大学ゴルフ授業研究会
※この記事は元サイト様(みんなのゴルフダイジェスト)の許可を頂いて転載しています。 http://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17065901 マレット、ネオマレットなど、ヘッド重量が重い、あるいは総重量があるパター。これらのパターは上りでショートしやすく、下りではオーバーしやすいとおなじみパット研究家・濵部浩一教授は言う。それってどういうこと? 詳しく解説してもらった。

重いヘッドのパターほど「重力」が悪さをする

ヘッドバランスが重い、または、総重量が重いパターは、上りのショートパットでショートしやすく、下りではオーバーしやすくなります。なぜか? それはずばり、重ければ重いほど、重力の影響を受けるからです。図を見ながら解説しましょう。 上りのパットをする際に、ヘッドやパターそのものが「重い」場合、図のように重力の関係でバックスイング(B.S)が普段より自然と大きくなるのですが、慣性モーメントの影響から動き出したヘッドを止めることも難しく、切り返しでも普段より大きな力を必要とします。 何より、ダウンスイングからフォロースルー(F.T)は重力に反してヘッドやパターを動かすことになるので、自然とストロークが減速気味となり、フォローも出にくくなります。 だから重いヘッドバランス、総重量が重いパターは上りでショートしやすくなるわけです。

下り傾斜では、ダウンスウィングでヘッドが必要以上に加速してしまう

下り傾斜は全くの逆で、バックスイングが引きにくくなり、これはまあいいとしてもダウンスイングでヘッドが必要以上に加速してしまうので、フォロースルーが自然と大きくなります。

【図2】下りのパターはダウンスウィングで必要以上い加速し、フォロースルー(F.T)が大きくなりやすい

だから重いヘッドバランス、総重量が重いパターは下りでオーバーしやすくなるんです。 この重力から受ける影響を知ったうえでストロークするのと知らないでストロークするのとでは大きな違いがあります。 マレットやネオマレットは、ブレードタイプのパターよりヘッド重量や総重量が重いので、平地においてもフォロースルーでヘッドが出にくいデメリットがありますが上りだとそれが平地より大きく出て、ヘッドの加速感が出にくくなり、下りだと逆に自然とヘッドが加速してしまうので、これらがジワジワと自身のセンサーを狂わし、タッチが合わなくなるのです。 この重力の影響はほんのわずかなのですが、確実にあります。また、元々の立ち方、構え方が右足体重か、左足体重かによってもその影響に差が出ます。 ただし、10ヤード以上のロングパットでは全体としてストロークが大きくなるので重力の影響は相殺されます。2ヤード前後の距離はストロークが小さいため、重力の影響を大きく受けます。また、二段グリーンの下からなどで傾斜が3度以上のきつい場合は自然と右肩下がりの構えとなり、重力の影響が大きく出て、上りでショート、下りでオーバーしやすくなるのも覚えておいて損はありません。

マレット・ネオマレットは軸足がカギ

ではどうすればいいか。対処方法をよくある上り傾斜2度程度の2ヤードのショートパットを例に解説しましょう。 まずは左足体重にし、傾斜は無視して地球に対して垂直に立つイメージでアドレスします。テークバックも傾斜に沿って引くのではなく、傾斜は無視して、地球に対して水平、あるいは少しだけ上方に引いてあげましょう。 そうすると、重力の影響が収まり、ダウンスウィングでヘッドがスムーズに出てフォローで減速しません(【図1】青ラインの軌道)。ただ、やりすぎると上から打ち込むようになりボールが弾んでしまいますので、あくまでボールの伸びとヘッドの動きを感じながらトライしてみてください。 下りは逆に右足体重気味にするとフォローの加速を抑えられますが、テークバックでダフらないように気を付ける必要があります。また、下りで打ちすぎない方法としては、以前記載した1㎝テークバックの方法がありますので参照してください。※この記事は元サイト様(みんなのゴルフダイジェスト)の許可を頂いて転載しています。 http://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17069532 日夜パットに関する研究を続ける動作解析の専門家、日本獣医生命科学大学の濵部浩一教授。今回は、「ショートパットを入れるには、スウィング軌道は“関係ない”」と断言。そんな馬鹿な!? 教授、一体どういうことですか?

ショートパットはフェースの向きを「維持」することが大切

ショートパットをカップインさせるために大切なのは、マシーンのような振り方(ストローク)を目指すことではありません。ヘッド軌道はさておき、ボールに当たる瞬間のフェースの向きが重要なんです。さらに細かく言うなら、「インパクトと球離れするまでのコンマ何秒かの間、フェースの向きを維持」させることが“超”重要です。 ショートパットを苦手としている人の大半はストロークに迷いがあって毎回違う(再現性の低い)打ち方をしたり、フェースの向きへの意識が薄い人が大半です。 詳しく説明しましょう。下の図をみてください。 A、B、C、DはそれぞれA=イントゥイン、B=ストレート、C=アウトイン、D=インアウトの軌道を表しています。一見、A、Bはカップイン率が高く、B、Cのカップイン率は悪そうですが、ショートパットの場合、A、B、C、Dすべて、100%、ど真ん中からカップインします。なぜでしょうか? それは、ショートパットの場合、軌道が多少アウトインやインアウトであっても、インパクト時にフェースが向いている方向にボールが転がるという特性があるからなのです。 これがロングパットになり、ある程度ヘッドスピードが出てきた場合は、ベクトルの作用を受け、振った方向へボールが飛び出そうとしますが(たとえばアウトインならボールは左へ飛び出そうとします)、ショートパットではインパクト時のヘッドスピードが遅いうえ、インパクト直後の球離れも早いので、軌道による影響はまったく気にしなくてOKなのです。

「データの気にしすぎ」がカップイン率を下げている!?

