大学ゴルフ授業研究会

JGJA若手ゴルファーの育成(GTPA発行『トーナメントナウ』2019年11月号)

若者にもっとゴルフと親しんでほしい!大学生に向け数々のイベントを実施

なかなかゴルフ人口が増加しない現状に風穴を開けるべく、「日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)」と「一般社団法人大学ゴルフ授業研究会」が、大学生をターゲットにゴルフへの興味を高める啓蒙活動を積極的に行っている。若者にゴルフを始めてほしい、ゴルフの楽しさを味わってほしいと、数々のイベントを実施しているが、その一端を紹介しよう。

文教大学の小林勝法教授と武蔵野美術大学の北徹朗准教授が、大学進学を希望する高校3年生1000名を対象にアンケート調査を行ったところ、「大学体育で選択したい運動・スポーツ」で最も多く挙げられたのは「バドミントン」(33.3%)だった。次いで「スキーやスノーボード」(23.1%)、「バレーボール」(21.6%)、「ダンス・舞踊」(21.6%)、「バスケットボール」(20.7%)などが続いた。「ゴルフ」と回答したのは3.7%(29位)だった。また、「過去1年間のスポーツの直接観戦経験(テレビでの観戦は含まない)」を聞いたところ、67.1%が「観戦経験あり」と答えた。最も多かった種目は「野球」(26.5%)で、次いで「サッカー」(16.9%)、「バスケットボール」(11.6%)と続いた。「ゴルフ場でゴルフを見た」経験がある高校生は1.1%だった。

このような結果を見るまでもなく、若者の間にゴルフが浸透していない現状があるが、これを打破すべく、両団体は大学生をターゲットに、ゴルフへの啓蒙イベントを実施している。今年の活動について見てみよう。

1.現役大学生による「ゴルフ座談会」
(3月23日/ジャパンゴルフフェア会場)

現役大学生が、ゴルフに対して本音で語る座談会。慶応大、法政大、武蔵野美術大などから、18人の学生が参加した。学生たちは「ゴルフに触れたことないグループ」「体育でゴルフ授業を履修しているグループ」「体育会系ゴルフ部などでどっぷりゴルフをしているグループ」に分けられ、それぞれの立場から意見を述べあった。

「道具への依存性が高く、その値段も高い」「ゴルフ場が遠く、車がないと行けない」「ラウンドフィーが高い」「シャツをパンツにインするようなドレスコードに抵抗感がある」など、活発な意見交換が行われた。

道具やプレーにお金がかかり、ファッション的にも堅苦しく、カジュアルに楽しめない。これが今時の若者のゴルフに対するイメージと言えそうだ。このさまざまな問題をどう解消していくかが、ゴルフファン増加への大きな課題となるだろう。

2.ドレスコードフリーのゴルフコンペ
(7月29日/ベルビュー長尾GC)

大学ゴルフ授業研究会の学生向けゴルフ場体験プログラム「Gちゃれ」と、JGJAの共催コンペ。参加したのは大学でゴルフ授業を受講している学生8人。ほぼゴルフ場初体験だった。

この日はドレスコードフリーで行われ、ヒョウ柄のパンツ、Tシャツ、デニムのショートパンツ、スウェットパンツなど、若者ならではのカジュアルなファッションが勢ぞろい。ゴルフの堅苦しいドレスコードがゴルフを始める障壁にもなってる中、ゴルフ場のドレスコードはどうあるべきかについて、考えさせられるイベントにもなった。

プレーはスクランブル形式の特別ルールで行われたが、「授業ではアイアンばかり。ドライバーもパターも初めて打った」「練習用プラスチックボール以外を初めて打った」など、ゴルフ場初体験の学生にとって、思い出深い一日になったようだ。

3.第7回タウンミーティング
(9月27日/ハロー貸会議室新宿三丁目)

JGJA主催のイベントで、タイトルは「大学生とゴルフの楽しみ方を語ろう」。

今回は現役大学生3人と、JGJA会員ら30人ほどが参加。武蔵野美術大・北徹朗准教授による基調講演の後、第1部は「ゴルフ未経験者にとってのハードル」などをテーマにしたパネルディスカッション。ドレスコードの歴史やウェアの定義、そして練習場でのイベント実例などが発表された。第2部はゴルフ授業を受講した3名の学生に登壇してもらい、意見交換が行われた。その中でゴルフの魅力としては「マナーや社交性を勉強できる」「年齢・性別問わず対決ができる」などの意見があがった。逆に問題点としては「プレー代が高い」「敷居が高い」などがあげられた。「まずはシュミレーションゴルフのように街中で仲間たちとゲーム感覚で行えるものからスタートしていけば良い」という学生ならではの意見が飛び交った。

大学でゴルフ授業の人気は高いというが、卒業後もゴルフを続けてもらい、真のゴルフファンを増やすためにはいくつもの課題がある。その問題点を浮き彫りにし、解決していくために、このような地道な活動は欠かせない。ゴルフ人気向上に貢献するために何をすべきか。ゴルフ関係者全員で考えていく必要があるだろう。

GTPA編集部レポート

パネリストとして登場していた男子大学生2名に、スポーツ観戦として最もポピュラーな野球観戦と、ゴルフトーナメント観戦との違いを聞いてみた。まずは、初めてスポーツ観戦したのはいつか、という問いに、どちらも5歳から小学生の間に、父親や祖父に連れられて野球観戦を体験していた。その後もテレビ視聴するなど「野球」へ親しみを持ち続け、部活では野球部を選択し、今でも野球観戦には出向いている。そして、幼い頃に観たプロの迫力は今も覚えているという。

さて、ゴルフトーナメント観戦はというと、ゴルフは「する」ものであって「観る」ものではないと思う、と率直な感想が出た。今はゴルフをプレーすることに楽しさを覚えているが、観戦やプロゴルファーについては興味があまりない、とのこと。こういった声は若者のみならず大人のプレーヤーからも耳にする。たしかに、ゴルフトーナメント観戦については、子どもとともに楽しむ世代の来場は少ないように思える。「幼少時の観戦体験」があるかないか、このあたりにもゴルフファンを増やすヒントがありそうだ。

一般社団法人 日本ゴルフトーナメント振興協会
会報誌 『トーナメントナウ』2019年11月号 P6 掲載


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