大学ゴルフ授業研究会

我が大学のゴルフ授業33 ~ゴルフ文化を通して自身の心と身体を見つめる習慣作り~江口 潤(産業能率大学)

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。

掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年9月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

本学は、1925年に設立された日本産業能率研究所に由来し、1951年に産業能率大学短期大学を設立のあと、1979年に我が国初めての経営情報学部を神奈川県伊勢原市に開設しました。

2000年に経営学部を増設、2007年に経営情報学部を情報マネジメント学部に改称、現在は、自由が丘キャンパスに経営学部、湘南キャンパスに情報マネジメント学部、代官山キャンパスに大学院総合マネジメント研究科に加え、通信教育部門を含む学生教育部門と、研究所設立以降の社会人教育部門、出版部門などを有する学校法人です。本学理念は、学生教育事業を通じて実践的な知識・スキル・協調性を有し、実行力あるよき社会人を育成し、もって社会に貢献することです。

授業風景

本学のゴルフの授業(シーズンスポーツBゴルフ)は、基礎教育科目の「スポーツと健康」の区分に位置付けられた集中授業です。受入枠約20名で募集し、非常勤講師の先生とゴルフ好きの事務職員の協力を得て運営しています。履修学生は、学年別・性別でばらつきがあり、技術レベルは初心者かゴルフ練習場に数回通った程度の学生です。

科目の到達目標として、①スポーツおよびゴルフの意義や役割を理解し、実践のための自己の身体的精神的社会的能力を確認できる、 ②スポーツおよびゴルフの実践力の向上に取り組むことができる、 ③スポーツおよびゴルフの競技規則、マナー、エチケットの精神を日々の生活に応用できる、の3点を掲げています。

6月上旬に座学で、ゴルフ場、用具、規則、マナー・エチケット、安全管理等を学習したあと、教室でパターの実技、人工芝のグラウンドでプラスチックの穴あきボールを使用しショートアイアンのスイング練習を行います。7月8月の上旬の2日間、丹沢大山の麓「伊勢原カントリークラブ」のショートコースを利用しラウンドの基礎を学びます。クラブハウスには「中村寅吉ミュージアム」があり、ゴルフの歴史を学ぶこともできます。

8月下旬に、栃木県大田原市「那須野が原カントリークラブ」での本コースラウンドを2泊3日で行います。早朝6時からクラブを担ぎ「朝飯前ラウンド」で技術を見直し、午前午後は、一般客に混じりカート乗車のラウンドで技術を磨きます。毎晩夕食後は、反省会、競技規則の確認など、ゴルフ漬けの実習になります。

2コマ連続授業であるために、2コマ目は、100y程取れる天然芝のグランドに移動してPWでの実打を行います。

先生の気持ち

私はゴルフが大好きです。でも、定期的にラウンドをすることはありません。授業があるサマーシーズンに集中してプレーする、というのが実際です。大学ゴルフ研究会の指導者講習会に参加し指導方法を学んだりもしていますが、正式なライセンスを持っているわけではありません。

学生時代にサッカーを専門にプレーし、赴任してからもテニスやスキー、バドミントンやソフトボールなど多種目の実技を担当した経験をもとにゴルフの運動を分析し体現するようにしています。

一般に、ゴルフを授業として扱う高校は少ないと認識しています。本学の学生もゴルフに無関心のように見えます。ただ、潜在的に、「一度は取り組んでみたい」と感じている学生がいるのも事実です。

そこで、私の座学科目や実技科目で、ゴルフの楽しさを喧伝するのですが、それを聞きつけた学生がこっそり「シーズンスポーツBゴルフ」に参加してくるといった感じです。

指導運営にあたっては、履修後「もう一度ゴルフをプレーしてみたい」と学生に感じてもらうことを心掛けています。「事故ケガの予防の安全管理」は最も重要ですので配慮しています。

更に、「ゴルフの精神は社会生活に大いに役立つ」、「ゴルフの技術は一生かけて求めて行くもの」、「非日常の、ルールのある、自由な活動としてゴルフを共に楽しもう」です。ゴルフは道具を使うスポーツで、道具の進化は無視できません。スキー指導で道具の進化を実感した体験などが、「道具の性能を引き出せ」というゴルフの指導にも活きているかもしれません。

先生の紹介


■産業能率大学 情報マネジメント学部 教授江口 潤(えぐち・じゅん)

高産業能率大学 情報マネジメント学部 教授
江口 潤(えぐち・じゅん)

私は筑波大学体育専門学群を卒業後、1984年に本学に赴任し当初は主にスポーツ実技を担当しました。96~97年に米国オハイオ州立大学(スポーツ・マネジメント)に学内制度で留学し、Dr.Chelladuraiに指導を受け、帰国後、スポーツ社会学、スポーツマネジメントをテーマに4年次専門ゼミ、3年次専門ゼミを担当しており、そのほか「健康作りの科学」、「スポーツ障害と安全管理」、「サッカー理論」などの座学科目、「スポーツ実践Aサッカー」、「スポーツ実践Fバドミントン・卓球」、「シーズンスポーツBゴルフ」などの実技科目、「インターンシップⅡ」、「就業力プログラム」などのキャリア科目などを担当しています。

本学が実技でゴルフを取り入れた1990年代から担当しており、90年代は長野県北竜湖山荘のショートコースでの3泊4日の実習を運営し、その後、授業の改善・改良を進め、現在は「シーズンスポーツBゴルフ」として、学内での座学1日、2日間の伊勢原カントリークラブのショートコースラウンド、2泊3日の那須野が原カントリークラブでの本コースラウンドの授業形態に改変して今年度で5年目になります。

もともとは、サッカーが専門で、現在は本学サッカー部顧問・部長を務め、関連で関東大学サッカー連盟理事、神奈川県サッカー協会大学部会部会長などの学外社会活動にも携わらせていただいています。日本サッカー協会公認B級コーチ、全日本スキー連盟公認正指導員等の資格を有していましたが、最近は余暇でトレッキングや野菜づくりを楽しんでいます。