ですので、ショートパットが入らなくて悩んでいる人は、仮にヘッド軌道測定器などで自分の軌道がAやBでなかったとしてもまったく問題ありません。自分の軌道を「正しいといわれている」AやBのマシーンのような軌道に矯正しようとするあまり、毎回違う不安定なストロークとなるのでは意味がありません。 大切なのは、自分が自信をもってスムーズに振れる打ち方をすることです。それにより、毎回同じように振る。ですから、若干のアウトサイドイン、若干のインサイドアウト、どちらであったとしても毎回同じように自分流を再現して打てるのならそれでOKなのです。 それよりも、フェースの向いている方向にボールが転がることを理解して、そのフェースの向きを維持すること強く認識しましょう。あとはその向きさえ合っていれば、ショートパットは、それで確実に入ります。 以上をまとめると、こうなります。 1) ショートパットでは軌道やタッチよりフェースの向きが超重要 2) 軌道は再現性が高ければ、多少のカットやインアウトにはこだわらない 3)きちっとアドレスで狙ったところにフェースを合わせること 4)ボールに当たり負け(=インパクトの衝撃でフェースの向きが狂うこと)してフェースを開いたり、インパクトをゆるめてフェースをかぶせたりしない。インパクト直後のフェースの向きをそのまま維持する意識を強くもつ。 4)のフェースの向きをコントロールする打ち方については、「大学教授の大発見!パターを「12mm」浮かせて打つと入ります」で記したように、下からこすりあげるようにストロークするとフェースをスクェアにコントロールすることができ、またインパクト直後に当たり負けもしません。記事にあるように、こすりあげることにより、インパクトでヘッドが12ミリ程度浮くので、転がりもよくなります。 大学教授の大発見! パターを「12ミリ」浮かせて打つと、入ります スクェアにインパクトでき、当たり負けせず、転がりもいい。トリプル効果が期待できるので、ぜひお試しを!

パットは科学だ! 大好評・濵部教授シリーズ

上りでショート。下りでオーバー。原因は「腕前」じゃなくて「重力」だった!? 【濵部教授のパットの授業】 “13フィート”でもお構いなし! パットは「下り」だけ注意すればいいんです【大学教授のパットの授業】日本ゴルフ用品協会様からのゴルフ用品無償提供に対する喜びの声を公開いたしました(日本獣医生命科学大学) 詳細はこちらからプロが「L字」を使うのは「ネオマレット」より“やさしい”から!? 【濵部教授のパットの授業】 ※この記事は元サイト様(みんなのゴルフダイジェスト)の許可を頂いて転載しています。 http://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17056538 やさしいパターといえば、ネオマレットと呼ばれる大型モデルが代名詞。だが、プロの多くはなぜかL字やアンサー型など、昔ながらの形状のパターを使用している。マレットやネオマレットが簡単なパターではなく、むしろ難しいからプロが敬遠しているのだとしたら……!? おなじみ濵部浩一教授が、形状のフシギに迫った!

マレット・ネオマレットのパターって本当にいいの?

昔のパターは、主に「アンサー型」、「L字」、「マレット型」に分類されます。この中でもっとも操作性や感覚を重視する上級者に向くとされるL字タイプは、少し低重心に進化しつつ、現代も残っています。次いでアンサー(ピン)タイプもプロや上級者から人気。こちらに関しては、約半世紀前のパターの形がほぼそのまま継承されています。 一方で、「マレット」とマレットの進化系である「ネオマレット」は、バラエティに富んだ形で市場の2/3以上を占めている印象です。その売り文句は「オートマティック」とか「直進性重視」とか、「慣性モーメントが高くミスヒットに強い」などであり、「一般アマチュアやパターが下手な人はマレットやネオマレットを選びなさい」と言わんばかり。でも、果たして本当にそうでしょうか?
プロが「L字」を使うのは「ネオマレット」より“やさしい”から!? 【濵部教授のパットの授業】

日本獣医生命科学大学の濵部教授。動作解析の専門家であり、パッティングの転がりを研究テーマのひとつとしている

そもそも操作性重視って何でしょう? プロや上級者がパッティングをする際にフェースを開いたり、閉じたりして操作しているというのでしょうか? それとも、加速の度合いを操作したり、インパクトポイントを操作したりしている? 答えはいずれも「ノー」です。

パターの名手は“再現性”が高い

プロやパターの上手いプレイヤーのパッティングを分析すると、「再現性の高さ」が際だっていることがわかります。たとえば、「アウトサイドイン軌道」で打ったりするプロもいれば、「フェースを開いて構えて、インパクトでクローズに打つ」プロもいるし、「インサイドアウト」に打ったりするプロもいます。 ただ、名手に共通しているのは「インパクトポイントの正確性=ほぼ同じ場所(芯に近い場所)でヒットする」ことと、「ストローク軌道が毎回同じ=再現性が高い」であるということ。自由自在に打点を操ったりしているわけではなく、“毎回同じ”を積み重ねられるのが、名手の条件と言えそうなんです。 そして、そんな名手たちの多くは、L字(L字マレット)やアンサー型を使い、マレットやネオマレットを使っていません。それはなぜでしょうか? それはマレットやネオマレットがハッキリ言って「使いにくい」からです。 なぜ使いにくいのか? その理由はズバリ、パターのバランスにあります。 パターのバランスはその昔、Bバランスが主流でした。重くてもCバランスぐらいまでで、Aバランスもあったくらいです。ところが、慣性モーメント理論(慣性モーメントの数字が大きい=動き出しに大きな力が必要、ミスヒットに強くなる)が出てきて以降、パターヘッドがどんどん重くなり、今やDバランスは当たり前、EやFバランスまである有様となっています。
プロが「L字」を使うのは「ネオマレット」より“やさしい”から!? 【濵部教授のパットの授業】

濵部教授の研究室には、さまざまなパターがA〜Fのバランスで分類されている。A→Fの順で、ヘッドのバランスが重い

ヘッドが重いと、何が起きるか?

