※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 2020年2月号(見本誌の申し込みはこちらから)
■石川県立大学
本学は石川県農業短期大学を前身として2005年4月、石川県野々市(ののいち)市に開学しました。北陸で唯一の農学系総合大学です。本学を構成する生物資源環境学部は、自然環境との調和をはかりながら、人間が持続的に生物資源を利活用していくための教育・研究を目的としています。その範囲は、これまでの農学の枠には収まりきらず生物生産科学、環境科学、食品と健康の科学、バイオサイエンスとバイオテクノロジーの学問分野にまで広がっています。また、近年ではこれらが融合した新しい分野、例えば農林漁業の6次産業化への取り組みもあり、地域の人々や企業と密に関わりながら新たな分野にも挑戦しています。
本学のゴルフ授業(スポーツ実技Ⅲ)は、毎年9月に集中授業として開講しています。受入人数は20名ですが、人気が高まっており抽選を行うこともあります。ゴルフにおける基本技術やルール、マナーなどを修得し、ゴルフを生涯スポーツとして親しむための基礎を養うことを目標としています。まず座学で、ゴルフの歴史、用具、マナー・エチケットについて視覚教材を活用して学習します。特にゴルフ用具の進化については、スポーツ工学の観点から詳細な説明を行い、一層興味を持ってもらうようにしています。
実技はパターから練習させます。各種パターマットを並べ、2~3人ずつローテーションしながら練習しています。時には全員を並ばせ、1mのショートパットを順番に打たせ、入らない場合は列の最後尾に再び並ばせるなど、プレッシャーも体験させています。
パター練習後はラウンドの楽しさを体感してもらうために、パークゴルフを積極的に導入しています。大学近くの専用コースで地元のパークゴルフ協会の方々に応援していただき、ラウンドレッスンを行ってもらっています。孫のような学生達を相手に熱心に技術、マナー等を教えていただくわけですが、良い交流の場になっていると思います。スイングづくりは体育館でスナッグゴルフを活用しています。その後は、提携しているゴルフ練習場へ移動し、アプローチからドライバーまでICT(練習アプリ等)を活用しながら練習します。
私自身、学生時代に教養の授業で“ゴルフ”を選択しました。昔読んでいた「あした天気になあれ(漫画)」の影響が大きかったといえます。陸上(やり投げ)が専門だったのですが、ゴルフに対する憧れがあったと思います。小さい頃には家にあった木片でクラブをつくり、ジュースの王冠をボール代わりに打って遊んでいた記憶があります。授業で初めて本物のクラブに触れた時、とても感動したのを覚えています。グランドでのアイアン練習では、最初は思うように当たらないのですが、上手く当たると予想以上にボールが飛んでいくのに驚かされました。当時、教えていただいた先生とはその後(就職してから)、大学体育連合の指導者研修会で一緒にラウンドする機会がありました。そのコンペで優勝(ベスグロ73[41・32])した際、シングルでもあった先生に「上手くなったなあー」と褒めていただき恐縮したことを覚えています。恩師と同じ土俵で真剣勝負できるスポーツはなかなか無いと思いますが、それがゴルフの魅力だともいえます。
本学では学長杯ゴルフコンペを年2回開催しています。理事長はじめ研究分野の異なる先生方や職員と一緒に回るのですが、いろいろと情報交換ができる良い機会です。学生達にもぜひゴルフを覚えてもらい、社会人になっても様々な人との付き合いを広げてもらいたいと思います。
ところで私の目標はエイジシュートです。体を鍛え健康に留意し、技能を高めるよう日々精進しなければ達成できませんが、体育人の究極の目標といえます。また、ゴルフほど考えさせられるスポーツは他にはありません。あらためてメンタルトレーニングの重要性を気づかせてくれたのもまさにゴルフです。ぜひ授業を通じて私のようなゴルフ馬鹿を一人でも育てたいと考えています。
■石川県立大学 教養教育センター 教授 宮口 和義(みやぐち・かずよし)
1964年石川県金沢市生まれ。金沢泉丘高校、金沢大学教育学部卒業、金沢大学大学院自然科学研究科博士課程修了、博士(学術)。専門は身体運動学・体力トレーニング論。日本体育測定評価学会常任理事、日本教育医学会常任理事。いしかわ科学トレーニング専門グループ委員(国体強化指定選手のトレーニングアドバイザー)。
学生時代は陸上競技(やり投げ)でインターハイ、インカレ出場。石川県立大学陸上競技部監督。㈳日本職業スキー教師協会教師(元白峰プロスキースクール副校長)。平成6年~15年まで富山商業高校硬式野球部トレーニングコーチとして選手強化を行い、春・夏7回の甲子園出場に貢献。ジュニア陸上選手育成・強化のために、平成11年小立野ジュニアアスレチッククラブ(小立野JAC)設立。監督として指導にあたり各種競技会で多くの入賞者を出す。
これまでSSC(反動動作)利用による筋パワー発揮について、また幼児の生活リズムと身体活動量および運動能力との関係について研究をしていました。最近は競技力に大きく関わる足指力、それを高め姿勢を安定させる履物(草履)を研究しています。新たに商品化したFoot活サンダルはゴルファーにも有効です。