※この記事は掲載元(月刊ゴルフ用品界 GEW)の許可を頂いて転載しています。
掲載元 月刊ゴルフ用品界 4月号(購読申し込みはこちらから)
「中央大学は、1885(明治18)年、18人の若き法律家たちによって「英吉利法律学校」として創設された。
創立者たちがこの学校を設立した目的は、イギリス法(英米法)の長所である法の実地応用に優れた人材を育成するために、イギリス法の全科を教授し、その書籍を著述し、その書庫を設立することにあった。
現在、法学部、経済学部、商学部、文学部、総合政策学部(多摩キャンパス)、理工学部(後楽園キャンパス)の6学部があり、文学部は国文学、日本史学、西洋史学、哲学、社会学、教育学、心理学専攻など13専攻ある。1976年に多摩キャンパスに移転し、広大なキャンパスに多くの体育施設を有する。ゴルフ練習場もハンドボールコート1面を改修して建設。5年前に打席上に屋根を設置した。2016年「中央ビジョン2025」を発表して今後の大学方針を示した。
森 正明(もり・まさあき)
1952年福岡市(博多)生まれ。1976年中央大学文学部社会学専攻卒業。
1978年順天堂大学体育学部大学院(体育社会学)修了。
現在、中央大学文学部教授。これまで学友会総務部長(課外活動の責任者)、学長専門員(スポーツ振興)など担当。2017年4月より学生部長。
大学から始めたラグビーに青春をささげリオ大会からオリンピックの正式種目になった7人制ラグビーは、1976年から10数年全日本7人制ラグビー大会の準優勝時代に選手経験ができた。
ゴルフは、43歳でオーストラリアに留学する際40の手習いで始めた。HC32でプレイを始めた頃、あるパーティで次回はスカートをはいて参加するようジョークを言われた。男性HCは、28からということであった。ゴルフのおかげで留学先でもネットワークが広がった。その後、とりこになってのめり込んだが、最近は多忙のため年に10回もコースに出ることができなくなった。
所属学会は、日本体育学会、大学教育学会、野外教育学会、教育工学会など。
ここ10数年は「祭りとスポーツ」の研究で祭り組織とスポーツクラブ組織の比較文化研究を行い全国行脚している。小学校以来の自称「オリンピック博士」で、このテーマの授業や講演会等企画が増えている。
中央大学は、40年前から学部縦割りという運営で正課体育も実施されているため学部ごとに実施形態が異なる。
ここでは、文学部正課体育(必修)のゴルフ授業を例にして紹介させていただく。
文学部では、1年次に必修科目としての体育(名称は体育の科学演習)を履脩することになっていて、1年次の必修科目を2つ以上残していると3年次に進級できない科目でもある。
大学では、学内にあるゴルフ練習場(ハンドボールコート1面程度、15打席)を利用して基礎練習から始めている。学部で開講してから10数年になるがゴルフボールをまっすぐ運ぶイメージをもたせるためにはターゲットバードゴルフ(以下、TG)経験が有効に働いているようなので、コースを回るルールも合わせて指導している。
15週の授業の10回がゴルフ練習場とTG,残る5回を安全配慮やゴルフの歴史、ゴルフTV番組をみせてコースに出ることをゴールとしている授業のテーマを理解させている。
2016年度から*Gちゃれ(八王子モデル)に行く機会ができたので実習前に本コース体験できる好循環が生まれた。
この(八王子モデル)については、ゴルフのGちゃれが取り入れた名称で、中央大学および周辺地域の大学や役所等とコラボできる企画を今後検討していきたいと考えている。
4泊5日の実習は、長野県志賀高原で実施しているのでコース使用は3日間である。初日は、空振りは一打バツにしないルールでまわり、二日目はこのコースのローカルルールでまわっている。この2日間でほぼ30のハンディキャップ(以下、HC)でコンペができる状況なので、例年最終日はHCを決めてストロークプレイのコンペを実施し、学生から集めた雑費で商品を準備し、夕食を兼ねたパーティで表彰している(写真)。
以上が中央大学文学部のゴルフ授業の紹介となる。
* Gちゃれ:正課と課外をつなぐ(ブリッジング)の効果をあげるため、武蔵野美術大学を中心に取り組みが始まった企画。中央大学では、2016年12月14日「様々なブリッジングを目指して(八王子モデルの発信)」というテーマのシンポジウムを開催した。帝京医科学センターの事例、ゴルフGちゃれ事例、八王子市役所2020レガシーを目指した取り組み事例の3事例を紹介した。
ここ数年、実習を伴ったゴルフ、テニス、スキー、キャンプなど3、4万円の費用負担がある授業の履脩者が減ってきている。子どもの貧困という課題が大学にも問題になってはきているが、集中授業ならではの同じ釜の飯を食べて、合宿生活を体験できるメリットはなくなっていない。
今後も実施できる範囲で、この形態の授業を継続していきたい。