協力のもと3日間の合宿を行いました。
実技初日は、有馬CCインストラクターにスナッグゴルフをご指導いただき、後半はミニコースを作り、ラウンドを模擬体験しました。
昨年までは、バードゴルフによるラウンド模擬体験を行っていましたが、学生達のスイングづくり、ラウンド模擬体験には、とても有効だと思いました。2日目は、ゴルフ部練習場、同バンカー・パター練習場、バードゴルフの3ステーションをローテーションしました。
3日目は、学外施設の練習場を使用し、合宿に備えました。
合宿初日は、ドライビングレンジ・パター練習場・バンカーをローテーションした後、全員がショットし、一番良い状態にあるボールを選択、また全員がショットするという方法で数ホールラウンドしました。
2日目は、台風の影響でラウンドは中止、研修施設内でのスナッグゴルフ、iPadを用いた各自のスイングチェックに切り替えました。最終日は、天候も回復し、多くの学生が初めてのラウンドを堪能し、授業は無事に終了しました。
私のラウンド初体験は、打ったらクラブを数本持って走れ、素振りは何度もするな、グリーン上は走るな、人が打つときは動くな・喋るな等など、このような父親からの「注意事項」からのスタートでした。
そして、コースはというと練習場と同じような平らな場所からは殆ど打てない、狙いたい方向に大きな木があり、砂場もある、池もある、谷越えもしなくては…。正直ゴルフが全く面白くなかった記憶があります。
当然ですが、ドライバーなど打てるわけもなく、5Iと9Iとパターの3本を握りしめてのラウンドでした。多くのラウンド初心者がこのような場面から「ゴルフ」というスポーツをスタートさせたのではないでしょうか。
本学では30年以上前より、選択科目としてキャンパス近くの練習場を活用した週1回の実技が行われていました。
余談ですが、本学の体育会ゴルフ部の歴史は古く、そして輝かしいものがあり、「プロより強いアマチュア」として名前が知れ渡っていた故中部銀次郎氏の母校であることも考えると、当時からゴルフの授業が行われていたことは当然なのかもしれません。
そして私達は、初心者が安心して参加でき、楽しくラウンド体験もできる授業を模索してきました。
また前述のラウンド初体験の思い出も実はゴルフをしていく上で全て重要な意味があることも知りました。
ゴルフというスポーツは競技者自身が審判であり、ルールはもちろんのことマナーも守る自律が非常に重視される紳士淑女のスポーツであり、授業を通して学生達にしっかり伝えておきたい、とても大切なことだと今では心に刻んでいます。
昨年度より大学ゴルフ授業研究会、有馬CC様他関係の皆様の支援を受けて、より充実した授業内容を目指して取り組んでいます。そして今年度より宿泊を伴う合宿形式に変更、内容はさらに充実し、理想に近づいたのではと自負しています。
甲南大学 スポーツ・健康科学教育研究センター 教授
桂豊(かつら・ゆたか)
1960年生まれ。神奈川県立厚木高等学校卒業。筑波大学体育専門学群卒業。筑波大学大学院体育研究科修士課程コーチ学専攻修了。
青山学院大学体育研究室助手を経て、甲南大学へ専任教員として着任。
日本サッカー協会公認A級ジェネラル。20年程課外活動の指導に関わり、関西学生サッカー連盟や全日本大学サッカー連盟の技術委員として学生選抜スタッフ等も歴任。
その後、兵庫県47FAインストラクターやKONANスポーツクラブ(女子サッカー&フットサル、O-35シニア)の指導、神戸市レディスサッカークリニック指導、神戸市女子中学生サッカー活動など、学生スポーツのみならず、指導者養成やサッカーの普及活動にも関わってきた。
現在は関西学生サッカー連盟副理事長、同連盟規律委員長、兵庫県サッカー協会47FAインストラクター、神戸市サッカー協会インストラクター、甲南大学体育会ゴルフ部顧問、同ハンドボール部顧問。大学教員を中心としたスキークラブ「神戸甲南インフィニティ」の代表。
基礎体育学演習(サッカー&フットサル、集中ゴルフ、集中スキー)、スポーツ科目、生涯スポーツ(フットサル、集中ゴルフ、集中スキー)、身体の健康科学、基礎スポーツ健康科学、スポーツ指導論演習などを担当。