ヘッドが重い(バランスが重い)パターはテークバックをする際にヘッドがその場所(アドレスの位置)に留まろうとします。つまり、手や腕の動きにシンクロしてヘッドがスムーズに右に動いてくれないのです。まず、そこで手の動きとズレが起きやすくなります。 また、手の動きに少し遅れて、渋々ヘッドが右に動き出したとしても、今度は一度右に動き出したヘッドが右へ右へと安定して動こうとするので、切り返しの際によほど待って(=ゆっくり切り返して)あげないとスムーズに切り返せません。一般のアマチュアにゆっくりとした切り返しはなかなかできないので、そこでもズレが生じることになります。 ヘッドが重いD~Fバランスのパターには、もちろんメリットもあります。ダウンスイングに入ってからは確かにヘッドが重いほうが直進性が高くなるし、インパクトでミスヒットした際にヘッドが回転してフェースの向きが狂う率も少なくなるのです。
プロが「L字」を使うのは「ネオマレット」より“やさしい”から!? 【濵部教授のパットの授業】

最近の主流になっているオートマチックなパターだが……

しかし、その前にテークバックのスタートでズレる可能性が高く、切り返しでも手とシンクロしないでワンテンポ遅れるリスクがあります。つまり……難しすぎてプロは使わない!? では、どうすればいいか。対処法は次回お伝えしましょう。上りと下りでグリーンの速さは最大「3倍」!? コースで転がり大実験! ※この記事は元サイト様(みんなのゴルフダイジェスト)の許可を頂いて転載しています。 http://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17049151 「グリーンが何フィートだろうと、パットは下りだけ注意すればいい」「ショートパットは170センチオーバーが入れるコツ」と大胆な提言を行っている、日本獣医生命科学大学運動科学教室の濵部浩一教授。ゴルフを研究テーマとする大学教授が、自身の理論をコースで実証実験してきたぞ!

一般的な9フィートのグリーン、「上り」「下り」で転がりはどれだけ違う?

ゴルフ場でグリーンが9フィートと表示されていたら「今日のグリーンは速くないな、しっかり打とう」と、11フィートと表示されていたら「今日は高速グリーンだ、気をつけよう」とゴルファーなら考えるもの。しかし、パッティングを研究する濵部教授は「スティンプメーターの数字よりも重要なのは傾斜の影響」だという。 では、傾斜は実際のところどれだけボールの転がりに影響するのだろうか。濵部教授自らがコースに出かけ、実地で検証した。実験の内容は極めてシンプル。グリーン上の様々な傾斜からボールを転がし、上り・下りでどれくらい転がった距離が異なるかを調べるというものだ。
上りと下りでグリーンの速さは最大「3倍」!? コースで転がり大実験!

【グリーン速度測定方法】USGA公認のスティンプメーターを使用。グリーン速度はグリーン上の水平な部分で測定。スティンプメーターのノッチ(溝)にボールを乗せ徐々に持ち上げてボールを転がす。この動作を3球行い、転がった3球のボールが20センチ以内に止まったならその平均地点にティを挿す。反対側からも同様に行い、両方向から等しく転がった距離がグリーンの速さになる。

最終組からスタートし、9フィートの速さのグリーンのカップ周辺(ある程度プレーヤーに踏まれた状態)で、「下りのストレートライン」と同じ箇所の「上りのストレートライン」の転がった距離を測定。斜度はデジタル計測器を使用して、開始地点からボールが止まった地点まで、1 メートル間隔で測定し、平均斜度を求めた。その結果がこちらだ。

わかったこと:9フィートのグリーンは、「2.5度傾斜」で16.4フィート相当になる

上りと下りでグリーンの速さは最大「3倍」!? コースで転がり大実験!

1つのデータはスティンプメーターで往復4回ずつ転がした平均値。※は1ホールのデータ。nは転がした回数。※※は2ホールの近似値を合算しているのでn数は8回。※※※は3ホール合算値でn = 12回。

表の数値を左端上から下に見てみると、平均斜度2.5 度でボール転がした場合、平均で500センチ(5 メートル)転がったことを示している。±値は標準誤差であり、465 センチも535センチのデータもあったという意味。平地では274センチ転がるグリーンなので、約2倍転がったことになる。 500 センチをスティンプメーターの数値に換算すると16.4フィートに相当する値となる。最下欄に※※があるので、2つのグリーンの近似した傾斜における測定平均値であり、実験回数は「下り」、「上り」共に8回ずつだったことを示している。 この表から、9 フィートの“遅い”グリーンでも、「下り傾斜2.5 °」であれば平地で16.4フィート相当のグリーン並に転がるということがわかった。つまりこのスピードは9フィートグリーンの平地速度からすると1.8 倍になるわけだから、プレーヤーとしては相当に速く感じるはずだ。
上りと下りでグリーンの速さは最大「3倍」!? コースで転がり大実験!

