大学ゴルフ授業研究会

我が大学のゴルフ授業30 ~ゴルフの授業から社会で活躍するための人間力を養う~江原義智(武蔵丘短期大学)

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。

掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年6月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

1991年、武蔵丘短期大学は、人格教育、専門知識の取得、社会への貢献の基本理念のもと埼玉県比企郡吉見町に設立されました。本学は、「健康栄養専攻」、「健康スポーツ専攻」および「健康マネジメント専攻」の3専攻から、人々の心と身体の健康生活を支える人材を養成しています。

実践教育を重視し、身体を使って学ぶ実習科目が多く、栄養指導や健康づくり指導、おもてなしを実際に学ぶことができます。

また、少人数クラス・担任制を取っており、学生と教職員の距離が近いのが特徴です。さらに、進路支援体制にも力を入れており、全職員が相談やサポートをすることで、高い決定率を上げています。

学内併設のゴルフ練習場での打撃練習

授業風景

武蔵丘短期大学では、前・後期ともにゴルフ1およびゴルフ2の4コマが開講されています。学内には、10打席、約25ヤードの練習場が併設されています。

また、中庭には、コーライ芝が植えられており、天然芝の上から約50ヤードまでのアプローチを行うこともできます。受講生は、1コマ20人ほどおり、ほとんどが初心者です。

本授業では、日本プロゴルフ協会が推奨する指導法に基づいて行っています。最初は、グリップの握り方から始め、アプローチ、ハーフショット、フルショットと段階を踏んで習得できるように授業を展開しています。

中庭の天然芝の上でのアプローチ練習

学生のみなさんは、実際のボールを打撃するだけで楽しんでいますが、ボールリフティングやプラスティックボールを用いてアプローチを行い、互いにキャッチしてもらうなど、授業をより楽しんでもらえるように工夫しています。

また、座学ではゴルフ場の使用方法からエチケット・マナーまで習得します。

さらに、中庭に特設のコースを作り、プラスチックボールを用いて模擬ラウンドを実施し、実際のラウンドにより近い状態でプレーを体験します。

ここでは、プレッシャー下でゴルフをプレーする楽しさや厳しさ、社会に出ても役に立つようなエチケット・マナーの習得を目指して授業を行っています。

先生の気持ち

本務先や非常勤先の大学のゴルフの授業では、これまでの10年間で、約1000人以上の学生を指導してきました。毎回授業の開始時に行うアンケートでは、学生のほとんどがゴルフを始めるきっかけが欲しかったと回答しています。

このように、将来社会人になっても退職後も生涯スポーツとしてゴルフを楽しみたいと願う学生は大勢います。そんなニーズに大学の授業が応えることができれば、一ゴルフ指導者としてこんなに嬉しいことはありません。

以前ゴルフの授業を受講した当時野球部の学生から、「ゴルフの授業で学んだことで、アマチュアゴルファーとしてプレーを楽しむことができ、さらにエチケット・マナーが、社会人生活にとても役に立っています」という連絡をもらった時は、本当に嬉しく思いました。

また、大学で授業を行うためには、クラブをそろえる必要があります。全国大学体育連合では、日本ゴルフ用品協会に加盟するゴルフメーカー各社から提供頂いた新古品ゴルフクラブを会員に対して無償で支給する制度を取っています。

その制度により、本学にも60本程支給して頂いたことで、ドライバーからウェッジまで幅広く技術を指導できるようになりました。

自身がプロライセンスを取得した身でありながらも、ゴルフは非常に難しいスポーツであると感じています。

そのため、授業では、学生がより早く上達し、さらに楽しんでもらえるような授業を構築できるように努めています。

ゴルフの授業を開講する大学も増加している中、ゴルフ授業研究会では、指導方法を共有するなどの活動を行っており、私自身もさらに指導力を磨きたいと思っています。

先生の紹介


江原義智(えはら・よしとも)

1975年埼玉県生まれ。1998年東京オリンピック開催コースである霞ヶ関カンツリー倶楽部に研修生として入社し、1999年日本プロゴルフ協会プロテスト合格。

トーナメント出場やレッスンを行うかたわら2008年筑波大学大学院修士課程体育研究科修了、2017年同大学大学院博士課程スポーツ医学専攻修了、博士(スポーツ医学)。

日本プロゴルフ協会トーナメントプレーヤーでは、唯一の博士号取得者である。

2009年立教大学兼任講師としてゴルフの授業を担当。2018年武蔵丘短期大学 健康生活学科 健康スポーツ専攻 専任講師に就任。

武蔵丘短期大学では、ゴルフ、健康スポーツ、キャリアなどの授業を担当。課外活動では、ゴルフ部監督として、これまでの経験を活かし、プロが行う最先端のスイング方法やコースマネジメント、メンタルトレーニングを指導し、プロゴルファーの養成を目指している。

また、霞ヶ関カンツリー倶楽部所属時代に学んだ名門コースにおける一流のエチケット・マナーも授業や部活動に取り入れている。

研究者としては、ゴルフパフォーマンスと体力に関する研究を行っており、トーナメントに出場するプロを対象とした研究論文をいくつか報告している。