大学ゴルフ授業研究会

我が大学のゴルフ授業37 ~心身の鍛錬と人格形成に貢献するゴルフ授業を目指して~田中 重陽(国士館大学)

※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。

掲載元 月刊ゴルフ用品界 2020年1月号(見本誌の申し込みはこちらから)

大学の紹介

■国士舘大学
国士舘は1917年、激動の大正中期、創立者柴田德次郎ら青年有志が、智力と胆力を備えた有為の人材の育成に思いをはせ、東京・麻布の地に私塾「國士館」を創立したことをもって始まり、2017年に創立100周年を迎えました。

建学の精神は、“日本の将来を担う、国家の柱石たるべき眞智識者「国士」を養成する”であり、「国を思い、世のため、人のために尽くせる人材『国士』の養成」を目指しています。スポーツ活動が盛んであり、多くのオリンピアンを輩出した実績があります。

学生数は約1万3千人であり、都内に3キャンパス(世田谷・町田・多摩)を有し、7学部(政経、体育、理工、法、文、21世紀アジア、経営)、10研究科からなる総合大学です。

授業風景

国士舘大学では体育学部を除く6学部において、総合教育科目として体育実習(必修)およびスポーツ実習が開講されています。

22種目100以上の授業が展開されており、ゴルフ授業は、町田キャンパスの専用教場において、春・秋期にそれぞれ4コマ(計8コマ)開講されています。ゴルフ授業には、春・秋期で延べ約150名が受講しています。

授業では、ゴルフの実践を通じて、ルールやマナーを理解するとともに、ゴルフを生涯スポーツとして実践するための基礎的な知識と技術を習得することを目標としています。

校外実習(ゴルフ実習)の様子

また、授業を通じて心身ともに健康でゆとりある生活を実現する能力や態度の育成、協調性、積極性及び行動力などの社会性を養うことをねらいとしています。

私が担当するゴルフ授業は、学内のゴルフ教場での基礎練習(10週)と、校外でのゴルフ実習(5週分)で構成しています。受講学生の多くが初心者であることから、基礎練習ではゴルフクラブの特性やスイングのメカニズムについて解説します。

また、自身のスイングチェックには、iPadや簡易式スイング分析器を利用しています。ゴルフ実習は、千葉県成田市のダイナミックゴルフ成田、群馬県高崎市のサンコー72カントリークラブにご協力頂き実施しています。

本年度は、大学ゴルフ授業研究会のGちゃれ(於:八王子CC)に始めて挑戦しました。ゴルフ実習では初めて本コースをラウンドする学生が多く、ゴルフの醍醐味を感じています。

先生の気持ち

私のゴルフとの関わりは、恩師が担当するゴルフ実習のサポートから始まりました。その後、日本ゴルフ学会の事務局を担当することになり、ゴルフとの関わりがより一層深くなっていきました。日本ゴルフ学会の活動を通じて、ゴルフへの科学的な観点でのアプローチの多様性を知ることができました。

また、あらゆるフィールドで活躍される方々との繋がりを持つことができました。自身のゴルフの実践を通じた経験や日本ゴルフ学会での活動で得たものを授業に還元したいと考えております。

本学のゴルフ授業を受講する学生は、初めてクラブを握る者が多く、クラブの特性やスイングのメカニズムなど基礎から教えるようにしています。

学内ゴルフ教場での授業の様子

授業では、限られた時間、教場ではありますが、受講学生により多く打球させることを重視しています。また、ゴルフ実習では、本コースのラウンドを体験させることで、ゴルフの醍醐味や魅力を実感してもらうとともに、ゴルフ場でのマナーや、競技のルールを重点的に指導するよう心がけています。実際にゴルフ実習に参加した学生からは、“貴重な体験ができた”、“もっと上達したい”、“ゴルフを継続したい”などの感想を聞くことができます。

本学の教育理念は、日々の「実践」のなかから心身の鍛練と人格の陶冶をはかり、国家社会に貢献する智力と胆力を備えた人材「国士」を養成することにあります。

ゴルフは競技の特性ゆえに、身体と精神の鍛錬や人格形成に貢献する可能性を有していると感じています。ゴルフ授業が、心身の鍛錬や人格形成に少しでも役立つ機会となるよう、自身の指導力を高めるとともに、授業の充実を図りたいと考えています。

そして、受講学生が、ゴルフへの興味を高め、生涯スポーツとして継続してくれることを願っております。

先生の紹介


■国士舘大学 政経学部政治行政学科 准教授

■国士舘大学 政経学部政治行政学科 准教授
田中 重陽(たなか・しげはる)

1977年岐阜県生まれ。岐阜県立益田高等学校(現、益田清風)卒業。国士舘大学体育学部体育学科卒業。同大学大学院スポーツ・システム研究科修士課程修了。同大学体育学部研究助手、大学院研究科助手、流通経済大学専任講師を経て、2014年から国士舘大学政経学部に講師として着任。現在は政経学部政治行政学科准教授。授業は講義科目の“身体と運動”、実技科目の“体育実習”、“スポーツ実習”(ゴルフ、卓球、フィジカルトレーニング、バスケットボール、ソフトボール)を担当している。専門競技は野球であり、高校時は硬式野球部、大学時は準硬式野球部で活動した。国士舘大学体育学部研究助手時には、準硬式野球部の監督を務めた。

日本体育学会、東京体育学会、日本バイオメカニクス学会、日本ゴルフ学会などの会員であり、2004年から日本ゴルフ学会の事務局を担当し、2014年から事務局長兼副理事長を務めている。

専門の研究領域は、バイオメカニクスであり、主にスポーツ競技者の筋形態と筋機能評価に関する研究を継続してきた。近年は、スロベニア共和国で開発されたMuscle Contraction Sensor法を用いて、筋および腱の力学的活動動態の評価に関する研究を実施している。2017年9月から2018年8月までの1年間、本学の学外派遣研究員として、リュブリャナ大学スポーツ学部で研究活動を実施した。