斜度を測る機械。この場合、写真左側が低く1.95度の傾斜があると表示されている

一方、同じ場所から逆方向、すなわち「上り」のデータをみると、平均180センチ転がっている。というか、180センチしか転がらない。 つまり、仮に「下り」と同じタッチで打った場合、「上り」は1/3 ちょいしか転がらないことになる。平地と比べても2/3しか転がらない。180センチの転がりをフィート換算すると5.9フィートの速さになるわけで、“えらく重い”ことになる。 「下り」で大オーバーしたあと、「上り」でショートするというのはこういうことなのである。

わかったこと2:下りのほうが傾斜の影響を受け、上りのパットは「つねに重い」

また、表1右端上欄の「1.2度」の傾斜を見てもらいたい。「下り」1.2度を見てみると、290センチの転がりであることから、「平地=274センチ」とほとんど差がないことがわかる。一方で「上り」の1.2 度は「平地」より100センチ近くもショートするデータが示された。
上りと下りでグリーンの速さは最大「3倍」!? コースで転がり大実験!

1.2度のゆるやかな傾斜の場合、下りでは平地(274センチ)と大差ないが、上りでは著しく転がりが悪いことがわかる

これはどういことだろうか。他の傾斜の数値と比較してみよう。 2.5 °傾斜の場合、「下り」で5メートル、「平地」で2.7メートル、「上り」で1.8メートル転がる。これを平地を1とした比率でみると、 下り:平地:上り=1.8:1:0.7になる。 同様に、 2 °傾斜の場合、 下り:3.8メートル、平地:2.7メートル、上り:1.85メートル 下り:平地:上り=1.4:1:0.7 1.2 °傾斜の場合、 下り:2.9メートル、平地:2.7メートル、上り:1.9メートル 下り:平地:上り=1.1:1:0.7 となる。下りの傾斜は平地に対する転がりの比率が1.8〜1.1とまちまちであるのに対し、上りはすべて平地に対して0.7の転がりの比率となっていることに注目。 また、表中の±は標準誤差であるが、スティンプメーターでボールの速度がほぼ一定であるにもかわらず「下り」は誤差が大きい。「下り」は微妙な芝の抵抗を受けたり受けなかったりと、転がりが不安定であるということだ。
上りと下りでグリーンの速さは最大「3倍」!? コースで転がり大実験!

下りは±(プラスマイナス)で表される標準誤差が大きく、上りは小さい。つまり上りは「いつでも重い」

もし人間が打つのであれば、当然もっと誤差が出る。それに対して上りは斜度に余り関係なく、誤差も小さく、斜度の影響を「下り」ほど受けず、1.2~ 2.5度の傾斜において一貫して「重い」ことがわかる。

わかったこと3:平均的な傾斜では、下りは上りの「2倍」転がる

上りと下りでグリーンの速さは最大「3倍」!? コースで転がり大実験!

おおむね、「下りは上りの倍転がる」。念のため、実験を行ったグリーンの平らな場所で転がる距離は約2.7メートルだ

表1のデータから我々が良く遭遇する斜度が2 度前後の傾斜から転がしたデータをクローズアップしてみた。これによると一般的な傾斜である2度における「上り」と「下り」の転がる距離は概ね1:2の比率だと言うことがわかる
上りと下りでグリーンの速さは最大「3倍」!? コースで転がり大実験!

下り平均斜度が約2度の一般的な傾斜(6メートルの距離でおよそ20センチの高低差となる。ティは1メートル間隔)

9フィートのグリーンでの実験結果まとめ

☆ 「下り」傾斜が2.5 度あれば、平地のおよそ1.8 倍転がる。そしてその返しの「上り」は「下り」と同じタッチならば1/3程度しか転がらない。これが「大オーバーの後に大ショート」する理由。 ☆ 「下り」1.2 度の傾斜では290センチ転がり、2.5 度では500センチ転がるといったように、大きく傾斜の影響を受けるが、「上り」の場合は1.2 度で190センチ転がり、2.5 度では180センチ転がるといったように、傾斜の影響をあまり受けず、つねに同じように重い。 ☆ 一般的な2 度程度の下り傾斜は、平地のおよそ1.4 倍転がる。 ☆ 一般的な2度程度の傾斜だと「上り」と「下り」の転がる距離は概ね1:2である。「上り」は「下り」の「倍」打ってよく、「下り」は「上り」の半分のタッチでよいということ。 同じ9フィートのグリーンでも、2.5度の下り傾斜ならば16.4フィート相当の速さになるし、上りならば5.9フィート相当の速さになる。スティンプメーターの数字は参考までにとどめ、今から打つラインが上りか、下りかを慎重に見極めることが、カップインにつながるのだ。 濵部教授のグリーン実験はまだまだ続くが、ひとまず今回はここまで。 ※この記事は元サイト様(みんなのゴルフダイジェスト)の許可を頂いて転載しています。 http://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17031463

