大学ゴルフ授業研究会

我が大学のゴルフ授業34 ~一生涯楽しめるレクリエーションとしてのゴルフ~後藤 光将(明治大学)

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。

掲載元 月刊ゴルフ用品界 2019年10月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

「近代市民社会を担う聡明な若者を育成する」ことを目指し、フランス法の自由民権思想を学んだ当時20代の青年法律家、岸本辰雄、宮城浩蔵、矢代操の3人が1881年1月17日に設立した明治法律学校を母体としている。

東京都に3キャンパス(駿河台、和泉、中野)、神奈川県川崎市に1キャンパス(生田)を有する。10学部(法、商、政治経済、文、理工、農、経営、情報コミュニケーション、国際日本、総合数理)、12研究科、法科大学院、専門職大学院からなる総合大学である。学生数は約3万2千人であり、13年連続志願者10万人以上である。

授業風景

明治大学は、2017年度から100分授業を導入して半期14週の授業を実施しています。本学は、各学部によってカリキュラムが異なるためゴルフ授業の形式も様々です。そのため、私が所属する政治経済学部の担当授業について紹介します。

1年必修授業(運動学演習Ⅰ)は、第二外国語選択によるクラス編成により自動的に割り振られます。学生による種目選択権がないため、春学期と秋学期では必ず異なる施設が割り当てられます。半期14回の授業内でも単一種目でなく、できるかぎり幅広く、様々な気づきを促す教材を用いるようにしています。ゴルフゲージの施設での授業であっても、人工芝のパッティングスペースを使用して、ヨガストレッチ、サッカーやラグビーのパス練習、ボールジャグリングなどをウォーミングアップとして行ったりします。基本的なグリップ、スウィングの素振りから始まり、クォータースウィング、ハーフスウィング、スリークォータースウィング、フルスウィングの4つのスウィングを使い分けられるようにショットできることを到達目標としています。

ゴルフゲージは 14打席あり、2〜3名で20球毎に交代するように打撃練習を行わせます。同じ打席に入った学生同士で観察し合って、お互いのスウィングに関心を持たせることを重視しています。学生は慣れてくると反復練習に飽きてきて集中力が無くなってしまいがちなため、目標のためフラフープを置いたりするなどしています。

先生の気持ち

テニスを専門としている自分にとっては、やはり、ラケットやバットを用いる球技は技術の習熟に時間が掛かることを痛切に感じています。同じ動作の反復練習を100回、200回と繰り返し、数年かけて完成度を高めることは当然の世界です。

また、ラケット・バット系スポーツの特徴として、オープンスキル的な要素が非常に大きく、様々な状況に備えた対応が求められます。ゴルフは全てのショットが自らのタイミングで打てます。他のラケット・バット系スポーツに比べオープンスキル的な要素は少ないと思われがちですが、ゴルフに関してはホール毎に形状は起伏に富んでおり、同じものは世界にひとつもありません。

この意味においては様々な状況に合わせた幅広い技術や知識が必要になるオープンスキル的要素が高いスポーツといえます。やはり、ゴルフはむずかしいスポーツです。しかしながら、むずかしいからこそ興味深いという奥深さがあります。

授業の学生のほとんどはゴルフ未経験者です。最近の大学生の傾向として、知らないことにあまり関心を持たないような気がします。そこで、私は学生へのゴルフ授業への動機付けのために、「社会に出てゴルフに誘われる機会は誰でも必ずあります。その誘いを受けるか断るかは自分次第です。その時のための基礎準備をしましょう!」と声掛けをしています。ゴルフは社会に出て嗜むスポーツの代表格であり、重要なコミュニケーションの場になり得ます。一生涯楽しめ、心豊かなコミュニティ創りに資する、レクリエーションとしてのゴルフをこれからも多くの学生に紹介していきたいと思っています。

先生の紹介


■明治大学 政治経済学部 教授
後藤 光将(ごとう・みつまさ)

明治大学 政治経済学部 教授
後藤 光将(ごとう・みつまさ)

1975年石川県生まれ。石川県立金沢泉丘高校、筑波大学体育専門学群卒業、同大学院体育科学研究科単位取得退学。博士(体育科学)。2007年より明治大学政治経済学部専任講師(現在は教授)。公益財団法人日本テニス協会テニスミュージアム委員会委員、特定非営利活動法人日本オリンピック・アカデミー理事、東北アジア体育・スポーツ史学会理事など。

私の専門は体育・スポーツ史、オリンピック教育です。専門実技はテニスです。明治から昭和初期のテニスの日本的受容についての研究を柱としてきたこともあり、英国文化としてテニスと共通項が多いゴルフにはとても親しみがあります。明治大学に着任後、運動学演習Ⅰ(1年必修体育実技)、運動学演習Ⅱ(2年選択体育実技)、生涯スポーツ演習(集中授業、スキー、キャンプ、スノーシューなど)、スポーツ文化論、教養演習、専門演習などを担当しています。授業でゴルフを担当していることもあり、全国大学体育連合の研修会で研鑽したり、職場仲間でラウンドに出かけたりしています。しかし、なかなか思うようなショットが打てません。上達に時間のかかるスポーツであることに関してはテニスと一緒だなと思います。

趣味は、大学スポーツ観戦です。これまで、野球、サッカー、ラグビーはもちろん、スキー、スケートも観戦に行きました。ゴルフの試合はまだなので、近いうちに観に行きたいです。


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