※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 2020年3月号(見本誌の申し込みはこちらから)
■東京海洋大学
東京海洋大学は、東京商船大学と東京水産大学を統合して設置された大学です。東京商船大学は明治8年11月(1875) 私立三菱商船学校を、東京水産大学は明治21年11月(1888)に開設された大日本水産会水産伝習所を源流とするものです。
平成16年4月1日からは国立大学法人東京海洋大学として、2学部7学科、大学院博士前期課程5専攻・博士後期課程2専攻、学内共同教育研究施設を設置しました。
その後、改組を経て現在では3学部・8学科、大学院7専攻で構成される大学です。品川キャンパスと越中島キャンパスの2つのキャンパスを有する国内唯一の海洋系大学である東京海洋大学は、「海を知り、守り、利用する」ための教育研究の中心拠点となって、研究者を含む高度専門職業人養成を核として、海洋に関する総合的教育研究を行い、人材を養成しています。
品川キャンパスにおける後期科目スポーツⅡの授業の選択種目の一つとしてゴルフを開講しています。受講生の定員は20名×2コマ。
基本的に屋外のグラウンド(芝および草地)で、ゴルフマットを敷いて打席とし、一定方向に打球練習するセッション、グラウンドにスタートマークおよびゴールを設置して模擬的にラウンドするセッションを繰り返しながら授業を展開しています。
使用するクラブは基本的に7IとPWです。全体の授業回数における前半には穴あきプラスチックボールを中心に使い、後半は少し硬めのプラスチックボールを使っています。
雨の際には屋内の武道場を使い、ショートアプローチの練習を行ったり、ゴルフのためのトレーニングなどを行ったりしています。また、ターゲットバードゴルフのゴールを目標物として活用しています。
男子と女子はおおよそ半数ずつで、ほぼ全員が初心者です。授業終盤には、大学ゴルフ授業研究会と一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会のお世話になり、Gちゃれを開催させていただいています(参加は任意)。
私にとってのゴルフは、父親が練習していた打ちっぱなし練習場に一緒について行き、クラブを振ることから始まりました。
その後、筑波大学体育センター就職後に一般体育の中での1つの種目としてゴルフが開講されており、研修をさせていただく機会がありました。その授業では、定時のコマでケージ内での打球練習が行われ、加えて集中授業としてショートコースでのラウンドが含まれていました。
ゴルフは、力みやメンタル面でのプレッシャーなどが影響する、非常に興味深いスポーツです。
授業を履修した学生には、自然体での基本の構え、グリップ、アドレスなどを繰り返し確認するように伝えていますが、自身の動きを客観的に分析してフィードバックできる学生はそれほど多くないように思います。
しかし、芝や草地の上を歩きながら、ゴルフのルールやマナーを覚えてプレーすることで、ゴルフの楽しさを実感するようです。
さらにGちゃれに参加した学生は大きな学びを得ているように感じています。
「初めてゴルフ場に行かせていただいて、様々な場所に行き届いた配慮に心地の良さを感じて、またここに来たいと感じさせられました。」
「壮大な自然の中でプレーをするのは気持ちが良く、またこの快感を味わいたいというゴルフの楽しさが分かりました。」
「Gちゃれでは見晴らしの良い大自然の中で、思い切りボールを打つことができ、楽しかったです。良いショットが打てたときの爽快感は格別でした。」
「Gちゃれに参加したことでゴルフというスポーツの奥深さ、楽しさをより深く知ることが出来ました。
授業の中でボールを打つのも飛んだ時の快感は味わえましたが、広い敷地の中で沢山の自然とともにホールを回る爽快感は実際にゴルフ場に行ってみなければ感じられなかったと思います。」などと感想を述べています。
年齢にかかわらず、長く楽しめる、かつ奥深いスポーツ「ゴルフ」を少しでも学び、記憶しておくことは、豊かな人生に役立つものと思います。いつか、どこかのゴルフ場で、授業を履修した学生と偶然出会えるような日が来ることを期待しています。
■東京海洋大学 学術研究院 教授 千足耕一(ちあしこういち)
1966年兵庫県神戸市生まれ。学歴:兵庫県立長田高等学校卒業。筑波大学体育専門学群卒業。筑波大学大学院修士課程体育研究科体育方法学専攻修了(修士・体育学)。東邦大学医学部にて博士(医学)取得。職歴:筑波大学体育センター準研究員(文部技官)〜助手、十文字学園女子短期大学専任講師~助教授、国立大学法人鹿屋体育大学海洋スポーツセンター講師〜准教授(海洋スポーツセンター長)を経て、2008年より国立大学法人東京海洋大学に赴任。現在、東京海洋大学学術研究院教授。
海洋生命科学部のスポーツⅠ・Ⅱ、海洋性レクリエーション論、マリンスポーツ実習、健康・スポーツ科学演習等、海洋工学部のスポーツⅡおよび海洋実習(海での遠泳)、大学院博士前期課程の海洋スポーツ科学、大学院博士後期課程の身体適応学特論を担当している。
学会等の社会活動として、日本野外教育学会理事、日本海洋人間学会理事、日本スポーツ整復療法学会理事、大学スキー研究会常任幹事、海に学ぶ体験活動協議会理事、ヤマハ発動機スポーツ振興財団理事などを務めている。