1.5〜2メートルのパットは、1.5〜2メートルオーバーするタッチで打つと入る

1.5〜2メートルのショートパット。入れごろ外しごろのこの距離が入るか、入らないかはスコアメークの鍵を握るといっても過言ではない。パッティングを研究する大学教授によれば、この距離をきっちり沈めてくるプロや上級者と、外してしまうアマチュアの違いは、ズバリ「タッチ」にあるという。ジャストタッチでなく、30センチオーバーでなく、なんと約「170センチ」オーバーさせるのが最大のコツだという。その真意を聞いた。 たしかに、よく「40~50センチオーバーさせるようなタッチが一番入る」などと言われる。しかし、倍オーバーさせる、すなわち残り2メートルから2メートルオーバーさせるタッチというのは、さすがに“強すぎ”な気がするが……。だいたい、そんな強さで打ったら、カップで跳ねてカップインしないのでは? 濵部教授はこう述べる。 「私の研究室で実験をしたところ、スティンプメーターで12~15フィートの数字となる高速グリーンでも、平地ならカップを1.5~2メートルオーバーさせる強さで打っても、ボールがカップの上を通過しさえすれば『いい感じで』ナイスインします。2.5メートルオーバーさせる強さになるとさすがにカップに蹴られますが、それでもカップのど真ん中に打てば真上に飛び上がって入ることもあります。プロやパターがうまい人のパッティングを分析しても、もし外すとしたら大体打つ距離と同じぐらいオーバーさせるタッチで打っていました。これは、私にとっても目からウロコでした」(濵部教授、以下同)

濵部教授の実験室。ここで日夜実験が行われる

では、さらに短い1メートルのパットはどうだろうか。これは、研究室のみならず、濵部教授自らがラウンドで「倍の距離を打つタッチ」を試してみたという。

1メートルは百発百中! 2メートルも80パーセント入った

「カップを2メートルオーバーするタッチで打っても問題ない。それを知った上でのラウンドでしたが、実際には、正直に言って上りのショートパットは大体1メートルオーバーするイメージでしか打てませんでした。それでも今までよりもはるかにオーバー目に打つ感じで、普段はラウンドで2〜3回は外す1メートルがすべて入り、2メートルも5回中4回入りました。残りの1回は打ち方のミスなので、タッチを今までよりずっと強くするだけで、カップイン率が一気に高まったことになります」 「その日の同伴者はみな上級者(ハンディ5と6。一人はプロ)でしたが、みな、今までの私と同じようにジャストタッチで打つので、1~2割はショート目で外し、やや強めに打った場合でもカップ間際で芝目に負けて外すときもあり、トータルでは私の半分以下のカップイン率でした」

強いプロはショートパットのタッチが強い

2メートルから2メートルオーバーさせるタッチで打てば、ラインを薄く読めるから迷わず打てるし、芝目にも負けない。押し出したり引っかけたりしてカップの幅の中に打ち出せない「打ちミス」を除けば、“百発百中”となるのだ。ちょっと怖いけど……。

パター2本分=170センチオーバーさせる練習をしておこう

「アマチュアでは50センチ~1メートルのショートパットを外してイップスになっている人も多いと思います。これらの人がイップスになったのは、ほぼタッチが『弱い』ことが原因です。50センチを2メートルオーバーさせる強さで打てとまでは言いませんが、少なくとも50センチのパットなら倍の50センチオーバーさせるタッチ、1メートルのパットなら1メートルオーバーさせるタッチで打つ心構えがアマチュアにとってパット上達への現実的で効果的な方法と確信しました」

ショートパットでは打つ距離と同じくらいオーバーさせるくらい強めのタッチでいこう

濵部教授によれば、どんな距離でも常に1.5~2mオーバーするタッチの練習がカップイン率を上げる秘訣だという。パターの1本の長さが大体85センチ前後だから、ショートパットを打つ際に、それが自分のパター1本分の距離だったなら、カップを通り越してカップの向こう側にパター1~2本分オーバーするイメージをもつとタッチが合うとアドバイスしてくれた。ただし、以上はすべて上りか平らなラインに限った話。下りの場合はまるっきりタッチが異なるので注意が必要だ。 タッチに迷いがなくなると、ラインも合ってくるし、ラインそのものも薄目に読める。芝の微細な凹凸の影響も受けにくくなるからカップイン率が格段に上がる。教授自らラウンドで実証実験済みのこのタッチ、次のゴルフで試してみては? ※この記事は元サイト様(みんなのゴルフダイジェスト)の許可を頂いて転載しています。 http://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17031463 「今日のグリーン速いなぁ」「スティンプメーター、11フィートだったもんね」。ゴルフ場ではこんな会話をよく聞く。しかし、パッティングを研究する大学教授によれば、11フィート以上のグリーンでも速いと感じるのは「下り」のみ。「上り」や「平地」は“速くない”という。 「PGAツアーでは、グリーンの速さは13フィート(約396センチ=スティンプメーターで測定した際のボールが転がる距離)と言われています。一般アマチュアの場合は大体9フィートから10フィートでプレーする機会が多いでしょうか。ですから、13フィートとまではいかずとも、名門コースや競技の直後などで『本日のグリーンの速さ11フィート』などの表示を見たら、『え~11フィート!? 速っ!』とブルっちゃうかもしれません。しかし、実は、11フィートのグリーンは速くない。はっきり言って、13フィートくらいまでは普通にパッティングしてなんの問題もありません」

“ガラスのグリーン”と形容されるオーガスタナショナルGCの高速グリーンなど例外を除けば、PGAツアーでは平均13フィート、一般アマチュアが通うコースは約9~10フィートに設定されていることが多い。

そう語るのは、元ゴルフのインストラクターという異色の経歴を持ち、ゴルフを研究テーマとする日本獣医生命科学大学運動科学教室の濵部浩一教授。11フィートが“速くない”。それって、どういうことだろう。 「私の研究室ではグリーンの速さを1.スティンプメーターで12.3フィート2.同14.4フィート、3.同15.9フィート、そして4.同22.9フィートの4段階に設定してあります。すべて、通常営業の基準からすれば超高速に感じる設定です」(濵部教授、以下同)

濵部教授の研究室。まさにパットラボという風情

「ところが、通常めちゃ速いとされる『15フィートグリーン』でパッティングしてみても、別に驚くほど速くないんです。具体的に言うなら、この15フィートグリーンで20センチテークバックをとり、インパクトでゆるめずピシッとストロークして転がる距離は、大体5メートル前後。15フィートだからといって、10メートルも20メートルも転がるわけではありません。なぜか? 答えは簡単で、『平らだから』です。つまり、平地の15フィートは恐るるに足らずなのです」 濵部教授はそういうが、これには少々納得がいかない。研究室と本グリーンではそもそも違うし、我々ゴルファーは、現に11フィート(ときにそれ以上)の速さのグリーンで、何度も大オーバーの痛い目にあっている。「15フィートは恐るるに足らず」とは到底思えない。

速いのは「11フィート」ではない。「11フィートの下りのパット」だ

「なぜ11フィートのグリーンを、みなさんが『めちゃくちゃ速い』と認識しているか。その答えも簡単です。『11フィートの下り』はメチャ速だからです。もちろん、13フィートの下りならあり得ないぐらい転がります。みなさんが大オーバーの記憶を刷り込まれているのは、『高速グリーン』ではなく『高速グリーンの下りのライン』なのです」

「11フィートだから速い」ではなく、その傾斜を加味してグリーンの速さを理解する必要がある

な……なるほど。言われてみると、僕らがグリーンを速いと認識するのは、「カップを通過したボールが止まらずどこまでも転がってしまったとき」だ。“今日のグリーンは11フィートだぞ、速いぞ”という認識と、下り傾斜で大オーバーしてしまった記憶。両者が合体して「11フィート以上のグリーンはとんでもなく速い」という観念へと至る。 「その証拠に、11フィート以上の高速グリーンで大オーバーしたときのことを、ちょっと思い出してみてください。そういうとき、返しのパットでショートしていませんか? これ、本当はおかしいですよね。返しのパットも大オーバーすることはまずない。なぜか? それは、もちろんメンタル面の影響もありますが、それ以上に返しのパットが『上り』で“遅い”からなんです。また、下りで大オーバーしたあと、次のホールの平地や上りでファーストパットでショートするケースも多く見られます。これらの錯誤を生んでいるのは、ひとえに下り傾斜がもたらす、グリーンのスピードの“思い込み”なんです」

「11フィートで1度の傾斜」は、スティンプメーター約「22フィート」!

大オーバーの後の大ショート。それはメンタルの問題だと思い込んでいたが、実はもっと単純で、「ファーストパットは下りで、返しは上りだから」だったのだ。言われてみれば当たり前。まさに灯台下暗しだ。 「私の研究室には22.9フィートのグリーンがあると前に述べました。なぜ22.9フィートなのかといえば、11フィートの速さが出ているグリーンでの一般的な下りのパット(傾斜1〜1.9度)は平地で22.9フィートの速さに大体合致します。ですから、この設定でのグリーンが私の研究室にはあるのです。傾斜1度とは、1メートルの距離で高低差が1.75センチ。1.9度ならおよそその倍の高低差になります。普通のゴルファーが見た目でわかる傾斜は2度前後なので、1度だと下りと気づかずパットしているケースも多くあるはずです」 濵部教授によれば、傾斜が3度あると「このグリーンは上から速い!」と誰もが言う名物ホール。傾斜4度以上は、二段グリーンの境目など特殊なケースになるという。そういう意味では、下りの認識できない「1度の傾斜」こそが曲者だ。

富里GC(千葉県)などグリーンが速いことで知られるコースはそのアンジュレーションに注意が必要

「今日のグリーンが何フィートなのか」ではなく、「今から打つラインは上りか、平らか、下りか」に意識を集中して、打つ。当たり前のことだが、ファーストパットをピタリと寄せるには、それがなにより大切なのだ。 <今回のまとめ> 「9フィートだから遅い」とか「13フィートだから速い」という考えにとらわれず、「平地」か、「下り」か、「上り」かをジャッジすること。「平地」と、「上り」は9フィートでも13フィートでも気にせず普通に打ってOK。ただし、9フィートでも「下り」ならば20フィート近い速さになることを頭に入れ、最大限の注意を払うこと。※この記事は元サイト様(みんなのゴルフダイジェスト)の許可を頂いて転載しています。 http://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17025650 パッティングの秘訣は「パターを『12ミリ』浮かせて打つこと」。ある大学教授の大発見を記事化したところ、読者から大きな反響があった。今回はその第二弾。みんなの苦手な下りのパットには、絶対的なコツとも言える「入るテークバック」が存在した!

【前提】パターを加速させながら打つことが、ナイスインを生む

前回「パターを浮かせて打つと入る(大意)」という衝撃の事実を教えてくれた、日本医科大学 日本獣医生命科学大学 運動科学教室の濵部浩一教授。運動の動作解析の専門家であり、元ゴルフのインストラクターという異色の経歴の持ち主でもある濵部教授によれば、難しい下りのパットにも絶対的とさえ言えるコツが存在するという。 「簡単です。テークバックをまったくしない、あるいは1センチだけテークバックして、打つ。こうするだけで、少なくともストレートな下りのラインならばほぼ確実に入れることができます」(濵部、以下同) そう胸を張る濵部教授。しかし、にわかには信じられない。たとえ曲がらないラインだとしても、万が一強く打ってオーバーしたら3パットの確率が急上昇する下りのパットの場合、真っすぐ打ち出す、そのこと自体がアマチュアにとっては簡単ではないからだ。その反論を、濵部教授は一部認めつつもこう言う。

究極の下りのショートパット対策。確実に沈める「ゼロテークバック」

「なぜ下りのパットが難しいかといえば、ストローク全体がゆるみ、ヘッドが減速した状態でインパクトを迎えるからです。このようなゆるんだストロークでは、インパクトでボールに当たり負けしてフェースの向きが狂ったり、減速する過程でヘッドが手元より先行してフェース面にブレが生じたりするので、狙ったところにまず打てません。つまりラインが出ないわけですから、カップを外した時の恐怖から、ますます距離を合わせようとして弱く打とうとします。仮にまぐれでラインに乗っても、最後のひと転がりで入るようなトロトロタッチではグリーンの微妙な凹凸の影響を受けカップイン率が更に下がります」 そもそもなぜ我々は下りのパットを過去に何度も大オーバーしてきているのだろうか。答えはひとつと教授は続ける。 「下りのパットでバックスウィングが大きすぎるのです。自身で小さくしているつもりでも明らかにでかいです。バックスウィングが大きすぎるから過去に大オーバーの経験を何度も繰り返しています。で、プロのようにゆっくりストロークもできないから、下り=大オーバー=恐怖の方程式が刷り込まれちゃっているのです」 では、オーバーの恐怖に打ち勝ち、インパクトでゆるまない為にはどうすればいいか。 「これまた実に簡単で、テークバックをとらずに打てばいいんです」 そう、下りのパットの絶対的なコツ、それは「テークバックをとらない」という方法だったのだ。 やり方は簡単だ。パターヘッドをボール1個分ほどボールから離してアドレスする。クラブが接地した状態だとテークバックなしでは打ちにくいので、ほんのわずかに浮かせる。あとは言葉どおりテークバックをとらずに打つだけだ。 「ゴルフボールの大きさは42.67ミリ以上と定められています。つまり約4センチ離れた場所にアドレスし、そこからテークバックなしで打つわけです。ボールまでの距離がたった4センチしかないため、絶対に減速できない。そして、減速しない=フェースがズレない。だから入るんです。さらに、ラインを間違えて入らなかった場合でも、この打ち方だとパンチが入らないのでオーバーの危険性も少なくて済みます」(濵部) つまり、いいことずくめ。ほぼ究極と言っても過言でない下りのショートパット対策なのだ。濵部教授によれば、フェース面がズレるのは、大きく「切り返しのゆるみ」と「インパクト直前のゆるみ」の2カ所。ゼロテークバックならば切り返しはそもそも存在せず、インパクト直前のゆるみも消える。ほぼ無敵……に思えるが、実は決定的な弱点も存在すると濵部教授は認める。

ゼロテークバックの弱点を解消。無敵の「1センチテークバック」

「単純に、ルール違反の可能性があるんです。ルールには、『プレーヤーは球をクラブのヘッドで正しく打たなければならず、押し出したり、掻き寄せたり、すくい上げてはならない。』とありますが、テークバックしない打ち方は、これに違反しているとみなされる可能性がゼロではないんです。ですから、私はこの打ち方は基本的には“練習用”として推奨しています」 もうひとつの弱点、それはーー。 「気持ち悪いんですよね(笑)。テークバックなしで打つのは、ゴルファーの生理的に単純に気持ちが悪い。慣れればなんの問題もないのですが、いきなりやれと言われても違和感を覚える人のほうがはるかに多いと思います。そこでオススメなのが、1センチだけテークバックをとるやり方です」 「先ほどはボール1個離れた状態からテークバックなしで打つ方法をお教えしましたが、同じアドレスから、比喩ではなく具体的に1センチだけテークバックして打ってみてください。テークバックしない時ほど強烈ではありませんが、ゆるまず加速しながらインパクトして、かつ飛ばさないという似たような効果が得られますから」 正直に言って、ゼロテークバックにはかなりの違和感がある。しかし、このやり方だと違和感は大幅減。アドレスの状態でヘッドをボール1個分(距離がある場合は2個分)離すことで、いわばあらかじめテークバックしてある状態になり、たった1センチのテークバックでも十分な手応えを得られる。 とはいえたった1センチしかテークバックしていないためフェース面はズレにくく、しっかりと芯を食った感触を味わいつつも、ボールが素早く飛び出すわけではない、というゼロテークバックのメリットはほぼそのまま享受できるというわけだ。 それにしても恐るべきは濵部教授。まるでアイデアの玉手箱だ。今後も、教授の「新発見」をウォッチしていきたいと思わされた、今回の「パット講義」だった。※この記事は元サイト様(みんなのゴルフダイジェスト)の許可を頂いて転載しています。 http://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17021613 パットが入るための条件は「いい転がり」にあると言われる。では「いい転がり」ってなんだろう? 動作解析が専門の大学教授がその答えに迫り、ひとつの答えを出していた! コロンブスの卵的、驚愕のレポートをお届けしよう。

パッティングには「正解」があった

パットに型なしというように、パッティングには「正解がない」というイメージがある。しかし、運動の動作解析の専門家(学)日本医科大学 日本獣医生命科学大学 運動科学教室の濵部教授はどうやら「正解」を知っているようだ。
(学)日本医科大学 日本獣医生命科学大学 運動科学教室の濵部教授。動作解析の専門家であり、パッティングの転がりを研究テーマのひとつとしている

(学)日本医科大学 日本獣医生命科学大学 運動科学教室の濵部教授。動作解析の専門家であり、パッティングの転がりを研究テーマのひとつとしている

「いい転がり」とはインパクト直後から順回転

濵部教授によれば、パットの成否を分かつのは「転がり」にあるという。 「パッティングが得意ではない人の転がりにはふたつの特徴があります。ひとつはインパクトの後にボールがすぐに回転しないで横に滑ってから転がる場合。もうひとつは、インパクトの瞬間にボールが浮き上がり、ジャンプしてから転がり始める場合です。いずれも、ラインから外れやすく、カップインの確率が低くなります。同じ位置から打っても同じように転がらない理由はインパクト直後の転がり方にあるんです」
インパクト直後の転がり方がボールの曲がり度合いに影響することを、濵部教授は突き止めた。図の左が良い転がり、右が悪い転がりのイメージ

インパクト直後の転がり方がボールの曲がり度合いに影響することを、濵部教授は突き止めた。図の左が良い転がり、右が悪い転がりのイメージ

パターヘッドの浮かせ度合いに転がりの秘密があった

つまり、転がりが悪いと、同じラインに同じ強さで打ってもカップインしない可能性が出てくるということ。となれば気になるのは「どうやったら転がりが良くなるのか」という一点だ。 どうすれば「いい転がり」になるのか考えてみてほしい。普通に考えれば「パターの芯で、スクェアにインパクトする」ことが一番大切だと思うはずだ。それはもちろん正解。だが、それとは別に“転がりの良さ”に決定的に影響する、今まで解明されてこなかった要因があるという。それが「インパクト時のヘッドの浮き具合」だ。 「インパクト時、多くの一流ゴルファーはパターヘッドをわずかに浮かせてインパクトしています。にも関わらず、その具体的数値は明らかになっていませんでした。では、どれだけ浮かせるのがいいのか、そこに注目したんです」 そこで濵部教授が制作したのが、ストロークを変えずに、ヘッドの「浮き具合」だけを1ミリ単位で変えられる器具。
濵部教授の製作した実験装置は同じストロークでヘッドの地面からの距離を変えられるように作られている

濵部教授の製作した実験装置は同じストロークでヘッドの地面からの距離を変えられるように作られている

地面から浮かせることでパターの重心とボールの重心が「揃う」

「2メートル以内のストレートラインのパットを例に、芝の影響を受けずに真っすぐ転がる最大の条件を探るため、パターヘッドを地面から1ミリ浮かせたところから1ミリずつ上げて実験をしてみたんです」(濵部教授) そして、その実験の結果、驚くべき事実が浮かび上がってきたのだという。今まで解明されてこなかったパターヘッドの「高さ」は、やはり転がりに大きく影響していることがわかったのだ。 「実験の結果、ほとんどのパターではヘッドが地面から8~14ミリ浮かせた状態でインパクトすることで『いい転がり』の順回転で転がすことができるようになっていました。キャッシュインやL字型は8~12ミリ、ピン型やマレット型は12~14ミリ浮かせてインパクトをするときれいな順回転がかかることが確認できました」
キャッシュインの場合、地面から8〜12ミリ浮いた状態がいいインパクト。インパクトロフトは「0度」が理想だという

キャッシュインの場合、地面から8〜12ミリ浮いた状態がいいインパクト。インパクトロフトは「0度」が理想だという

なぜ、パターを浮かせた状態でインパクトすると転がりが良くなるのか? その答えは上の図にある。浮かせることでヘッドの重心とボールの重心が同じ位置に揃い、それがいい転がりを生むというわけだ。そして、パターの重心高さは形状によって異なるため、形状によって最適な「インパクト高さ」には誤差がある。 最後に、どうやったら地面からちょと浮かせたインパクトを身につけられるのかも聞いてみた。濵部教授は、そこにもユニークな「答え」を用意してくれていた。

乾電池2本で「ちょい浮き」インパクトは身につけられる

「自宅のパターマットでできる簡単な練習方法があります。まず単4と単3の乾電池を1本ずつ用意してください。単4電池を手前、単3電池をカップ側に2本並べます。そして、手前の単4電池には触れずに単3電池だけを打つようにストロークしてみて下さい」 おー、なんと! この練習やってみると意外と難しい。でもたしかにヘッドを少し浮かしてインパクトする感覚がつかめる。 「単4電池の直径は10ミリ、単3電池の直径は15ミリ。この練習を続けることで、10ミリ以上15ミリ未満のちょうどいい高さのほどよいアッパーブローでインパクトを迎えられるようになります。それこそが、『いい転がり』を得られるストロークなのです! 電池を2本置いて実際にボールを打ってみるのもいい練習法ですよ」 実際に打ってみたところ、カップに吸い込まれるように転がった。この練習を繰り返せば、転がりのいいパッティングをマスターできる気がしてきたぞ。 濵部教授によると、「赤道の少し下を約4度のロフトを生かしてアッパーブローにこすり上げるように打つ方法と、ハンドファーストに構えてロフトを相殺して赤道を打つ方法と2タイプあるが、どちらを選ぶかは好みにより、どちらでもよく入りますよ」とのこと。いずれにしてもインパクト時に12~14ミリ浮かせて打つことがキーポイントのようだ! 濵部教授の研究室は、まるでインドアゴルフスタジオのような設備。実は濵部教授、教壇に立つ前はレッスンプロをしていたという異色の教授。なるほど、だからこそこんなお役立ちドリルも考案できるのかと納得してしまう。現在はゴルフの授業とスポーツ実習をする傍らゴルフの普及活動と研究も続けている濵部教授。今後も研究成果楽しみにしてますよ! ※2016年12月15日14時15分一部加筆修正しました